働くプレスカブが大変身! 面影を消して“異なる世界線”へ

1958年に誕生したスーパーカブは、長らく配達や営業など日本の仕事を支える実用車として活躍してきた。シンプルな基本デザインゆえにカスタムの受け皿も広く、1990年代にはホンダ純正アクセサリー「カブラ」の登場をきっかけに、カスタムベースとして楽しむスタイルも広がっていった。

今回のベースは、そのスーパーカブ50をもとに新聞などの配達業務へさらに特化した「プレスカブ50」。大型の前後キャリアや、荷物を積んでも灯火を妨げにくい低い位置のヘッドライトなど、集配業務を考えた専用装備を備えていたモデルだ。

ところが、このマシンではそんな“働くカブ”らしい装備をほぼ取り払い、ロー&ロングのレトロフューチャースタイルへ大変身。大型キャリアも低位置ヘッドライトも姿を消し、残されたカブらしい骨格を使いながら、まるで別の世界線で進化したスーパーカブのような姿に仕立てられている。

ロー&ロングに構えた車体に、14インチキャストホイールとカシスピンクパールの外装を組み合わせる。プレスカブがベースとは思えない、独特のレトロフューチャースタイルだ。

しかも車体色は、四輪のスズキ・ラパンに設定されていたというカシスピンクパール。黒を組み合わせた車体にピンクのボディ、赤の差し色まで加わり、ヘッドライトはLEDライトバーを縦二灯で装備。独特な雰囲気を作り出している。

もはやプレスカブ50とか関係ない?カシスピンクパールのボディと黒いレッグシールドのコントラストも強烈だ。

低く長いシルエットがよく分かる真横からの姿。それでもレッグシールドや横型エンジンなど、ちゃんとカブらしさを残している。

純正スイングアーム2本で150mm延長! 前後14インチ&モノサス化

このスタイルを決定づけているのが超ロングなスイングアーム。なんと純正スイングアームを2本使って加工したという150mmロング仕様。そこへ前後とも432ファクトリー製14インチキャストホイールをセットする。タイヤサイズは前後80/90-14だ。

単純に後ろへ伸ばしただけではない。リヤショックはフレームとスイングアーム側を加工してセンターのモノサス化。ツインショックというカブらしい構成まで捨てることで、リヤ周りをスッキリ見せている。

フロントもノーマルフォークを加工してローダウン。実用性を完全に捨てて地面スレスレにしたのではなく、「実用性を損なわないギリギリの低さ」を狙っているという。この“ちゃんと?乗ること”を意識しているところも良い。ブレーキはさらに大胆。純正フロントフォークへキャリパーサポートを追加し、2ポットキャリパーとφ220mmディスクを組み合わせてディスクブレーキ化している。

そして目を凝らすと、スイングアーム右側には予備と思われるスパークプラグまでセット。こういう「何それ?」という小ネタも見つかるから、カスタム車は近くで見るほど楽しい。

ロング化されたリヤ周りに対して車体本体はコンパクト。前後14インチ化とモノサス化によって、カブとは思えないシルエットだ。

純正スイングアーム2本を使って加工し、150mmロング化。社外製のロングスイングアームを入れるのではないところもオーナーのこだわりだ。

フロントは純正フォークにキャリパーサポートを追加し、2ポットキャリパー+φ220mmディスクでディスクブレーキ化。

フレームとスイングアームを加工し、リヤショックはモノサス化。ツインショックをなくしたことでリヤ周りのシルエットを変更。

88ccボアアップ+φ26 CRキャブ=乗っても楽しい!

