DIYは“自分で決める”のが楽しい! 今回はイシム流の缶スプレー塗装

What’s UP!! ども、昭和生まれの雑誌世代。ガレージ146のイシムです! やりすぎず、真似しやすいライトな「スクランブラー仕様」を目指して進めている『XSR125カスタムプロジェクト』も、いよいよラストスパート。これまでは機能パーツや足周りを中心に手を入れてきましたが、今回はちょっと方向を変えて“見た目に効く”DIYペイントにチャレンジします。

ただし、今回のテーマはプロが教える完璧な塗装術ではなく、ホームセンターで買える缶スプレーを使って、どこまで雰囲気を変えられるか。DIYって、完成の基準を自分で決められるのが楽しいところなんです。気になる人は下地からトコトンこだわればいいし、逆に「自分のバイクだし、このくらいでヨシ!」と割り切るのもアリ。プロが見たら目を覆いたくなる場面もあるかもしれないけど(笑)、誰かのDIYって、その人なりのやり方が見えるからおもしろいんですよね。

ベースのXSR125は、丸目ライトやロングシートを備えたネオレトロな雰囲気が魅力の原付二種スポーツ。 こういうシンプルなバイクは、色を少し変えるだけでもキャラクターがグッと立つ。だからこそ、今回のDIY塗装が効いてくると思います。

今回ペイントするのは、バイクの印象を大きく左右する燃料タンク周り……といってもXSR125の場合はタンクカバーですけどね。そしてもうひとつがフロントホイール。そうです、リヤは塗りません。ボク、歴代愛車のホイールを前後色違いで遊ぶのが好きなんですよ。タンクカバーも同じ色にして、フロントセクションへアクセントを持っていく作戦です。

選んだ色は、淡いクリーム色が特長のアイボリー。ホワイトも悩んだけど、塗った後の汚れが目立ちそうなので今回はあえてアイボリーに決定。しかも使うのはホームセンターのコーナンで買ってきた一般的な水性多用途スプレー。色味は蓋の色を信じて決定、つまり塗ってみないと分かりません。そこも含めて楽しみましょ! というわけです。

ホームセンターで購入した缶スプレーや研磨シート、マスキングテープを使ってDIY塗装に挑戦。今回の主役は“完璧な塗装術”ではなく、イシム流の楽しむペイントだ。

足付け用に用意したスポンジタイプの研磨シートは約200円。アイボリーの発色を安定させるため、ホワイトのサフェーサーを用意し、上塗り用のアイボリーとクリヤーは2本ずつ準備した。

ホイール塗装は準備が大事! 汚れ落としと足付けで仕上がりが変わる

まず手を付けたのはフロントホイール。その理由は、タンクカバーから先に塗ると、失敗した際の心のダメージが大きいから。ホイールなら回ってしまうしディスクローターで隠れる。それに作業に慣れたころにタンクカバーを塗ったほうがうまく塗れるしね。

ホイールは見た目の変化が大きいパートだけど、仕上がりを左右するのは塗る瞬間よりも、その前の下準備をどれだけがんばるかがキモ。せっかく塗っても、あとから剥がれてきたら悲しいですからね。歯ブラシで隅にたまった汚れをかき出し、研磨シートで塗装面のツヤがなくなるまでゴシゴシ。ここを面倒くさがらずにやっておくのが、塗装の大事なところです。

本来、ホイールをしっかり塗るならタイヤを外したほうがリムの内側まできれいに仕上げられます。ただ今回はイシム流のDIY。タイヤの空気を抜いてタイヤとのすき間を作り、そこへトランプを差し込んでマスキングしてみました。見よう見まねだったけど、これがけっこうGOOD。ひとつアドバイスするとしたら、トランプはプラスチック製がおすすめ(100円ショップで買えます)。紙製と違ってヨレにくいし、繰り返し使えるので便利です。

作業はフロントをジャッキで浮かせてホイールを取り外すところから。ディスクローターは6mmのHEX、ABS用プレートはT25のトルクスで外せます。ABSセンサー用のプレートは、外す前にペンでマーキングしておくと組み付け時に安心。無用な不具合を防ぐためにも、こういう小さなひと手間は大切です。

