ADAS系や快適装備は充実、いっぽうでパワートレーンには気になるところも…

新型マツダCX-5には5月に触れているが、改めて確かめたい点がいくつかあった。ひとつは新色の「ネイビーブルーマイカ」をじっくり観察すること。従来のネイビー系カラーである「ディープクリスタルブルーマイカ」の後継に位置付けられるカラーで、北米からのリクエストに応える格好で開発することになったそう。

試乗車はCX-5の最上級グレードであるL。駆動方式は4WD。

「カリフォルニアのような強い光の下でも、しっかりネイビーに見える」ようハイライト部分をより繊細にし、ギラつかないシャープな色味を作り込んだという(開発の背景は「新型CX-5ネイビーブルーマイカの挑戦。最新DXが支えた『世界中で美しく見えるネイビー』の追求」に詳しい)。

ボディカラーは新型CX-5で初採用となったネイビーブルーマイカ。

いっぽうで、広島の曇り空でも、ドイツの曇り空でもハイライトではない暗い部分がしっかりネイビーに見えるよう、デザイナーと塗装エンジニアが協力してきれいな発色の実現に取り組んだ。太陽光がバチッと当たったときだけ美しく見えるだけでは不十分で、曇り空を含めてどんな天気でも美しく見える「青」でなければならない。そうマツダは考え、ネイビーブルーマイカを開発した。で、実際どうなの?と。

真夏の太陽の下で見るネイビーブルーマイカは、強い日差しに負けず「深い青」を主張していた。「深い」というより、「強い」印象だ。夕暮れになって日が落ちたり、夜の人工照明に照らされたりした状態だとより深みが増し、「重み」すら感じる。他のボディカラーに比べ、CX-5をより上質に、フォーマルに感じさせる色だと感じた。

マイカ粒子を微細化したうえで水平に配置することで、クリアな青みと高コントラストを両立した。

前回の試乗では横浜やみなとみらい周辺の幹線道路や首都高速、すなわち比較的ゆったりした車線幅を持つ道路での試乗に終始した。すれ違いに難儀する住宅街の細街路での取り回しはどうなのか。この点を確かめるのも今回の試乗目的のひとつだった。

水平に伸びるインパネとドアトリムが広さと落ち着きを演出するインテリア。Lグレードのセンターディスプレイは、15.6インチの大画面となる。

普段、マイカーのMAZDA3ファストバックで通っている道にCX-5を持ち込むと、さすがに大きさを感じる。一方通行路が交差する住宅街の角を曲がるときは、右の鼻先が向かい側の住宅の塀にぶつかるのではないか、左側の側面が塀をこするのではないかと心配になる。

CX-5は見切りが良く、車両感覚をつかみやすいし、カメラの映像をセンターディスプレイに表示させれば不安なく難所をクリアできる(スイッチがステアリングに設置されたので、マツダの他のモデルより操作は楽だ)。ただ、物理的な大きさはいかんともしがたく、気を使うのは事実。小さなクルマからの乗り換え時は覚悟しておいたほうが良さそうだ。

3360度ビューモニターは全車に標準装備なのがうれしい。画面が大きいから、障害物の有無を確認しやすいのもマル。視点によっては、画面を指で操作して回転させることも可能。

その代わり、広々としたスペースは手に入る。MAZDA3をベースに背を高くしたクロスオーバーSUVのCX-30と同じタイミングで乗り比べてみたが、CX-30と比較しても広々感は圧倒的だ。とくに後席と荷室のスペースに余裕がある。市場投入の時期が7年(CX-30のデビューは2019年)も違うので当然といえば当然だろうが、CX-5のほうが「新しいクルマに乗っている感」を強く感じる。

新型ではホイールベースが115mm延長されたが、後席に座るとその恩恵をすぐに実感できる。
シートのカラーはブラックが標準だが、Lグレードではオプションで人気のスポーツタンが選べる。
後席足元スペースは先代から64mmも向上。身長184cmの乗員が座っても、膝前には余裕がある。
荷室も奥行きの拡大が顕著で、ベビーカーを縦方向に寝かせて積めるのがウリ。

CX-5は後席用のUSB端子(タイプC)が2口備わっているし、リヤにもシートヒーターが装備される(Lグレードに標準、Gグレードにオプション設定)。乗り比べてみると、スペースだけでなくユーティリティ面でもCX-30との違いを意識させられる。

センターコンソール後端に後席乗員用のシートヒータースイッチと充電ポートを備える(Lは標準、GはEXパッケージ、Sは非設定)。

高速道路を利用中にたまたま渋滞に遭遇したので、CTS(クルージング&トラフィックサポート)走行時で自車速度が約40km/h以下の渋滞時にステアリングホイールから手を離せる「ハンズオフアシスト」を体験することができた。ハンズオフが可能になるとメーター表示がグリーンからブルーに切り替わると同時に、「ハンズオフアシスト機能(渋滞時)を開始します」のメッセージが表示される。

色の変化が明白なので「ハンズオフが可能になった」ことがわかりやすい。ハンズオフ中の制御にも不安はない。こうなると全車速でハンズオフできないかと欲が出てしまいそうだが、渋滞時にハンズオフができるだけでもストレスはだいぶ軽減されるのを実感。新型CX-5の価値を高める機能のひとつであると感じた。

渋滞時ハンズオフアシスト機能は、約40km/h以下で作動。渋滞に巻き込まれた際のストレス低減にひと役買ってくれる。

ADAS(先進運転支援システム)系の充実ぶりは新型CX-5の特徴で、車線変更アシストもそのひとつ。CTS走行時に約70〜140km/h走行中に車線変更する際、ウインカーレバーをカチッとなる手前まで操作すると、車両が周囲の安全を監視したうえで適切なタイミングで操舵をアシストしてくれる。ドライバーはステアリングホイールを軽く保持していればいい。

