中国の高級車ブランド「デンザ」が、フラッグシップモデル「Z9 GT」の超高性能バージョンを開発していることが明らかになった。最高出力はなんと2000ps級に達するとみられ、ドイツ・ニュルブルクリンクでは早くもプロトタイプの高速テストが始まっている。
狙っているのは、単なる性能向上ではなさそうだ。現在ポルシェが持つ量産EVのニュルブルクリンク最速記録を塗り替える可能性も浮上している。

デンザはBYD傘下のプレミアムブランドで、Z9 GTは大型のスポーツワゴン/シューティングブレーク的なスタイルを採用するフラッグシップモデルである。

今回ニュルブルクリンク北コースで目撃された車両は、通常のZ9 GTとは明らかに異なる姿を見せている。一部では「Z9 GT Xtreme」と呼ばれているが、現時点では正式名称ではないようだ。

最大のポイントは、その驚異的なパフォーマンスである。
情報によると、この高性能仕様は最高出力2000ps級に達する可能性がある。通常のZ9 GTでも1000psを大きく超える性能を持つだけに、さらなる大幅なパワーアップが図られることになる。
そして2000psという数字に対応するため、エクステリアも大きく変貌している。
もっとも目を引くのが、リヤに装着された巨大なスワンネック式ウイングだ。その下には大型ディフューザーも配置され、高速走行時に強力なダウンフォースを発生させることを狙ったものとみられる。
リヤフェンダーも大幅にワイド化され、ボディ側面にはブレード状のエアロパーツを装着。標準型Z9 GTの基本的なシルエットを残しながらも、レーシングカーを思わせる過激なスタイルへと変化している。

一方、フロントは巨大なリヤウイングほど派手ではない。バンパーには大型エアインテークを設け、リップスポイラー両端にはウイングレットを装着している。

ここで重要になるのが冷却性能だ。
2000ps級のEVをニュルブルクリンクで全開走行させるとなれば、モーターやインバーター、バッテリーだけでなく、ブレーキにも極めて大きな熱負荷がかかる。巨大な開口部は、こうした熱対策を重視したものとみられる。
そして、このプロトタイプがニュルブルクリンクへ持ち込まれた理由として浮上しているのが「世界最速」の称号である。現在、ニュルブルクリンク北コースにおける量産EVの最速記録を持つのはポルシェだ。2026年初頭、マンタイ製パフォーマンスキットを装着した「タイカン ターボGT」が6分55秒53を記録したとされている。

デンザの新型が本当に2000ps級の最高出力を実現し、今回確認された巨大なエアロパッケージが十分なダウンフォースを発生させるなら、この「7分切り」は当然ひとつのターゲットになりそうだ。
さらに興味深いのが、テスト車両のカラーリングである。
ボディは鮮やかなティールブルーを基調にオレンジを組み合わせている。この配色はモータースポーツで有名な「ガルフカラー」を連想させるもので、ポルシェのレーシングカーとも縁の深いカラーリングだ。
もちろん偶然の可能性もあるが、ポルシェが強い存在感を持つニュルブルクリンクへ、このカラーリングで乗り込んだことは非常に象徴的である。

ニュルブルクリンクで速いことが、そのまま日常で優れたEVであることを意味するわけではない。それでも約20.8kmに及ぶ北コースでのラップタイムは、車両の加速、制動、旋回、冷却性能を世界へ示す強力な指標であり、メーカーにとって大きなブランド効果をもたらす。
とりわけデンザのように世界市場で存在感を高めようとしている中国ブランドにとって、「ニュルでポルシェを破った」という実績が持つ意味は小さくない。
2000psという桁外れのパワーは、本当にポルシェの牙城を崩すためのものなのか。デンザが正式なタイムアタックへ動けば、中国製高性能EVの実力を世界へ強烈に印象づける一戦となりそうだ。