テスターの後藤は、90年代からモタードを追いかけて世界中のメーカーやモタードマシンを取材してきた。世界選手権のワークスマシン試乗会にも参加したことがある。 本物のモタードマシンをたくさん見てきたわけだが、そんな目で見てもSWN SM125R Factoryのデザインや各部の作り込みは素晴らしいと思った。 REPORT●後藤 武(GOTO Takeshi) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke) 問い合わせ●SWM(https://www.swm-motorcycles.jp) 取材協力●BEAR SETAGAYA
SWM・SM125R FACTORY …… 579,700円(消費税10%込)

SWN SM125R Factoryはスタイリッシュかつ凝った作りのマシンである。サスの動きを確認してみればフロントフォークの動きはスムーズでダンピングもしっかり効いているし、リアサスの動きも滑らか。初期はソフトでストロークさせていくと奥でシッカリ踏ん張ってくれる。どこを見てもマシンのクオリティは非常に高い。
8000rpmからが素晴らしい、官能的なエンジン
エンジンを始動した瞬間に驚かされたのはレスポンスの鋭さだった。アイドリングからスロットルを開ければシュンシュンと軽快に吹け上がる。クランクケースを見てみるといかにもフライホイールマスが小さそう。そうなると低速での粘り強さはどうなのだろうと思ったが、クラッチをつないでみると125の4ストなのに下からトルクがあって走りやすい。ストリートを流して走っているくらいなら上まで引っ張る必要がないくらい力強いエンジンである。 本格的にパワーが出てくるのは8000rpmぐらいから。排気音が変わって11000rpmオーバーまで吹け上がる。この時の排気音は素晴らしくて、思わず聞き惚れてしまうほど。メカノイズや不快な振動も少ないから、何にも邪魔されず高回転型エンジンのフィーリングを堪能することができる。今まで乗った125の4ストマシンの中で一番官能的なエンジンだった。
フレーム剛性良し、シートは硬し。

車体周りの完成度も高い。ストリートを走っているだけでもフレームの剛性が高くて、しっかりしている感じが伝わってくる。ブレーキは初期の握り始めからガツンと効く。レースを意識したモタードのレーサーそのもの。サスのストロークが長いからブレーキング時、フォークの沈み込みも大きい。普段ロードバイクに乗っている人が最初に乗る時は、丁寧なブレーキ操作をしないと姿勢変化が大きくて驚くかもしれないが、これがモタードマシンの挙動なのである。 ハンドリングは軽快でストリートでは扱いやすい。ただし、ちょっと攻めようとすると手強くなってくる。ロードスポーツ的な安定感やオフロードバイクのような自由自在感があまりないからだ。元々オフロードバイクとして設計されたマシンのフロントホイールを極端に小さくしているのだから、これはSWMに限らずモタードバイクの宿命とも言うべき点。ステアリングの入力に対しての反応がどうしても過敏な方向になってしまう。もちろん小径ホイールにしても素直なハンドリングになるマシンもあるけれど、乗りやすさだけを言えばオフロードバイクそのままのほうが良いことが多いのだ。 しかし、それが欠点というわけではない。こういうマシンをライダーがコントロールして攻めていくのがモタードライディングの面白さだからだ。ステアリングの動きはバイク任せにするのではなく、ライダーがコントロールして、バンクさせていくような乗り方が必要になる。 SM125Rは、そんなライディングを学べるマシンなのである。小さなコーナーを曲がりながら「どうやったらもっと上手く走れるんだろう」などと試行錯誤しながらテクニックを磨く。そうやって上手く操れるようになった時の喜びは大きいはずだ。 しばらく乗っていて気になったのはシートの硬さ。スポンジが硬くてお尻が痛くなってしまう。こういう点も妥協なしの本物ということ。購入してから気になるのであれば、オーナーがスポンジを柔らかいものにすれば良いだろう。
一言で表すならばオーバースペック。贅を尽くした1台だ
総じて言えば、イタリアのメーカーが本気で作ったこのマシンは非常に面白かった。もちろん125でこの車体とサスペンションだから車体と足回りは完全にオーバースペック。「もう少しパワーがあったらなあ」と思うことはある。けれど、このスパルタンな性格で大排気量だったら、おいそれと手が出せないかもしれないような過激なマシンになっていただろう。125だからこそ、本気のモタードバイクを気軽に楽しむことができるのである。
足つきチェック