ホイールを外したついでに、ホイールカラーやダストシールもグリスアップ。塗装だけでなく、せっかく外したからこそのメンテも同時にやっておきます。足付けには耐水ペーパーではなく、スポンジタイプの研磨シートを用意。凸凹面にも使いやすく時短にも貢献してくれました。アイボリーが透けないようにホワイトのサフェーサーを吹き、その上からアイボリーを3〜4回ほど薄く重ね塗り。塗膜の密着度を高めるため、乾燥もしっかり行いました。

屋外での缶スプレーDIYなので、ホコリが付くのは想定内。多少の粗も含めて“自分でやった感”がある。もちろん気になる人はもっと丁寧にやればいいし、今回は「このくらいでヨシ!」と進めるのもアリ。DIYの自由度って、そういうところにもあるんですよね。

塗装前のフロントホイール。ブラックのホイールをアイボリーに塗ることで、フロント周りの印象を大きく変えていく。

車体からフロントホイールを取り外して作業開始。塗装しやすくするために、まずはホイール単体の状態へ持っていく。

ディスクローターを取り外す。ボルト類やABS用プレートも外すため、ABSセンサー用プレートは、外す前にマーキングしておくと安心。元の位置に戻せるようにして、無用な不具合を防ぎたい。

ホイールは洗浄して細部の汚れを落としておく。汚れや油分が残っていると、せっかくの塗装が剥がれる原因になってしまう。

スポンジ研磨シートで足付け。表面のツヤがなくなるまで荒らして、缶スプレーの塗料が食いつきやすい状態にしておく。

タイヤの空気を抜き、リムとタイヤのすき間にトランプを差し込んでマスキング。タイヤを外さずに塗るための、イシム流DIYテクだ。

まずはホワイトのサフェーサーを数回に分けて塗装。アイボリーの発色を安定させるため、下地の色を整えていく。

サフェーサーが乾いたら、いよいよアイボリーを塗装。一気に厚塗りせず、3〜4回に分けて薄く重ねていく。乾燥後、仕上げにクリヤーを吹けばOKだ。

塗膜の密着度を高めるため、ストーブを使って乾燥。DIYとはいえ、焦らずしっかり乾かすのが仕上がりへの近道。

ホイールを外したタイミングで、ホイールカラーやダストシールをグリスアップ。こういう“ついで作業”が快適さにつながる。

塗装後のホイールへディスクローターとABS用プレートを戻していく。アイボリーのホイールにブレーキ周りが組み合わさると、一気に完成が近づいて見える。

タンクカバーは視界に入るから気をつかう。でもDIYなら割り切りも大事

続いてはタンクカバー。ホイールに比べると簡単そうに思えるけれど、実はこっちのほうが気をつかいます。ホイールはディスクが付くし回転もするので、多少の粗はそこまで気にならない。いっぽうタンクカバーはバイクの中でも目立つ場所にあって、乗っている時にも視界に入る。つまり、仕上がりが気になりやすいパートなんです。

まずはエンブレムを剥がすところからスタート。ドライヤーなどで温めると、比較的きれいに剥がしやすくなります。エンブレムを外したら、ホイールと同じように研磨シートで足付け。表面のツヤがなくなればOKです。塗装の順番はホイールと同じで、サフェーサー、アイボリー、クリヤーの順。置いて塗るより、ぶら下げたほうが塗料のムダも少なく、全体へ吹きやすい印象でした。

ちなみに、クリヤーだけウレタン塗料を使うとガソリンに強い塗膜ができます。タンク周りは給油時にガソリンが付く可能性もあるので、仕上げにこだわるなら選択肢として覚えておきたいところ。そういう“こだわり”を足すのもDIYの楽しさです。

塗装後は、完全硬化まで一週間くらいは見ておきたいところ。乾いたように見えても、塗膜がまだ柔らかいことがあるので、焦って組むと傷を付ける可能性があります。カウル類のツメのはめ込みがキツい場合は、ツメ部分にシリコンスプレーをシュッとひと吹き。組み付け時だけでなく、その後の脱着もラクになりますよ。

タンクカバー中央は黒いままなので、アイボリーとのコントラストもいい感じ。今回はまだ完成車全体のアフターまでは見せられませんが、タンクカバーとフロントホイールを塗ったことで、ブラック基調のXSR125に明るさと遊びを加える準備は完了。たった2ヶ所の色を変えるだけで、雰囲気はガラッと変わるはずです。

