タントの後席や機能性は今でも通用する! しかしスタイリングは…




タントは今回の改良で、先進安全装備の強化と細かな装備の変更が行なわれた。特別仕様車“デイリーツール”が新たに加わったものの、その実はドアミラーやドアハンドル、ホイールをブラックで塗装しただけのモデルだ。
一方、最新のルークスはスッキリとしたデザインにまとめられ、見た目からしてタントとは隔世の感がある。フロントウィンドウの傾斜を立てて前席の開放感と視認性が高められた。
インテリアも、インフォテインメントディスプレイと7インチ液晶メーターを一体化した先進感溢れるモノリスディスプレイが備わり、落ち着いたインテリアトリムと相まってタントとは雰囲気が大きく異なっている。
しかし室内空間はほぼ互角であり、両車とも成人男性がくつろげるだけの後席空間を持つ。荷室の広さに関してもほぼ同等だ。
違いはシートアレンジの自由度に見て取れる。タントは240mmの後席スライドと、最大580mmの運転席スライドを組み合わせて、運転席に座ったまま対角上の後席にいる子どもの世話ができるように設計されている。
ただし、タントの運転席ロングスライド機能は2万2000円のオプションとなっているうえ、スライドさせるにはロックの解除操作を行なわなくてはならない。その点、後席だけで320mmものスライド量を確保しているルークスは、運転席を後端までスライドさせるだけで後席に手が届くためタントよりもスマートで使いやすい。
しかし、助手席側の柱を廃したセンターピラーレス構造を採用するタントは、助手席ドアとスライドドアの両方を開放すれば子どもの乗せ降ろしが楽に行なえる。ライバルが改良で進化しても、子育てファミリーの用途に限定すればタントの魅力は薄れていない。
ダイハツ タント X
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1755mm
ホイールベース=2460mm
車両重量=910kg
タイヤサイズ=155/65R14(前後)
日産 ルークス X
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm
ホイールベース=2495mm
車両重量=960kg
タイヤサイズ=155/65R14(前後)
燃費性能は僅差でタント! 乗り心地や静粛性は最新のルークスが優れる


タントのパワートレインはスペックを含めて一切変更されておらず、引き続き自然吸気エンジンモデルとターボエンジンモデルが用意される。マルチスパーク機構や高タンブルポートによる高い燃焼効率と、特殊構造のD-CVTで駆動効率を高めているタントはマイルドハイブリッドのような付加物なしでも高い燃費性能を実現している点が特徴だ。
対するルークスも同様に自然吸気モデルとターボモデルが用意されるが、現行型ではマイルドハイブリッドシステムを廃止した。ただし、エンジン内部の摩擦低減とCVT制御の最適化により旧型と同等の燃費を保っている。
WLTCモード平均燃費はタントの22.6km/L(Xグレード)に対して、ルークスが21.0km/L(Xグレード)、市街地燃費を比べても20.5km/Lと19.6km/Lでタントが僅差で優勢となる。
ターボモデル同士を比較しても20.9km/L(Xターボ)と19.3km/L(ハイウェイスターGターボ)でタントが優れるが、その差は1割にも満たない。
一方、走りの質感では最新のルークスがタントを凌駕する。アルミ材の採用によってフロントサスペンションの軽量化が図られたほか、軽自動車初となるカヤバ製“プロスムース”ダンパーを採用し、荒れた路面での乗り心地と高速域での安定性を両立させた。それに併せてリヤサスペンションブッシュの硬度も下げることで、さらなる乗り心地の向上を図っている。
さらに、体重分布を均一にするゼログラビティシートを前後に採用したほか、リヤシートは座面の拡大に加えてクッションに高密度ウレタンを使うことでホールド性と座り心地も高められた。エンジン自体の静粛性の高さに加え、ルークスはフロントウィンドウへの遮音シートや高機能吸音材も配され、静粛性も大幅に向上している。
タントもDNGAに基づく高剛性ボディのポテンシャルは現在においても十分に高いレベルにあるが、乗り心地や静粛性の面では多くの手が加えられたルークスには及ばない。
ダイハツ タント X
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン
排気量=658cc
最高出力=52ps/6900rpm
最大トルク=60Nm/3600rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)
日産 ルークス X
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン
排気量=659cc
最高出力=52ps/6400rpm
最大トルク=60Nm/3200rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)
改良点を厳選したことで、タントの高コスパがさらに際立った


新型タント自然吸気モデル“X”の新車価格は1万1000円値上げの162万8000円、“Xターボ”は6万5000円値上げされた179万3000円だ。対するルークスの自然吸気モデル“X”は173万9100円であり、Xグレード同士での価格差は約11万円にも及ぶ。
大きな車両本体の価格差に加え、アダプティブクルーズコントロール(ACC)やナビなどのオプションを追加するとなるとさらに価格差は広がる。
ルークスにACCを装備するには上位グレードである“ハイウェイスター プロパイロットエディション”を選ぶ必要がある。また、ルークスはターボモデルもハイウェイスター専用グレードとなっており価格はどちらのグレードも200万円超だ。
タントの自然吸気エンジンはACCが5万5000円のオプションだが、ACCの使用頻度が高いターボモデルは今回の改良でACCが標準装備となった。タントはスマートアシストが改善されたことに加え、ACCも先行車の検知距離と精度が高まったうえ、指摘されていたレーンキープ作動時のふらつきも抑えられている。
ナビに関しては、タントのディスプレイオーディオが8万8000円、ルークスのディスプレイオーディオは13万7500円のオプションであり、ここでもわずかに差がつく。
とはいえ、ルークスは高いだけのクルマではない。上品な内外装デザインに加え、高機能な“インテリジェントアラウンドビューモニター”や12.3インチの“NissanConnectインフォテインメントシステム”などの先進装備もルークスの大きな特徴だ。ただし、これら装備は約40万円もの高額オプションとなる。
最新のルークスは、多くの点でタントを凌いでいるが高額だ。ライバルに対して出遅れているタントは、大規模な改良はせずに価格上昇を抑えて提供する戦略を採った。これによりタントの高いコストパフォーマンスがさらに際立つ結果となった。
タントは改良前の時点でもホンダ N-BOXとスズキ スペーシアに次いで売れており、モデルチェンジを急ぐ必要がないとも言える。
すべての人が高機能や高級感を望むわけでもないはずだ。機能性を重視するならタントは依然としてハイコスパな選択となる。特別感ある軽スーパーハイトワゴンに乗りたいなら最新のルークスを選ぶとよいだろう。
車両本体価格
ダイハツ タント X:162万8000円
日産 ルークス X:173万9100円
