Mercedes-Benz CLA
Mercedes-Benz CLA Shooting Brake

まるでEVのような走り出し

メルセデス・ベンツ CLA 180
メルセデス・ベンツ CLA 180

メルセデス・ベンツの新世代プラットフォーム「MMA」を採用した新型「CLA」に試乗した。2013年にコンパクトサルーン/シューティングブレークとして登場し、今回で3世代目となるCLAだが、日本市場には1.5リッターガソリンエンジンに48Vハイブリッドシステムを組み合わせた出力違いの「CLA 180」と「CLA 220」の2グレードが導入された。いずれも駆動方式はFWDとなり、それぞれシューティングブレークも設定される。MMAは電動化を前提に開発されており、既報の通りBEVモデルもラインナップされるが、まずは内燃機関モデルではどんな走りを見せるのか、CLA 180セダンから試した。

走り始めてまず驚かされたのが、その静かさと滑らかさだ。CLA 180は最高出力100kW(136PS)、のM252型1.5リッター直列4気筒ターボに、最高出力22kW(30PS)、最大トルク200Nmの電気モーターを組み合わせる。モーターは8速DCT(8F-eDCT)に内蔵され、電力量1.3kWhのリチウムイオンバッテリーが電力を供給する。発進時は15km/h程度までモーターが積極的に働き、エンジンの存在をほとんど意識させない。実際、低速域では「ひとクラス上の高級車に乗っているような」感覚がある。微低速時の回転数は1000rpm程度に抑えられ、発進と停車を繰り返すような場面でも、その切り替えは極めて自然だ。ISGが初搭載された「CLS 450」試乗の衝撃が蘇る。

何より面白いのは、エンジンのスタートボタンを押すことなく走り出せること。乗り込めばいつの間にかシステムが起動し、ブレーキペダルを踏んでDレンジに入れて発進すれば、必要に応じてエンジンが始動する。エンジン始動はDCT内蔵モーターが行い、第3のクラッチたるディスコネクトクラッチによってモーターの切り替えを意識させない。従来のスターターによるキュルキュルという音や振動もなく、走り始めの印象はかなりEV的だ。

滑らかで静粛性の高いパワートレイン

メルセデス・ベンツ CLA 180
M252型1.5リッター直列4気筒ターボ

日常域における扱いやすさに不満はない。モーターのアシストで発進時のトルクが補われ、エンジンスペックの136PSという数字から想像するよりも軽快に動く。一方で、アクセルを深く踏み込んでいくと、駆動の主役はあくまで1.5リッター4気筒エンジンであることを思い出させる。低速域ではモーターがうまくアシストしてくれるものの、速度が上がるにつれて力強さの限界が垣間見える。特に100km/hまでの加速は、停止状態からの立ち上がり感に対して、なかなか速度が乗ってこない印象だ。高性能な遮音材やダブルバルクヘッド構造などで高めたNVH性能は極めて秀逸だが、アクセルペダルを強く踏み込んだ時には4気筒らしい音が聞こえ、頑張っている感が出てくる。エンジンそのものは滑らかで静粛性も十分に高いが、静かに流している時とパワーを要求した時では印象が明確に異なる。

サスペンションはフロントに新開発の3リンク式、リヤにマルチリンクを採用し、路面から伝わるショックを穏やかに受け止める乗り心地は良好だ。試乗車はオプションのAMGラインパッケージ(59万8000円)が装備されており、19インチというBセグにはやや大径サイズのタイヤを履きながらも乗り心地はソフトだった。実はAMGラインパッケージは、ロワードコンフォートサスペンションを装備し、流石にマジックカーペットライドとまではいかないが、乗り心地は快適方向に振られている。タイヤは承認タイヤのブリヂストン・トランザ6を装着していた。

シューティングブレークの魅力

メルセデス・ベンツ CLA 220 シューティングブレーク
メルセデス・ベンツ CLA 220 シューティングブレーク

続いて「CLA 220 シューティングブレーク」へと乗り換える。ボディタイプがワゴンタイプになっても、基本的な乗り味は非常に近い。何も知らされずに乗り換えたら、CLA 180との違いは分からないだろう。しかし、加速した瞬間に出力の違いは明白だ。CLA 220は同じM252型1.5リッター直4ターボエンジンだが、140kW(190PS)に高出力化されている。8F-eDCTモーターの出力とトルクは変わらないものの、踏み始めから明確に力がある。アクセルを軽く踏むだけでスッと前へ出る。CLA 180ではモーターが頑張っている印象だったが、CLA 220ではモーターのありがたみを感じる手前の余裕がある。穏やかに走っていても、必要な時にはアクセルを踏めばしっかり応えてくれる。

CLA 220 シューティングブレークの魅力は、パワートレインだけではない。CLAの流麗なデザインを保ちながら、後方へルーフを伸ばすことで実用性を高めたシューティングブレークの荷室容量は5名乗車時455L、2名乗車時は最大1295Lを確保している。後席は40:20:40分割可倒式シートなので、荷室の使い勝手は良さそうだ。スタイリングと実用性のバランスがちょうどいい。

本当の主役はMBUXか?

