BEV版マカンとは明確に差別化したモデルとする考えを示しており、別車名となる可能性も

ポルシェが開発を進める新たな内燃機関搭載SUVが、徐々にその正体を見せ始めた。

ポルシェ マカン 次期型 ガソリンモデル プロトタイプ

スペインで高温テスト中の最新プロトタイプが捉えられたが、興味深いのはフロントまわりだ。これまで確認されていた開発車両は、アウディ「Q5」のボディやグリルをほぼそのまま使ったミュールだった。ところが今回の車両では、Q5特有のメッシュパターンとは異なるグリルが装着されている。市販型のデザインを判断できる段階ではないものの、開発が単なるメカニズム確認から、ポルシェ独自のパーツを組み込むフェーズへ移り始めたとみてよさそうだ。

このプロジェクトが最初に注目されたのは2026年3月。ポルシェの開発拠点周辺で、通常のQ5より大きく張り出したホイールアーチを持つテスト車両が目撃された。当時はアウディのグリルまで装着されており、外見だけなら高性能版Q5の開発車にも見える姿だった。今回、その“アウディ色”が少しずつ薄れ始めたことになる。

ポルシェ マカン 次期型 ガソリンモデル プロトタイプ

ベースとなるのは、現行Q5と共通するフォルクスワーゲングループの「PPC(Premium Platform Combustion)」とみられている。Q5はPPCを採用した最初のSUVであり、内燃機関だけでなく48VマイルドハイブリッドやPHEVにも対応する。つまり、すでに販売されているBEV版「マカン エレクトリック」とは、成り立ちそのものが異なるモデルになる。

ポルシェ マカン 次期型 ガソリンモデル プロトタイプ

パワートレーンは、Q5系で使われる2.0L 直列4気筒ターボと3.0L V型6気筒ターボが有力候補だ。さらに、ポルシェのこのクラスとしては初となるPHEVの設定も予想されている。

参考になるのがQ5 e-hybridである。最新型は2.0Lターボとモーターを組み合わせ、EV走行距離はWLTPで最大100kmに達する。ポルシェ版のPHEVについて具体的な性能はまだ明らかになっていないが、同じPPCを使う以上、同程度以上の電動走行性能を狙ってくる可能性はある。

高性能仕様も気になるところだ。現行SQ5は最高出力367psを発生する一方、従来型マカンGTSは2.9L V6ツインターボから440psを絞り出していた。ポルシェがQ5とのキャラクター差を明確にするなら、単に同じパワートレーンを載せ替えるだけではなく、出力やシャシー設定で大きく差をつけることになるだろう。

では、なぜポルシェはここまでして内燃機関SUVを復活させようとしているのか。

ポルシェは当初、マカンを全面的に電動化し、従来のガソリンモデルをマカン エレクトリックへ置き換える方針だった。実際、2025年3月の段階でも、ICE版終了後はマカンをBEV専用モデルとする計画を示していた。ところがEV市場の伸びが想定より鈍化し、ポルシェは商品戦略を修正。内燃機関とPHEVを持つ新たなSUVシリーズを追加する方向へ転換した。

従来型ICEマカンは欧州ではサイバーセキュリティ規制への対応を理由に販売を終了し、世界向けの生産も2026年7月で終了した。一方で需要は依然強く、2026年前半にはICE版の販売台数がマカン エレクトリックを上回っていた。ポルシェにとって、内燃機関を選びたい顧客をそのまま手放すわけにはいかなかったわけだ。

新型コンパクトSUVの市場投入は2028年が有力視されている。ポルシェ首脳も、内燃機関とハイブリッドを用意する新しいコンパクトSUVを短期間で開発し、2028年までに投入する方針を明らかにしている。

ただし、このモデルが最終的に「マカン」を名乗るかどうかはまだ決まっていない。ポルシェはBEV版マカンとは明確に差別化したモデルとする考えを示しており、別車名となる可能性も残されている。

今はまだ「Q5の皮をかぶったポルシェ」に近い。しかし今回、アウディそのままだったフロントに独自パーツが現れ始めた。次に専用ボディをまとったプロトタイプが姿を見せれば、2028年に登場する新型SUVの輪郭は一気にはっきりしてきそうだ。