BMWには珍しい並列2気筒エンジンを搭載。マキシスクーターBMW・C650 Sport試乗
- 2020/05/24
- 佐藤恭央

2012年に登場したメガスクーター、C600 SportはBMWが手掛けただけに、機能、デザインともに極上の完成度を誇った。今回は、その後継にあたる「C650 Sport」に徹底試乗。スポーツマインドをくすぐる高回転型エンジンに徹底したマスの集中化、独自のユーティリティなどBMWらしさを追求した至高のコミューターの素性やいかに!?
REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)
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BMW・C650 Sport……1,228,000 円〜
ブームに流されず地に足つけたモデルチェンジで躍進!
並列2気筒270度クランクがもたらすビート感!
スポーツの名に偽りのないパフォーマンスを保持
切れ味の鋭いハンドリングに惚れた!
使い勝手良く、いつまでもフレッシュな存在!
●足つきチェック(ライダー身長182cm)
●ディテール解説
■主要諸元■

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BMW・C650 Sport……1,228,000 円〜







ブームに流されず地に足つけたモデルチェンジで躍進!
日本のビッグスクーター(欧州ではマキシスクーターと呼ばれる)ブームが過ぎ去って早10余年。日本では原付2種クラスが活況だが、海外でのマキシスクーターは安定した人気を保っている。

C650 Sportは、2016年にモデルチェンジが行われて現在のC650 Sportに変更された。排気量に変更はないので650の車名でも違和感はない。エンジンこそスペック変更は無かったものの、CVTのワイドレシオ化でパワーバンドが広がり、さらに前後サスペンションも煮詰められて最適化がはかられた。さらに、トラクションコントロール、ASC(オートマティック・スタビリティ・コントロール)も新採用。センタースタンドの掛けやすさが向上するなど、走行性からユーティリティまで全方位で見直されている。
並列2気筒270度クランクがもたらすビート感!

C650 SportはBMWには珍しい並列2気筒エンジンを搭載し、独特の鼓動感が味わえる270度クランクを採用している。これはスクーターと言えども単なる移動手段ではなく、「モーターサイクルのように乗って楽しむべき」という強いこだわりだろう。
また、ボア×ストローク比は、ライバルのTMAX560がロングストローク(ボア70mm×ストローク73mm)であるのに対し、C650 Sportは典型的なビックボア×ショートストローク仕様だ(ボア79 mm×ストローク66 mm)。高回転型にすることでスポーティなキャラクターに仕上げている。CVTミッションこそ一般のスクーターではあるが、足周りの倒立フォークやリヤのスイングアーム&チェーンドライブなども見る限り、スポーティさをウリにするモーターサイクルと変わらない!
スポーツの名に偽りのないパフォーマンスを保持
車両重量は249kgあるので、250~400ccクラスのスクーターとは違って取り回しに重さを感じるが、センタースタンドが驚くほど軽く掛けられて「ホントに250kg近くあるの!?」と疑問に思ってしまった。またがってみると、欧州車独特の腰高なシート位置とやや前傾姿勢がしっくりくるポジションがスクーターらしからぬ印象を与える。
期待に胸を膨らませてエンジンを始動してみる。270度クランクをもつ水冷DOHCツインのサウンドはモーターサイクルと変わらないパルス感があり、ますますスクーターの枠組みを超えていると感じられた。
走り出してみると、スロットルワークに忠実で、タイムラグがなくタイヤにトルクが伝わり、低速域からの鋭い加速を見せつける。これはチェーン駆動なのも効いているようだ。
カタログデータによると最高速度は180km/hとあり、車体の剛性や100km/h時の回転数の余裕からも誇張ではないだろう。
60km/hで回転計は3000rpmを示すが、そこからスロットルひとひねりで回転が盛り上がっていくのは、まさにスポーツバイク的。重量車らしいパルス感のあるエンジンサウンドもスポーツマインドをくすぐる演出だ。
切れ味の鋭いハンドリングに惚れた!
一般的にスクーターはユニットスイングの懸架方式でパワーユニットが後方にレイアウトされるため、構造上リヤヘビーになりやすい。そうなるとフロントの荷重が足りず、フラつきやすくなるが、C650 Sportはエンジンを可能な限り前方向に配置し、チェーンドライブ&スイングアーム方式を採用することで前後の重量バランスを整えている。BMWのスクーター、Cシリーズはスペース的なメリットよりもマスの集中化を優先させており、シリーズの切り込み隊長であるC650 Sportも当然例外ではないのだ。これによって、フロントが極端に軽くなることなく、軽快感を生み出すことに成功している。
使い勝手良く、いつまでもフレッシュな存在!

C650 Sportは走りの実力以外にも、サイドスタンドとパーキングブレーキが連動するシステムや容量可変のシート下スペースなど使い勝手を高めた機能も見逃せない!
発売からしばらく経つC650 Sportが今でも新鮮に映るのは、独自の装備や唯一無二の乗り味があるからともいえる。きっと何年経っても変わらぬ存在であり続けるだろう。
●足つきチェック(ライダー身長182cm)

シート高810mmはスクーターとしてはやや高め。シートやフットボートが幅広のため足着き性が良いとは言えないが、一旦走り出してしまえば足の収まりは良好! ハンドル位置は低く前方にあるので、前傾姿勢がとりやすく、高めのシート高と相まってスポーティなポジションに。
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