2026年12月に新型「スカイライン」の披露を予定している日産。その動きと時を同じくして、2002年末に日本市場から姿を消した「セフィーロ」の復活説が海外で囁かれている。もちろん、現時点で日産が新型セフィーロの投入を発表した事実はない。ただ、単なる懐古ネタとして片付けるには興味深い動きもある。日産自身が近年、初代セフィーロのコンセプトを現代のクルマで蘇らせているからだ。

セフィーロは1988年に誕生したミドルサイズセダンである。
初代A31型は、スカイラインやローレルに続く新たなセダンとして登場。FRレイアウトを採用し、RB20DET型2.0L直列6気筒ターボやHICAS-II、マルチリンク式リヤサスペンションなど、当時の日産が持つ技術を惜しみなく投入した。


一方、スカイラインやローレルとは異なる自由なキャラクターもセフィーロの特徴だった。「くうねるあそぶ。」というキャッチコピーを覚えている人も多いだろう。

今回、現代版セフィーロの姿を描いたのは、提携するCGクリエイターのTheottle氏である。
BMW「M5」をベースに、近年の日産車や現行「セントラ」などを思わせるデザイン要素を融合。低く伸びやかな4ドアボディに薄型LEDヘッドライトと大型グリルを組み合わせ、ワイド&ローのスポーツセダンに仕立てた。

フロントには横方向へ伸びる薄型ライトと大型ブラックパネルを配置。サイドは長いノーズからなだらかなルーフへつながるスポーティなプロポーションとし、リアには左右を結ぶLEDランプを採用している。

もちろん、このCGは日産の公式デザインではない。ただ、新型スカイラインの登場が迫る現在だからこそ、セフィーロという名前にも改めて目が向く。
日産のイヴァン・エスピノーサ社長兼CEOは、新型スカイラインを2026年12月に披露する方針を明らかにしている。
次期スカイラインは、日産の再建を担う重要モデルのひとつになる。AIなどを活用した新たな開発プロセスも取り入れ、約26カ月という短期間で開発を完了することを目指しているとされる。
現行V37型は2013年11月に発表され、2014年2月に発売された。次期型が登場すれば、10年以上続いた日産の国内セダンラインアップが大きく動くことになる。

そこで思い出されるのが、日産が2023年に公開した「コンテンポラリー ライフスタイル ビークル(CLV)」である。CLVはスカイラインをベースに製作されたプロトタイプだが、そのテーマとして採用されたのが、初代セフィーロの「くうねるあそぶ」だった。

日産は初代が掲げたコンセプトを現代の「食べる」「寝る」「遊ぶ」として再解釈し、車内に約30もの仕掛けを盛り込んだ。つまり、セフィーロという車名こそ使わなかったものの、その思想を現代のスカイラインによって一度復活させている。
もっとも、セフィーロは3世代を通じて同じキャラクターを守り続けたわけではない。
1994年登場の2代目A32型ではFRからFFへ転換し、マキシマ系とプラットフォームを共有。エンジンも直列6気筒からVQ系V6へ変更された。

3.0L V型6気筒「VQ30DE」を搭載する「30 Sツーリング」は最高出力220psを発揮。1998年には3代目A33型へモデルチェンジしたが、日本では2002年12月に販売を終了し、セフィーロの名前は国内ラインアップから姿を消した。

それから23年以上。セフィーロ復活を示す公式発表は現在までなく、スカイラインと近い車格のセダンをもう1車種投入すれば、価格帯や商品ポジションが重なるという問題もある。それでも、日産が2023年に初代セフィーロの「くうねるあそぶ」をわざわざ掘り起こし、現代のスカイラインで再解釈した事実は残る。
1988年にスカイラインやローレルとは違う選択肢として登場したセフィーロ。まずは2026年12月に披露される新型スカイラインが、日産のセダンをどの方向へ導くのか。その先にセフィーロの名前が再び登場する余地があるのかも気になるところだ。