ここまで外観が強烈だと、ついついスタイルばかりに目がいく。でも、エンジンもしっかり手が入っている。ベースはC50系エンジンで、SP武川製88ccキットを組み込み、6V用シリンダーヘッドを組み合わせる。

吸気系は、ケーヒン製φ26CRキャブレターを採用。レッグシールドからファンネルが飛び出すレイアウトは、存在感だけでも十分すぎるほど。大口径キャブレター特有の吸気音も魅力的で、“乗ったときの気持ち良さ”まで狙った仕様なのだ。

マフラーも既製品をそのまま取り付けたものではなくワンオフ。エキゾーストパイプはスイングアーム下で一度トグロを巻き、細身のシガータイプサイレンサーをスイングアームと並行にセットする。低いシルエットを崩さず、ハイレスポンスな88ccエンジンらしい軽快なサウンドを奏でる。

レッグシールドから堂々とはみ出すCRキャブレター。88ccエンジンとの組み合わせで、吸気音もかなり刺激的。

ハンドル周りは、車体とは対照的なくらいシンプルだ。絞りの効いたプルバックタイプのパイプハンドルを使い、左側にはウインカー用トグルスイッチとホーンスイッチを埋め込み。ステム付近にはニュートラル表示用の小さなLEDを配置する。スピードメーターは一見見当たらないが、レッグシールド内側にサイクル用デジタルメーターをセットしているのでご心配なく。

プルバックハンドルには必要最低限のスイッチ類を埋め込み、ハンドル周りを徹底してシンプルに。スピードはレッグシールド内側のサイクル用デジタルメーターに表示される。

そしてシフトペダルには長いロッドを追加。通常どおり足で変速できるのはもちろん、ロッドを手で操作するジョッキーシフトとしても使えるようになっている。見せるためだけのギミックではなく、その時の気分で2通りの操作方法を楽しめるのだ。

シフトペダルから伸びるロッドを使えばジョッキーシフトとしても操作可能。足でも手でも変速できる。

最後にシート。これまた潔く、車体側へウレタンパッドを貼り付けただけという超シンプル仕様。「長時間のライディングは気合いで乗り切る!」。オーナーのこのひと言まで含めて、らしい気がする。

シートは車体側へウレタンパッドをセットしただけという割り切った作り。長距離を走るなら……そこは気合いで乗り切る!

新聞配達のために生まれた働くカブから、ロー&ロングへ。単に部品を交換するだけではなく、スイングアームを作り、モノサス化し、ブレーキを変更し、操作系まで作り込む。それでもレッグシールドや横型エンジンを見ればちゃんと「カブ」に見えるのだ。

プレスカブ改を捕獲したイベントはこちら!

今回のプレスカブ改を撮影したのは、2026年7月19日に森の駅箱根十国峠で開催された「十国峠原付祭十周年」。10周年を迎えた十国峠原付ミーティングには全国から100台を超える原付が集まり、クラシカルなモデルから今回のような大胆なカスタムまで、じつに幅広いマシンが並んだ。ライター原稿でもC100から現行モデルまで、多数のカスタムカブが参加した。

次回の十国峠原付祭は2027年7月18日!

公式サイトでは、次回の「十国峠原付祭」を2027年7月18日(日)10:00〜14:00に森の駅箱根十国峠で開催予定と案内している。参加費は1000円で、ミッション部門、電動・スクーター部門、トランポ部門を設定。基本レギュレーションはベース車が原付または原付二種であることで、ボアアップによる軽二輪登録車もOKだ。最新情報は公式サイトで確認してほしい。

十国峠原付ミーティング運営公式サイト

その前に11月22日は「二輪×四輪トランスポーターミーティング」!

2026年11月22日(日)には、バイカーズパラダイス南箱根で「二輪×四輪トランスポーターミーティング」も開催予定。時間は10:00〜14:00で、その名の通り「クルマに二輪を積んでくる」ことを基本としたイベントだ。車1台に対してバイクは複数台でもOK。車種・排気量不問のカスタムコンテンツ「Champion’s Pick」も同時開催され、自走での参加も受け付けている。エントリーはすでにスタートしているので、気になる人は公式サイトをチェックしてみよう。

【モトチャンプ編集部】