メルセデス・ベンツ CLA 180のMBUXスーパースクリーン
メルセデス・ベンツ CLA 180のMBUXスーパースクリーン

だが、新型CLAで走り以上に印象的だったのがMBUXだ。フラグシップの「Sクラス」と(UIは異なるが)同等の最新第4世代MBUXとMB.OSを搭載し、ChatGPTやMicrosoft Bing、Google Geminiなど複数のAIを統合したMBUXバーチャルアシスタントを採用した。会話の文脈を保持しながら自然な会話ができる。つまり単純に決められたコマンドを発話するのではなく、クルマと人間が普通に会話しているような感覚がある。

前日寝違えたカメラマンが「首が痛い」とこぼしたところ、MBUXがそれを理解して「クラシックリラクゼーション」を開始し、助手席のシートマッサージが始まった。MBUXはもはやナビやオーディオを操作するためのシステムではない。車内のさまざまな機能を、人間の言葉で呼び出すための新しいインターフェースになっていると感動した。

ただし、行き届いたサービスを実現するナビやメジャーな音楽ストリーミングサービスを聞けるオーディオは、デジタルプロダクトとして数年で期限(ナビ7年、オーディオ3年)を迎え、それ以降は月額あるいは年額で購入の必要がある。費用は月額1500円程度で、更新せずともオーディオには基本的な機能は残るが、ナビはデジタルプロダクトとして購入しなくては使用できない。もしも中古で購入した場合は注意が必要だ。

インテリアそのものの質感も高い。ダッシュボード全幅に広がるMBUXスーパースクリーン(オプションのアドバンスドパッケージ57万8000円に含まれる)をはじめ、浮遊感のあるセンターコンソールなどによって、先代CLAとは明確に異なるデジタル時代のラグジュアリーを演出している。大きすぎず、小さすぎないボディの室内にはしっかりとした高級感が拡がっていた。

「小さな高級車」という価値

メルセデス・ベンツ CLA 220 シューティングブレーク
メルセデス・ベンツ CLA 220 シューティングブレーク

いずれも短時間ながら2台の新型CLAを試乗して感じたのは、今後のメルセデスが進もうとしている方向性だ。簡易的な48Vハイブリッドで仕上げてみせた発進時の滑らかさ、コンパクトモデルながら高級感を思わせる乗り心地、そして高品質インテリアと第4世代MBUX、そして気の利いたバーチャルアシスタントなどによって、小さくても高級車としての完成度を高めている。特にAIとの会話でクルマそのものがインテリジェントな存在に昇華したと実感した。CLAにはエンジン(ICE)車もEVも用意されるが、そのいずれもが新しいメルセデス・ベンツの理想が体現していると、今後も期待させる内容だった。

PHOTO/平野陽(Akio HIRANO)

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツ CLA 180

ボディサイズ:全長4725 全幅1835 全高1470mm
ホイールベース:2790mm
車両重量:1650kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ+モーター
総排気量:1498cc
最高出力:100kW(136PS)/5500rpm
最大トルク:200Nm/1600〜4500rpm
電気モーター:交流同期電動機
モーター最高出力:22kW(30PS)/1150rpm
モーター最大トルク:200Nm/0〜1000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前3リンク 後マルチリンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ソリッドディスク
タイヤサイズ:前後225/45R18
燃料消費率(WLTC):20.3km/L
車両本体価格:598万円

メルセデス・ベンツ CLA 220 シューティングブレーク

ボディサイズ:全長4725 全幅1835 全高1470mm
ホイールベース:2790mm
車両重量:1670kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ+モーター
総排気量:1498cc
最高出力:140kW(190PS)/5500rpm
最大トルク:300Nm/2000〜3500rpm
電気モーター:交流同期電動機
モーター最高出力:22kW(30PS)/1150rpm
モーター最大トルク:200Nm/0〜1000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前3リンク 後マルチリンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ソリッドディスク
タイヤサイズ:前後225/45R18
燃料消費率(WLTC):19.9km/L
車両本体価格:710万円

「メルセデス AMG CLA 45 4MATIC+」の走行シーン。

システム最高出力680馬力の高性能モーター3基搭載「メルセデスAMG CLA 45 4MATIC+」がデビュー

メルセデス AMGは、フル電動パフォーマンスモデル「メルセデスAMG CLA 45 4MATIC+ セダン」と「メルセデスAMG CLA 45 4MATIC+ シューティングブレーク」を発表した。フロントに1基、リヤに2基のアキシャルフラックスモーターを搭載し、コンパクトなサイズながらも最高システム出力500kW(680PS)を発揮する。

メルセデス・ベンツの研究開発部門で電動パワートレイン開発を担当するアレクサンダー・アスバッハ氏。

次世代メルセデス・ベンツを担う「CLAクラス」の最新技術を紹介【パワートレイン&空力編】

ついに日本導入された新型「メルセデス・ベンツ CLAクラス」。その発表会に際してエンジニアが来日し、CLAに導入された安全技術(パッシブセーフティ)と、パワートレイン、エアロダイナミクスなどについてのプレゼンテーションを行なったので、その内容を報告する。今回はパワートレインとエアロダイナミクスについて。