DS N°8
フランスの大統領専用車

フレンチラグジュアリーを体現するDSオートモビルからアイコニックなフラッグシップモデル「DS N°8(ナンバー・エイト)」が登場した。ここで少し車名について言及したい。DSオートモビルはCセグメントのN°4より、車名に「N°」の文字を冠することになった。N°とはフランス語で“番号”を意味し、ブランドのエレガンスとタイムレスな魅力を象徴する名称だという。また旗艦モデルらしく数字の「8」は無限(∞)を想起させる造形に由来するという。
車名の由来はさておき、フランス大統領専用車としても使用されるN°8は、唯一無二の前衛的なエクステリアデザインが魅力のBEVに仕上がっている。前モデルの「DS9」も非常に瀟洒なEセグメントセダンだったが、N°8はさらに大胆なデザイン表現を採り入れている。クーペSUVのボディに、DSブランドらしい鋭利なヘッドライトシグネチャー、V字型の縦型LEDデイライト、光のラインが流れるように煌めくDSルミナススクリーンといった独創的な灯火類が抜群の存在感を放っている。まるで未来の宇宙船のようなオンリーワンの外観といえる。
個性的なXシェイプステアリングに注目

室内に目をやると、そこには外観に劣らず実に個性的な空間が広がっていた。クルマのインテリアというよりは、もはやモダンな高級ホテルにいるような錯覚すら覚える。シートからダッシュボード、ドアトリムにいたるまで「アレザン」と呼ばれる最上級のブラウンカラー・ナッパレザーが贅沢に使われている。
特に目を引くのがクルージングヨットから着想を得たXシェイプステアリングだ。放射線状の模様が施されたセンターコンソールや、まるでタイルのような質感のFOCAL社のオーディオシステム(アブソリュートコンフォートパッケージに含まれる)が、実に洒落ていて、所有欲を強く刺激する。
またヘッドレスト下部にネックウォーマーを装備した厚みのあるシートや自然光に車内が満たされる広大なラミネーテッドパノラミックガラスルーフも実に魅力的だ。
充実した快適装備がラグジュアリーの証


パワートレインはC、Dセグメント用のプラットフォーム「STLA-Medium(ステラミディアム)」に97.2kWhのバッテリーを搭載し、前後にモーターを配したデュアルモーターAWDとなる。航続距離はDセグメントのBEVとしてはトップレベルの750km(WLTP)を実現。システムアウトプットは350PS/509Nmを達成している。
早速一般道と首都高速道路をメインにN°8で走り出してみる。まず感じるのは、非の打ち所のない直進安定性だ。これは同じプラットフォームを採用するプジョー5008ハイブリッドに試乗したときも感じたことだが、例え轍を踏もうが凹凸を踏もうがまるで何事もなかったかのようにステアリングは微動だにせず、クルマが安定して突き進む。特にN°8は車重が2.3tと重いこともあり、直進安定性の良さが際立っていた。
試乗前はフランス車らしい、ふわっとした柔らかな乗り心地を期待してたが、意外にもその期待は裏切られた。一般道&高速道路ともにやや硬めで突き上げはあるが、そこに不快さはない。上質なドイツ車のようなソリッドな乗り味といったほうが近いだろうか。路面状況に応じてダンパーを制御するDSアクティブスキャンサスペンションがこの乗り味を生み出しているのかもしれない。
大胆なデザインを纏ったクーペSUV

回生ブレーキの強さはステアリングのパドルにより3段階で調整できるほか、一般道で便利なワンペダルモードもセンターコンソールに用意されたスイッチで選択できる。
誰もが魅了されるタイプの高級車ではないだろうが、刺さる人にはこれ以上ない強烈な個性を放つN°8。高級BEVの新たな価値観を提示する意欲作として、その挑戦を応援したい。
REPORT/石川亮平(Ryohei ISHIKAWA)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)
MAGAZINE/GENROQ 2026年8月号
SPECIFICATIONS
DS N°8 エトワール AWD
ボディサイズ:全長4845 全幅1900 全高1585mm
ホイールベース:2905mm
車両重量:2300kg
モーター
システム最高出力:257kW(350PS)
システム最大トルク:509Nm(51.9kgm)
トランスミッション:1速固定
駆動方式:AWD
EV航続距離(WLTP):750km
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前235/50R20 後255/40R21
車両本体価格:1005万円
【問い合わせ】
DS AT YOUR SERVICE(DS コール)
TEL 0120-92-6813
https://www.dsautomobiles.jp

