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村上菜つみのバイクでカフェめぐり|魔法のような冒険バイク、ホンダ・ADV150 街で見かける、売れ線150ccスクーター【東京・奥多摩ツーリング/番外編 ホンダ・ADV150試乗記】

  • 2020/11/07
  • MotorFan編集部 村上菜つみ
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街なかでの扱いやすさはいうまでもなく、峠道ではロードスポーツにもひけをとらない運動性を発揮します。

このごろ人気のアドベンチャーと呼ばれるバイクは、ハードな長旅を走り切るために生まれたオフロード指向のツーリングバイク。そのスタイルをコンパクトなスクーターで実現したのが、このホンダADV150です。

REPORT⚫️村上 菜つみ(MURAKAMI Natsumi)
PHOTO⚫️高橋 克也(TAKAHASHI Katsuya)

ADV150は全長1960mm、全幅760mm、全高1150mm。車両重量は134kg。堂々とした車格のマシンです。
ぐっとにらみをきかせる凛々しいフロントマスク。走りのよさを感じさせるデザインです。

このごろ人気のアドベンチャーと呼ばれるバイクは、ハードな長旅を走り切るために生まれたオフロード指向のツーリングバイク。そのスタイルをコンパクトなスクーターで実現したのが、このホンダADV150です。

ブラックアウト処理されたガードの奥に光る精悍なヘッドライトが目をひきます。
テールランプの内側にはADV150のクロスオーバーコンセプトを象徴する「X」の光が浮かび上がります。

エンジンなどのメカ部分をきれいに覆ったフルカバード・ボディは、まさにスクーターそのもの。でも、ライダーが足を乗せるフロアパネルは典型的なスクーターの平たい一枚板ではありません。開発ベースとなったPCX150と同じように左右に分割され、まるで巨大なフットペグのよう。スポーツバイクのようにしっかり足をあげてまたがるライディング・スタイルが、ADV150のアクティブな特性をいっそう強調しているようですね。

走行風からライダーを守るフロントスクリーンは、アドベンチャーモデルのアイデンティティ。
スクリーンの高さはサイドのホイールを回せば簡単に調整できます。

ADV150のフロントマスクにアドベンチャーらしさを強く印象づけているスクリーンは、ハイポジションとローポジションの2段階に調整可能。一般道のスピード領域では、どちらにセットしてもライダープロテクション効果に大きな違いは感じられませんでした。でも、高速道路走行時や寒冷期にはきっと頼もしい装備になることでしょう。

インパネには、多機能デジタルスピードメーターをメインに、別体式のセパレートメーターが備えられています。

スクエア形状の大型メーターには、スピードはもちろんのこと、日付や時刻、走行距離、燃料残量、バッテリー電圧などの情報が表示されます。下部のセパレートメーターには各種インジケーターが集められ、一目でマシンの状態が把握できるようになっています。

落ち着いたハンドリングのおかげで、ゆとりをもってワインディングを楽しめます。

ADV150のエンジンは、水冷4ストロークSOHC単気筒149cc。ゆとりの最高出力15PSと、全回転域でフラットなトルクを生み出します。
ガツンと速さを感じるパンチがあるわけではないですが、どんな回転域からでも、どんなシチュエーションからでも、開ければ開けただけスムーズに加速し、気がつくといつの間にかスピードが乗っているタイプのエンジンです。

アイドリングストップ・システムをオンにしておけば、停止時には自動的にアイドリングが止まり、アクセルを開けると自動的に再始動。一連の動作はとてもスムーズです。

ADV150は、停止状態からでも一気にスロットルを開ければするすると軽やかに加速し、またたく間に一般道のスピードリミットに到達します。さほど速さを感じさせないのにしっかり速い、なめらかパワーが持ち味のマシンといえそうですね。

ブレーキは前後ともディスクブレーキ。フロント径240mm、リア径220mmのウエーブディスクを採用しています。

ブレーキは、奥まで握り込めばしっかり利きますが、握り始めはとてもソフト。制動初期に、ちょっとした空走感があって驚くライダーもいるかもしれません。でも、このブレーキは握り込んでゆくにつれて締め上げるようにガッチリと利きはじめるタイプ。コントロールしやすく、レバー入力に応じて必要十分なストッピングパワーを発揮します。

