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運転免許は普通自動車。ハーレーダビッドソン のトライクは二輪とも四輪とも異なる操縦性 ハーレーなのに乗り心地はバイクじゃない! バイク業界歴30年のジャーナリストがトライクに初挑戦|ハーレーダビッドソン CVOトライグライド

  • 2020/01/24
  • MotorFan編集部 大屋雄一
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二輪では発生しえない強力な横Gに耐えながらのコーナリング。

2014年シーズンからラインナップに加わったハーレーの純正トライク、FLHTCUTGトライグライドウルトラ。そのファクトリーカスタム仕様がCVOトライグライドだ。排気量を1868ccから1923ccにスープアップし、ホイール径をフロントは16→19インチ、リアは15→18インチへと拡大するなど、全てに贅を尽くした内容となっている。これをトライク自体が初試乗というジャーナリストがチャレンジ。果たして。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ハーレーダビッドソン CVOトライグライド……¥6,380,000~

 長らくラインナップにあったハーレーダビッドソンのサイドカーが2011年モデルを最後にディスコンとなり、その代替え的なモデルとして2014年2月から日本でも販売がスタートしたのがトライグライドウルトラだ。フロント1輪+リア2輪の3輪車という意味では、ハーレーは1932年から1974年までのおよそ40年間にわたり、サービカー(Servi-car)と呼ばれる荷物の運搬を目的とした商用モデルを生産。さらに遡ると、1915年にはフロント2輪+リア1輪のいわゆるリバーストライクを郵便配達用に製造しており、この分野の先駆者とも言えるメーカーなのだ。

ハーレーの純正トライクが40年ぶりに復帰し、そのCVOバージョンがついに登場。

 今回試乗したのは、トライグライドウルトラをベースとしたファクトリーカスタム、CVO(カスタム・ビークル・オペレーションズ)トライグライドだ。ハーレーのレース部門が関与した「スクリーミンイーグル」ブランドのエンジンチューニングパーツをはじめ、H-D純正のパーツ&アクセサリーで隅々までグレードアップされている。ベースモデルとの差額は160万円(!?)をオーバーするが、あとからパーツを揃えてトライグライドウルトラに組み込むよりも圧倒的に安く、さらにカスタマイズのために外した純正パーツが邪魔にならないなど、差額以上のメリットが得られるのだ。

全幅は1390mmだが、かつてのH-Dサイドカー(1936mm)よりは50cm以上も狭い。

 いざCVOトライグライドを目の前にすると、特別なペイントによる存在感、そしてボリュームに圧倒される。全長については、同じバットウイングフェアリングを持つ2輪のウルトラリミテッドとほぼ同じ。ホイールベースも45mm長いだけだが、幅がとにかく広い! 約1.4mもあるので、軽自動車の全幅(1.48m以下)に限りなく近い。ちなみに、BMWのR1250GSなどリッターオーバーのアドベンチャーモデルにパニアケースを装着した場合でも、全幅は1.0mをわずかに超える程度なので、このトライクのボリューム感がいかに規格外であるかがお分かりいただけよう。

乗車姿勢および足着き性はご覧のとおり。ハイウェイペグも装備するが、日本人にとってはかなり遠めだ。

 自立する3輪車なのでサイドスタンドはなく、ゆえに立ちゴケの心配もなし。その点だけを見ればバイクの取り扱いに慣れていないビギナーにも優しいと言えるが、577kgという車重ゆえにハンドルの据え切りは相当な腕力を必要とし、また押し引きのたびに足をリアタイヤに踏まれるというアクシデントに見舞われる。つまり、乗る前からバイクとも4輪とも異なる取り回しのスキルが求められるのだ。

 ライディングポジション、そして眼前に広がるコックピットは完全にツーリングファミリーと共通であり、トライクにまたがっていることを忘れてしまうほど。だからこそ、縁石やガードレールに近付きすぎないという気遣いが求められる。足着き性については、ベースとなったトライグライドウルトラより20mm低く、身長175cmの私で両かかとがわずかに浮く程度。とはいえ、このモデルには電動リバースギアが付いているので、一度またがってしまえば再び駐車するまで足を着く場面はほぼ皆無なので、シートの高さは問題にはならないだろう。

ライダーエイドな電子制御システム、RDRSによって悪天候でもコーナリングは安心。
 このCVOトライグライド、同じ3輪車でもヤマハのナイケンやトリシティのように車体を傾けて旋回する構造ではないので、進行方向を変えるにはハンドルを押すか引くなどして、フロントタイヤを曲がりたい方向へ切る必要がある。ここでスペックをチェックしてみると、26度というキャスター角は2輪のウルトラリミテッドと同じだが、トレール量を170mmから100.1mmへと大きく短縮している。これがトライクの操安性に寄与しているのだろう。とはいえ、停止状態でのハンドル操作は非常に重い。腕力だけではなく、体幹の力や体重を利用するといいようだ。

 1923ccの空水冷45度V型2気筒、通称ミルウォーキーエイト117を始動し、いざスタートする。まず最初に襲ってくる違和感は、4輪に似た車体のロール方向の動きだ。右のリヤタイヤが段差を乗り越えると車体は左へ、左タイヤなら右へ傾くというのは2輪ではあり得ない挙動であり、荒れた路面ではこれが延々と続く。また、車体をバンクさせてのセルフステアが働かないので、走行中はストレートにおいても常にハンドル操作で舵を修正する必要がある。そして、極め付きがコーナリング時に感じる強烈な遠心力だ。リアに215mm幅の極太タイヤを履いていること、またRDRS(REFLEXディフェンシブライダーシステム)と呼ばれる総合的な電子制御システムの助けもあり、濡れた路面でスロットルを少々ラフに開けても滑り出しそうな気配は皆無。だが、グリップ力が高いだけに限界を超えればインリフト、もしくは横転する可能性はあるだろう。

 とはいえ、こうしたトライク独特の操舵に慣れてさえしまえば、一気にこの高額な特別仕様車との距離が縮まる。ワインディングロードではストレート部分で十分に減速し、コーナーの曲率に見合う分だけハンドルを切る。このとき力任せはNGであり、イメージとしては4輪の重ステに近い。旋回中はスロットルオンで弱アンダー、オフで弱オーバーステアとなるので、ハンドルの切れ角は一定のまま右手の動きだけでライン修正が可能。付け加えると、荷重の掛け方によっても旋回力は微妙に変わるようだ。なお、ブレーキは前後連動タイプであり、基本的にはフットペダルのみで事足りてしまう。

 エンジンについては、1923ccという排気量の大きさに身構えていたものの、2輪のウルトラリミテッドより160kg以上も重いので、むしろ車重に見合ったパワーが与えられていると言っていい。街中では3000rpm以下で事足りるほどトルクフルであり、仮にレッドゾーンの始まる5500rpm付近まで引っ張っても1次バランサーのおかげで振動は過大にならない。このエンジンは高めのギアで、具体的には2500rpm付近の狭角Vツインならではの脈動感を感じながら巡航するのが実に心地良い。

 ダイレクトなステアリングレスポンスや挙動、旋回中に感じる横Gなど、レーシングカートをも彷彿させる新鮮な走りが魅力のCVOトライグライド。免許もバイクではなく普通自動車免許で乗ることができ、サイドカーよりも明らかに操縦は容易。実用性の部分で最も大きなアドバンテージはタンデムにおける安心感であり、大切な人とのツーリングがメインという方にぜひ試してほしいモデルだ。

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