新設計エンジンとフレームで走りを一新

Hondaは、モトクロス競技専用車「CRF450R」とエンデューロ競技専用車「CRF450RX」をフルモデルチェンジし、2027年モデルとして2026年9月4日に発売する。両モデルとも受注期間限定で、受付期間は6月19日から10月31日まで。ただし、生産可能台数を上回る注文があった場合は、期間内でも受付を終了する可能性がある。

CRF450Rの開発コンセプトは「極(きわみ)」。徹底した軽量・コンパクト化による高い走行自由度と、排気量449.5ccの新設計エンジンが生み出す力強い動力性能を両立させた。競技中にライダーが狙ったラインを選び、マシンを意のままに操るための総合性能を磨き上げている。

CRF450RXはCRF450Rをベースに、変化に富んだコースを長時間走るエンデューロ競技へ対応したモデルだ。ナックルガード、サイドスタンド、専用設計の大型スキッドプレートを標準装備し、前後サスペンションとECUにも専用セッティングを施した。共通の基礎性能を持ちながら、Rはモトクロス、RXはエンデューロという異なる競技環境に合わせて個性が与えられている。

最高出力10.3%向上、2.7kg軽くなったエンジン

新設計エンジンでは、従来の2026年モデルに対して最高出力を10.3%、最大トルクを3.7%向上。同時にエンジン単体で2.7kgの軽量化を実現した。トランスミッションやクラッチ、スターターをはじめとする部品を見直し、エンジン幅も17mm縮小している。単純に出力を高めるだけでなく、車体中央部を軽くスリムにすることで、切り返しや空中姿勢のコントロールにも効果が期待できる。

吸排気バルブ径の拡大とカムプロフィールの最適化により、中高回転域の吸排気効率を改善。燃焼室とピストン頭頂部の形状も改め、圧縮比を高めることで燃焼効率を向上させた。さらにクランクシャフトの形状とベアリング構成を変更し、剛性と回転効率を高めている。

出力向上に合わせて5速トランスミッションのギア比も最適化され、幅広い速度域で力強い駆動力を発揮する設計となった。注目されるのが、ラバーダンパーのみで機能を成立させた世界初のスリッパー機構だ。減速時に発生するバックトルクを緩和し、進入時の車体挙動を安定させることで、ライダーの負担軽減とスムーズな操作につなげる。

剛性を高めながらコントロール性を追求

車体もエンジンに合わせて新設計された。メインフレーム構成部品の約70%を刷新し、従来モデルと同等の重量を維持しつつ、縦剛性とねじり剛性をそれぞれ約10%向上。荒れた路面での安定感を高めるとともに、ライダーが次の挙動をつかみやすいハンドリングを目指した。スイングアームもメインパイプの断面形状や溶接部分を見直し、剛性バランスの最適化と軽量化を図っている。

フロントフォークの内部摺動部には、摩擦低減に寄与するカシマコーティングを採用。極低速域から低速域の圧側減衰特性に優れるDBS(ダイナミック・ブロー・システム)構造も導入した。リアサスペンションではダンパーケース内面の切削加工や内部ゴム部品の形状変更を行い、安定感と応答性の両立を追求している。

チタン製燃料タンクは、スリムな車体形状を保ちながら容量を従来の6.3Lから7.1Lへ拡大した。CRF450RXでは従来モデルよりシュラウド幅を35mm縮小。足で車体を押さえる場面や前後方向へ体を動かす場面でも、ライダーの動きを妨げにくい構成となっている。車両重量はCRF450Rが108.0kg、CRF450RXが108.8kgだ。

電子制御、環境素材、価格にも注目

電子制御システムも新しい車体とエンジンに合わせて最適化された。エンジン特性を変更できるエンジンモードに加え、後輪の空転を抑えて効率的な駆動力伝達を支援するHSTC、安定したスタートに貢献するローンチコントロールを搭載する。HSTCは3つのモードとオフを選択でき、刻々と変化する路面状況に対応する。

外観は「エクストリームレッド」の1色。赤、青、白を組み合わせたトリコロールを基調に、シュラウドとサイドカバーの形状を変更し、大きなHondaロゴを配置した。競技会場でライダーとマシンの存在感を際立たせる、力強いデザインである。

環境面では、フロントゼッケンプレート、シュラウド、フロントフェンダーに、鮮やかな蛍光色と耐衝撃性を両立した高光沢着色リサイクル材を世界で初めて採用。シート底板にも高耐衝撃グレードのリサイクル材を使用し、競技車に求められる性能を維持しながらサステナブル素材の活用範囲を広げた。

メーカー希望小売価格は、CRF450Rが118万2500円、CRF450RXが122万6500円。国内年間販売計画はシリーズ合計140台となる。なお、両車はレース専用モデルであり、公道走行やナンバー登録はできない。大幅に高めた動力性能と扱いやすさを一つのパッケージに収めた新型は、勝利を目指すオフロードライダーにとって注目の存在となりそうだ。

CRF450R/CRF450RX 主要諸元

車名・型式:ホンダ・PE07
エンジン:水冷4ストロークOHC(ユニカム)4バルブ単気筒
総排気量:449.5cm³
内径×行程:97.0×60.83mm
圧縮比:13.75
燃料供給方式:電子制御燃料噴射装置(PGM-FI、スロットルボア径46mm)
始動方式:セルフ式
点火方式:フルトランジスタ式
燃料タンク容量:7.1L
クラッチ:湿式多板ダイヤフラムスプリング式
変速機:常時噛合式5段リターン
フレーム:アルミツインチューブ
フロントサスペンション:倒立テレスコピック式(クッションストローク310mm)
リアサスペンション:スイングアーム式・プロリンク(アクスルトラベル305mm)
ブレーキ:前後油圧式ディスク
カラー:エクストリームレッド
発売日:2026年9月4日
受注期間:2026年6月19日~10月31日
国内年間販売計画:シリーズ合計140台

CRF450R

全長:2,200mm
全幅:827mm
全高:1,263mm
軸距:1,490mm
最低地上高:333mm
シート高:953mm
車両重量:108.0kg
キャスター角:27度31分
トレール量:116.7mm
フロントタイヤ:80/100-21 51M
リアタイヤ:120/90-19 66M
メーカー希望小売価格:118万2500円(税込)

CRF450RX

全長:2,200mm
全幅:839mm
全高:1,278mm
軸距:1,490mm
最低地上高:326mm
シート高:951mm
車両重量:108.8kg
キャスター角:27度39分
トレール量:117.7mm
フロントタイヤ:90/90-21 54M
リアタイヤ:120/90-18 65M
メーカー希望小売価格:122万6500円(税込)

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