大柄な車体に加えサスのストローク量が長いこともあって125としてはシートも高め。ただし跨がればサスも沈み込むから178cmのテスターなら両足のカカトがつく。車体が軽いのでシートが高くても不安感はない。

キャストホイールは2.75×17.タイヤサイズは110/70-17.ブレーキはφ300mmのディスクと片押し2ポットの組み合わせだが制動力は高くタッチは鋭い。十分すぎるくらいのストッピングパワーだ。

キャストホイールは2.75×17.タイヤサイズは110/70-17.ブレーキはφ300mmのディスクと片押し2ポットの組み合わせだが制動力は高くタッチは鋭い。十分すぎるくらいのストッピングパワーだ。
ディテール解説

キャストホイールは2.75×17.タイヤサイズは110/70-17.ブレーキはφ300mmのディスクと片押し2ポットの組み合わせだが制動力は高くタッチは鋭い。十分すぎるくらいのストッピングパワーだ。

倒立のフロントフォークは剛性も高く、動くもスムーズ。インナーチューブ径はφ41mm。

エンジンは水冷DOHC4バルブでインジェクションを組み合わせる。ボア×ストロークは58.0mm×47.2mm。パワーは11kw/10,500rpm。トルクは11Nm/8,500rpm。高回転型でありながら低中速トルクもある。

ARROWのサイレンサーを純正装備。パワーに貢献することはもちろんだが、高回転では素晴らしい排気音を奏でる。

リアショックは倒立でマウント。非常にスムースな動きでダンピングも十分。

アルミ角パイプのスイングアーム。リアブレーキはφ220mmのディスクに片押し1ポットを使用。コントロールしやすい。

精悍な顔つきのフロントマスク。LEDのウインカーも小型でシャーブナデザイン。

ハンドルは低めのオフロードバー。ブラックペイントされて精悍なイメージ。バーパットにもSWMのロゴが入る。

左スイッチはディマー、ウインカー、ホーンボタンを配置。

右スイッチはスターターとキルスイッチのみ。

ナックルガードは手に当たる風を遮ってくれる。Factoryのグラフィックが誇らしげだ。

跳ね上がったリアフェンダー。テールランプもフェンダーエンドのデザインに合わせた形になっている。

シンプルなデザインのデジタルメーター。小型軽量の為、ハンドリングに悪影響を与えることがない。

オフロードの走行を考えて作られたシート。断面が丸くて接地面が少なくスポンジも硬いので長く乗っているとお尻が痛くなることも。

シートはワンタッチで取り外しが可能。バッテリーのメンテナンスをおこなうことができる。収納スペースはない。
主要諸元
■エンジン エンジン形式水冷DOHC4バルブ単気筒 総排気量124.7cc ボア×ストローク58.0mm×47.2mm 最高出力11kw/10,500rpm 最大トルク11Nm/8,500rpm 圧縮比12.8:1 始動方式エレクトリックスターター 燃料供給方式フューエルインジェクション クラッチ湿式多板 ギア6速 燃料タンク容量7.2L ■寸法 全長×全幅×全高2,106mm×820mm×1,165mm ホイールベース1,500mm 最低地上高275mm シート高914mm 乾燥重量120kg ■車体フレームダブルクレードル フロントサスペンションテレスコピックフロントフォーク [41mm] リアサスペンションモノクロス ■ブレーキ フロントブレーキ油圧シングルディスク [300mm] リアブレーキ油圧シングルディスク [220mm] ■タイヤ 前後リム前:2.75×17、後:4.00×17 前後タイヤ前:110/70-17、後:140/ 70-17