なめらかで速いエンジンと確かなブレーキがADV150の走りをしっかり支えています。

ABSはフロントだけで動作する1チャンネルABSです。ハードブレーキング時には、目立つことなくスルッと自然に介入してきます。カタカタと振動するようなキックバックは感じられず、ブーンという低周波音のような穏やかなキックバックが返ってくるだけなので、ABSの作動時にも違和感がなく、安心してブレーキングできるのが嬉しいですね。

サスペンション・ストロークは、フロントが130mm、リザーバタンク付きダンパー装備のリアが120mm。ゆとりのストロークで乗り心地のよさがしっかり追求されています。

ADV150の操縦性は素直で穏やか。挙動にクイックなところがなく、まるで船にでも乗っているようなゆったり安定した走りです。加減速時のピッチング・モーションもしっかり抑えられています。
また、少しペースをあげて攻め込んでも、速度に応じてぐっと踏ん張る一級品の足のおかげでコーナーワークに不安を感じることはありませんでした。ロードスポーツモデルと同等とまではいえませんが、ほとんど遜色なく走りを楽しめる素晴らしいサスペンションです。

派手なギャップさえなければ、ハードなダートランにも十分こたえてくれる性能です。

アドベンチャーモデルを思わせるデザインのADV150だけに、オフロード性能はやっぱり気になるところですよね。
タイヤなども含め、そのスタイルを見るだけで、バリバリの本格オフロード仕様でないことは誰でもすぐにわかりますが、実際にADV150でダートに踏み込んでみると、重心が低く安定性が高いこともあって、かなりしっかりオフロードランが楽しめました。フラットな林道をのんびり走る程度なら、十分すぎる優れた踏破性です。

オンロードもオフロードも、このマシンなら自由自在! バイク旅の夢がふくらみます。

フルフェイスヘルメットがすっぽり入る容量27Lのシート下ラゲッジボックスや、容量2Lのアクセサリーソケット付きフロントインナーボックスなど、充実した積載装備は、ただ便利なだけでなく、ライダーたちの旅路の夢を掻き立ててくれる装備です。

指先ひとつでパッと開閉できるフロントインナーボックス。便利なアクセサリー電源も付いています。
ADV150は、なにげない日常をワクワクの冒険旅行に変えてくれる魔法のマシン。

ADV150は、広大な砂漠を旅するビッグアドベンチャーバイクとはちょっと違った、いつもの町を旅する小さなアドベンチャーバイク。思い立ったら今すぐにでも、隣町のあの店や裏山へつづく峠道、いつもの海岸、ときには懐かしい故郷の町へと、自分だけの小さな大冒険に出かけられるバイクなのです。

ADV150 主要諸元

車名・型式 ホンダ・2BK-KF38
全長(mm) 1,960
全幅(mm) 760
全高(mm) 1,150
軸距(mm) 1,325
最低地上高(mm)165
シート高(mm)795
車両重量(kg)134
乗車定員(人)2
最小回転半径(m)1.9
エンジン型式 KF38E
エンジン種類 水冷4ストロークOHC単気筒
総排気量(cm3) 149
内径×行程(mm)57.3×57.9
圧縮比★ 10.6
最高出力(kW[PS]/rpm)11[15]/8,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)14[1.4]/6,500
始動方式★ セルフ式
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
点火装置形式★ フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料タンク容量(L) 8.0
変速機形式 無段変速式(Vマチック)
タイヤ 前 110/80-14M/C 53P 後 130/70-13M/C 57P
ブレーキ形式  前 油圧式ディスク 後 油圧式ディスク
懸架方式  前 テレスコピック式 後 ユニットスイング式
フレーム形式 ダブルクレードル

村上 菜つみ

モデル・モータージャーナリスト。
ツーリング雑誌の編集部員を経て、フリーランスとして独立。
オートバイや車での気ままな一人旅を好み、各地のグルメや名湯をレポートし続けている。
月刊モトチャンプにて旅企画「ぶらり二輪散歩」連載中。
FB:https://www.facebook.com/natsumi0606/
Instagram:mi_natsu66

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