Jeepの「アーバン・アドベンチャー」ラインに加わったニューフェイス

NEWコンパスの発売を記念した「ザ・ファーストエディション」。あざやかなイエローの専用カラーが印象的。595万円

「Jeep(ジープ)」というブランドに対しては、ラングラーに代表される本格オフローダーを想像するかもしれないが、いまのジープには大きく2つのラインが存在している。

ひとつは、ラングラーを軸とする伝統的な「オフロード」ライン。もうひとつが、都市の日常にジープのアドベンチャーテイストを表現する「アーバン・アドベンチャー」ラインだ。

フルモデルチェンジした「NEWコンパス」は、まさにアーバン・アドベンチャーラインのニューフェイスである。都市在住でありながらアウトドア志向の強いユーザーに週末の楽しみを広げるといったイメージだ。

具体的には、モダンなスタイリング、優れた環境性能、毎日の使い勝手などがアーバン・アドベンチャーの具体的な構成要素といえる。

まずはスタイリングから注目してみよう。

全長:4550mm・全幅:1910mm・全高:1670mm・ホイールベース:2785mm
NEWコンパス・ザ・ファーストエディション

ジープのアイデンティティといえる「7スロットグリル」がひと目でジープらしさを主張するスタイリングは、スクエアなシルエットも相まって迫力あるものだ。

スペックを見てもわかるように従来の「コンパス」と比べて、全長で13cm、全幅は10cmも大きくなっている。ホイールベースは15cmも長くなり、後席の足元も広い。エントリーグレードで520万円というメーカー希望小売価格からすると、このスタイリングは“コスパがいい”と感じてしまう。

7スロットグリルにはイルミネーションがインストールされている
NEWコンパス・ザ・ファーストエディション

しかしながら、「アーバン・アドベンチャー」ラインとして見ると、大きなボディや長いホイールベースが市街地での取り回し性をスポイルしていないのか、気になるところ。はたして、サイズアップしたボディは市街地走行をスマートにこなすことができるのだろうか。

結論をいえば、初見でも非常に扱いやすかった。スクエアなボディは見切りもいい。ホイールベースは長くなっているが、最小回転半径は5.4mと従来モデルより小回りが効くようになっている。

たしかに全幅の絶対値は1.9mもあるので、狭い道では気を遣う面もあるが、数字から想像するよりもずっと乗りやすい。NEWコンパスは、街中で映えるスタイリングと扱いやすい機動性を両立している。

10.25インチ液晶のフルデジタルメーターと、16インチと大きな画面のセンターディスプレイを採用する

1.2Lターボ&マイルドハイブリッド、優れた燃費性能

パワートレインは、1.2Lターボのマイルドハイブリッド。エンジン単体のスペックは最高出力100kW(136ps)、最大トルク230Nm

従来のコンパスは、2.4LエンジンのFF(6速AT)と4WD(9速AT)というパワートレインだったが、NEWコンパスでは一新された。

フロントに横置きされるパワートレインは、1.2L 3気筒ガソリンターボと6速DCTに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたもの。マイルドハイブリッドといっても低速であればEV走行が可能なほどモーターは力強い。結果として、エンジン単体の最高出力は136馬力だが、システム最高出力は145馬力に達している。

電動化領域を拡大したハイブリッドと聞いて、ジープらしいアクティブさが薄まっているのでは、という心配もあったが、それは杞憂だった。ドライブモードを切り替える「セレクテレイン」でスポーツモードを選んで、アクセルを踏み込めば4000rpmオーバーまで元気よくエンジンが回っていく。軽快かつ力強い感触も味わえる。

赤いパネル部分がセレクテレインのスイッチ。シフト操作はダイヤルタイプ

しかも、NEWコンパスは燃費性能に優れる。WLTCモード燃費は19.6km/Lと、Cセグメントの国産SUVと同等かそれ以上だ。とくに注目は、高速道路モードの燃費が20.5km/Lと優れている点。ガソリンタンクも55Lを確保しているので、週末のドライブでの遠出が楽しみになりそうだ。

この好燃費は、ジープとして過去にないレベルで空力を追求したボディにある。ホイールをカバーするエアカーテンやアクティブシャッターグリルの採用などもあってCd値は0.29を実現。駆動方式をFFとしたことも好燃費につながっている。

まとめると、アーバン的なインテリジェンスと、ジープらしいアクティブさを楽しめるパワートレインを、NEWコンパスは手に入れている。

上位グレードのタイヤサイズは225/55R19。試乗車の銘柄はミシュラン・eプライマシー

前輪駆動ながらサンド/マッド・モードを採用

ところで、いくら燃費性能に優れるといっても「FFのジープ」と聞くと、オフロード走行に不安を覚えるかもしれない。しかし、NEWコンパスは最低地上高200mmを確保しているし、渡河性能は水深408mmといったスペックを誇る。

オフロード走行で気になるアプローチアングルは20度、ランプブレークオーバーアングルは15度、デパーチャーアングルは26度となる。オフロード・ラインのモデルと比べれば、物足りないかもしれないが、アウトドアシーンで出会うちょっとした段差を超えるには十分といえるだろう。

ワインディングでも力強い走りを見せる

注目は、マイルドハイブリッドという電動パワートレインの特性を活かした電子制御だ。モーターならではの自由度を活かして、「セレクテレイン」にはジープのFF車として初めて「サンド/マッド」モードを設定したという。

今回は、ワインディング中心の試乗となったのでオフロード性能を確かめることはできなかったが、赤いパネルのセレクテレイン・スイッチを触っているだけでも、NEWコンパスがジープ一族であることを実感することができた。

ステアリングホイールに7スロットグリルと丸目からなるジープのアイコンが入っているのは楽しい

そして、アクセルペダルを深く踏み込んだときに見せる、ワイルドなキャラクターは荒れ地での走破性を期待させてくれる。正直、運転中に1.2Lターボ・マイルドハイブリッドと意識することはなかった。リニアな特性で、思い通りに加減速できるパワートレインという印象が強く、アーバン・アドベンチャーとして見たときの満足度は高い。

なお、冒頭で紹介した2.4Lエンジンの従来型コンパスも日本では併売される。つまり、NEWコンパスはジープの新しい選択肢として日本に上陸したといえるのだ。

NEWコンパス・グレード構成・メーカー希望小売価格
アルティチュード:520万円
サミット:570万円
サミットスタイルパッケージ:590万円
※スタイルパッケージ装備内容(デュアルパネルパノラミックスライディングルーフ/ブラックルーフ/ヘッドアップディスプレイ)

「コンパス」という車名になぞらえ、フロントバンパー先端に北を示す「N」の刻印が入る。ちなみに、リヤバンパーには「S」の刻印、左右には「E」と「W」が確認できる。