ウインカーレバーを動かすとモタモタせずに反応してくれるので(もちろん安全に車線変更を実行)、充分に「使える」印象だ。プロアクティブドライビングアシスト(PDA)も新型CX-5に加わった新機能で、試す価値があると感じた。PDAは運転時、ドライバーがアクセルペダルを離した際に、シーンに応じて減速支援をしてくれる。車間距離が詰まったときは、先行車に接近しないよう車両側で減速操作をしてくれるし、オーバースピードでカーブに進入した際には車両側が先読みして減速してくれる。

「うっかり」してしまった際にサポートしてくれるのは心強い。わずらわしいと感じるならオフにすることが可能だし、感度は強/中/弱の3段階で調節できる。もしもの際の安心・安全につながるので、試してみる価値のある機能だと感じた。

ドライバーがアクセルオフした際、車間維持やカーブでの減速をサポートしてくれるプロアクティブドライビングアシスト。車間距離や減速度の強さは3段階で調整可能。

アンビエントライト(Lグレードに標準装備)の効果を夜間に確認するのも、今回の試乗で確かめたい点のひとつだった。普段MAZDA3ファストバックに乗っていて、月明かりのない日の森の中のような暗闇で夜を過ごしている身としては、とっても気になる機能である。

フロントドアトリムに、7色から選べるアンビエントライトを用意。間接照明とすることで、上質な雰囲気を演出している。

アンビエントライトはホワイト、オフホワイト、イエロー、オレンジ、ブルーグリーン、パープル、ピンクの7色から選択できる。明るさは9段階で調節が可能。機能をオンにしておくと、フロントドア内側上部が選択したカラーで照らされる。アンビエントライトはフロントドアのみで、リヤはカバーしていない。

明るさは9段階の真ん中、「5」で確かめてみた。一部のドイツ系プレミアムブランドのようにギンギンギラギラなのもどうかと思うが、CX-5のアンビエントライト、光の演出としては極めて控え目である。まぁ、マツダ車の場合は真っ暗闇からスタートしているので、このあたりがいい落としどころなのだろう。フロントだけでなくリヤにも演出が欲しい気がするが…。

今回の試乗では約300km走ってメーターが表示する平均燃費は13.2km/Lだった(Lグレード、4WD)。WLTCモード燃費は14.2km/Lである(市街地モードは10.9km/L、郊外モードは14.4km/L、高速道路モードは16.2km/L)。

2.5Lガソリン+マイルドハイブリッドを積む新型CX-5(4WD)のWLTCモード燃費は14.2km/L。マイルドハイブリッドなしの純内燃機関だった先代の2.5Lガソリンモデル(4WD)のWLTCモード燃費は13.0km/Lだった。

e-SKYACTIV G 2.5の2.5L直列4気筒自然吸気ガソリンエンジンは、信号交差点から巡航スピードまで加速するようなシーンではアクセル早開き(アクセルペダルを少ししか踏んでいないのに、スロットルを大きく開いて出足の良さを演出する制御。エンジン回転が急上昇する)の傾向が見られた。そうでもしないとドライバーがイメージする加速を満たすことができないということなのだろう。やや演出過多な気もするが、ドライバーに加速面でのストレスを感じさせるよりマシということだろうか。

軽い操作領域、すなわちアクセル操作が少し速い状態や浅い踏み込みの段階では、加速力を早めに立ち上げる制御を採用。いっぽうで、アクセルを深く踏み込んでいく領域では線形性を維持しており、操作に対してリニアに反応する。

確かに、動力性能面で不足は感じない。巡航時の静粛性は高い。先代に比べて大きく上質感を増したエクステリア、インテリアのムードにマッチしたパワートレーン(トランスミッションは6速AT)の印象に変わりはない。新型CX-5は全車、インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)によってエンジン再始動を行なうマイルドハイブリッドシステムの「Mハイブリッド」を搭載している。エンジン再始動の応答が良く、滑らかで静かなのが美点。

フロントサスペンション:マクファーソンストラット
リヤサスペンション:マルチリンク

ADAS系や快適装備の充実ぶりからするとパワートレーンに物足りなさを感じなくもないが、動力性能や燃費の面でゆとりを感じたいなら、2027年に導入される予定のストロングハイブリッド仕様を待てということなのだろう。

リヤには「MAZDA」のワードマークを配置。安定感とモダンさを醸し出している。
グレードマツダCX-5 e-SKYACTIV G 2.5 L(4WD)
全長4690mm
全幅1860mm
全高1695mm
室内長1890mm
室内幅1592mm
室内高1299mm
乗員人数(名)5
ホイールベース2815mm
最小回転半径5.6m
最低地上高205mm
車両重量1740kg
パワーユニット2.5L直列4気筒DOHC+モーター
エンジン最高出力131kW(178PS)/6000-6200rpm
エンジン最大トルク237Nm/3800-4000rpm
燃料(タンク容量)レギュラーガソリン(58L)
モーター種類交流同期電動機
モーター最高出力4.8kW(6.5PS)/1000rpm
モーター最大トルク60.5Nm/100rpm
バッテリー種類リチウムイオン電池
バッテリー容量10Ah
トランスミッション6速AT
燃費(WLTCモード)14.2km/L
サスペンション前:マクファーソンストラット式 後:マルチリンク式
ブレーキ前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク
タイヤサイズ225/55R19
価格430万6500円