塗装前のタンクカバー。XSR125はこの部分の面積が大きいので、色を変えるだけでも車体全体の印象が大きく変わる。

エンブレムはドライヤーなどで温めながら剥がす。無理にこじるより、熱を入れて粘着をゆるめるほうが作業しやすい。

塗装前にタンクカバーをしっかり洗浄。ホイール同様、汚れや油分を落としておくことが仕上がりにつながる。

タンクカバーは吊るして塗装。地面に置いて吹くより全体に塗料を回しやすく、塗料のムダも抑えやすい。

塗装後のタンクカバーを確認するイシム。淡いアイボリーは、ブラック基調のXSR125に明るいアクセントを加えてくれそうです。

カウル類のツメがキツい場合は、シリコンスプレーをひと吹き。組み付け時だけでなく、その後の脱着もラクになる。中央のブラック部分とのコントラストも良く、フロントセクションに狙い通りの軽さが出そうだ。

ついでにステップも塗装。小さな部分の色も全体の印象に効いてくる

ホイールとタンクカバーが主役ではありますが、今回はシルバーが少し悪目立ちしていたステップもついでに塗装しました。使ったのは、凹凸のあるザラッとした塗装面になるチッピングスプレー。こういう質感はスクランブラーらしい雰囲気にも合うし、ブラック基調の車体にも自然に馴染みます。

大きなパーツを塗るだけがイメチェンではなく、細かい部分の色を整えることでも全体のまとまりは変わるもの。しかも“ついで作業”としてできるなら、DIY的にはかなり満足度が高い。塗る場所を増やしすぎると大変ですが、気になっていた部分をひとつ潰すだけでも、見た目の完成度はグッと上がります。

シルバーが少し目立っていたステップも、チッピングスプレーで塗装。ザラッとした質感になり、スクランブラーらしい雰囲気にも似合う。

完成形は次回へ! 同時進行でシート加工も進行中

そして今回、じつはDIY塗装と同時進行でシート加工も進めています。サッカー体型・・・・・・つまり単に足が短いイシムにとって、XSR125の足つきは良いとは言えません。そこでスポンジを削るあんこ抜き加工を、バイク用シート加工で知られる「マルナオ」に依頼しました。

厚みをカットし、内股部分もスリム化する方向。表皮だけでも100種類以上から選べて、あんこ抜きだけでなく、あんこ盛りなどオリジナル加工にも対応してくれるバイク用シートのスペシャリストです。仕上がりまで約二週間。次回はこのシート加工の完成形と、今回塗装したタンクカバー&フロントホイールを組み合わせたXSR125の姿をお披露目予定。

DIY塗装って、正解がひとつじゃないのが魅力。トコトンきれいに仕上げてもいいし、自分のバイクだからと割り切って進めてもいい。今回のイシム流は、ホームセンターで買える缶スプレーと身近な道具で、XSR125の雰囲気をどう変えられるかを楽しむ作戦。完成した姿は次回までのお楽しみということで。

では次回もお楽しみに!

Don’t miss it!

DIY塗装と同時進行で、足つき改善を狙ったシート加工も進行中。スポンジを削るあんこ抜き加工で、シート形状を調整していく。シート表皮は色やパターンの選択肢が豊富。あんこ抜きだけでなく、見た目の雰囲気まで変えられるのがシート加工の魅力。加工作業は「丸直・マルナオ」にお願いした。

塗装とシート加工が完成すれば、XSR125の雰囲気はさらに変わるはず。完成形のお披露目は次回のお楽しみだ。

取材協力

GARAGE146
東京都杉並区井草3-17-17にある現場派ガレージ。代表の石村マサカズさんは業界歴30年以上のベテランで、元ミニバイクレーサー。スクーターからミッション車、カスタムやサーキット遊びまで幅広く対応する。来店時はインスタグラムから連絡を。

ベースマシン紹介|ヤマハ XSR125 ABS

ヤマハ伝統のデルタボックスフレームに水冷4バルブエンジンを搭載する原付二種スポーツ。丸目ヘッドライトやロングシートなど、どこか懐かしさを漂わせるスタイリングを持ちながら、軽快で扱いやすい車体やライダーをサポートする装備も備える。シンプルなデザインだからこそ、今回のようなDIY塗装やスクランブラー化カスタムも似合う。

※この記事は月刊モトチャンプ2026年1月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】