スマホ充電から家電まで!1500Wの車載コンセントが活躍

経済産業省が公開する資料「平成28年熊本震災への対応と災害対応体制の構築に向けた取組」によると、平成28年熊本地震では本震の発生から約5日、阪神・淡路大震災では発災から6日で停電が解消したとされている。
さらに被害が広範囲に及ぶ地域やアクセスが困難な場所では、電力の完全復旧までに数週間以上もの時間を要することもあり、災害発生直後は一時的にライフラインが完全に途絶える期間が生じてしまうのが実情だ。

そんな万が一の事態において活躍するのが、近年普及が進んでいるハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいは電気自動車(EV)に備わっている給電システムだ。
実際、トヨタのWebサイトでも災害時における非常用電源として車載給電機能の活用法が示されており、避難生活や停電時の有効な防犯・防災対策として推奨されている。
とくに注目すべきは、多くの車種でオプションや標準装備として設定されている「AC100V・1500W」という車載コンセントの存在である。
これは一般的な家庭用のコンセントと同じ規格であるため、専用の変換アダプターなどを介さずに、いつも家で使っている電化製品のプラグをそのまま車に挿して利用できるのが大きな強みだ。

そして、AC100V・1500W等の車載コンセントを活用することで、スマホの充電はもちろんのこと、ご飯を炊くための炊飯器やお湯を沸かす電気ポット、さらには電子レンジといった生活に必要な家電も車外で問題なく動かすことが可能になるという。
また、「プリウス」や「アクア」「アルファード」などの車種はガソリン満タン時に一般家庭の約4日〜5日分に相当する電力を供給できるため、まさに動く発電機として頼もしい存在になるというわけだ。
日常のドライブだけでなく、もしもの時のための安心材料として、車に備わった給電機能を活用するメリットは計り知れず、今後の防災対策としても決して見逃せないポイントといえるだろう。
一酸化炭素中毒を防ぐ安全な給電のルールとは

ただし、こうした便利な車載給電機能を利用するにあたっては、命に関わる重大な事故を防ぐために絶対に守らなければならない安全上のルールが存在する。
とくに、車内給電時に屋内でエンジンを作動させると一酸化炭素中毒の危険があるため、必ず屋外の換気の良い場所で上限ワット数を守り使用することが重要だ。
ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の場合、バッテリーの残量が少なくなると自動的にエンジンが始動してガソリンで発電をおこなうしくみになっているため、もしシャッターを閉めた自宅のガレージや風通しの悪い地下駐車場などの閉鎖空間で給電を続けてしまうと、排出されたガスが充満して短時間で一酸化炭素中毒に陥ってしまうおそれがあるのだ。
一酸化炭素は無色無臭であるため気づきにくく、車内で家電を使いながら待機している間に意識を失うといった取り返しのつかない事故を招くリスクが高い。
そのため、給電機能を使用する際は必ず屋外の風通しが良い平坦な場所に車を停め、周囲の安全を確保したうえでシステムを作動させるよう徹底しなければならない。

また、大雪の日に給電をおこなう際も、降り積もった雪がマフラーの排気口を塞いでしまうと排気ガスが車内に逆流して一酸化炭素中毒を引き起こす原因となるため、定期的な除雪作業が必要不可欠だ。
くわえて、上限を超過するとシステムの保護機能が働いて給電がストップしてしまい、思わぬ故障やトラブルの原因になることもあるため、複数の家電を同時に使う場合は、それぞれの消費電力を合計して1500Wの上限を超えないように計算しながら使用することも忘れてはならない。
愛車の給電機能の有無や接続手順を日頃からしっかり確認しておき、万が一の長時間停電時にも移動する電源として安全に活用できるよう備えていこう。