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【160ccスクーター】SYM・DRG BT試乗|シャープでシュッ!な見た目通り、走りも軽快でした。

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SYMは、1954年に設立された台湾のサンヤン(山陽工業)が誇るスクーターブランド。日本よりも早く欧州で広く普及して多くの人気を獲得していたメーカーとしても知られている。国内販売はサインハウスで扱われていたが、他ブランドのランブレッタやファンティックと共に現在の扱いは新設されたモータリスト合同会社に移行している。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 モータリスト合同会社

ブラック

SYM・DRG BT.......449.900円

シャープなラインで構成されたイメージスケッチは左の絵からスタートしたそう。

 台湾本国では、22機種ものバリエーションを展開するSYM。150~250cc以下のカテゴリーには全4機種がラインナップされる中、見るからに先鋭的なスポーツスクーターとしてポジショニングされているのがこのDRG BTである。
 そのスタイリングは、まるでアニメの中から登場したかの様に斬新かつ個性的。若いライダーがカスタムする上で良いお手本になる様なシャキッと輝かしい印象がある。
 全体的にシャープでエッジの効いたラインが目立ち、リヤエンドをシュッと尖らせてフィニッシュ。セパレートされた鋭い目つきのフロントマスクや、バイクの様な黒いパイプバー式アップハンドルの採用も意外性がある。
 リヤフェンダーをアンダータイプとし、ナンバーとウインカーはフェンダーマウント。やはり左右にセパレートされたデザインのテールランプはシートカウルエンドにセット。
 ユニットスイング方式は後輪を左の片側から支持するタイプ。モノショックは思い切り前傾して前方にマウント。シートカウルの下側とリヤフェンダー間にスッキリと素通しの空間を空けたデザインも新鮮。漂う雰囲気はどこか未来的である。
 それでいてステップスルーのフラットフロアを持つ標準的なスクータースタイルに融合させている点がとても個性的であり、ひときわ目立つ存在と言えよう。

 同社の公式サイトを覗くと、DRG BTの車名と共に「不耐凡」の文字。翻訳アプリで直訳すると「せっかち」と出た。メーカーが期待する思惑通りの、正しい翻訳かどうかはわからないが、ニュアンスは伝わってくる。
 日本語のカタカナ語で分かりやすく例えると「スプリンター」的な意味合いであることは間違いないだろう。
 実際その開発コンセプトはスポーツライディングを意識したもので、前後輪の荷重配分は50対50にしてあり、マスの集中化も徹底。エンジンやリヤショックは後輪の前方に集中させ、燃料タンクはフロア下に配置。それらのトータルでピッチングを抑え、快適な乗り心地を追求してると言う。
 また驚くべきは、42度もの深いバンク角が確保されている。タンクが納められた関係でフロア下には厚みがあり、フロアの地上高は高めだがカウル下部はスッキリと細くシェイプされたデザインで処理されている。
 搭載された新世代エンジンは水冷SOHCの158cc単気筒。本国資料によると最高出力は「15.5馬力」を発揮。フリクションロスの低減が徹底され、アイドリングストップも標準装備。始動にはACGスターターが活用されており、赤信号停止後の発進でも速やかにかつ静かに再始動されると言う。
 前後ホイールは13インチサイズを装着。ブレーキは前後共にディスクブレーキが装備され、いずれにもBOSCH製のABSが採用されている。

身のこなしは軽快。確かに走りっぷりはスピーディ

 試乗車を目の当たりにすると、とても斬新なスタイリングとごく普通のステップスルーフロアとのマッチングが何ともユニークに感じられた。
 カラーはブラックだが、奥深い所に濃い緑色が混じっている様な独特な艶がある。この他、ホワイト、グリーン、グレーの全4色から選択できると言う。 
 早速股がってみると少し腰高なライディングポジションが印象的。欧州車の様な雰囲気がある。ただ、足をフロアステップに乗せてみるとフロア位置が地上高で325mmと高く、シート段差は少なめ。身長168cmの筆者の体格だと股がほぼ水平になる。
 前下がりのフラットフロアは中央部の前後長で250mm。足を乗せる両サイドは430mmありポジション的に窮屈感のない仕上がり。足の置き場にも自由度がある。
 コーナリング等で意識的に踏ん張りたい時にはフロアから尻上がりで繋がる左右後端部分も使える感じ。スポーティーな走りを楽しむには、幅が狭くなるその細い部分か、あえて後席用ステップを使いたくもなるが、そう考えると乗降性抜群のステップスルーフォルムとはミスマッチな気分にもなってしまう。
 とは言え走り始めると何とも若々しい雰囲気につつまれ、気付くと笑顔でキビキビとした走りを楽しんでいた。
 
 異色デザインのメーターにはデジタルグラフ表示の回転計も装備されいる。6,000rpmからイエローゾーン、8,000rpmからがレッドゾーンの10,000rpmスケールだが、目盛りは2,000rpm毎、表示は1,000rpm毎と大雑把なため実用的ではなく、エンジンの回転具合をイメージとして捉える程度の感覚に過ぎない。
 スロットルを開けると、流石に158ccなりの逞しさを披露してグイグイ加速。そのフィーリングはなかなか元気が良い。特に中速域からの加速力は十分に優れたパフォーマンスを感じる事ができ、その勢いは高速域までしっかりと継続される。
 今回の試乗は市街地のみだったが、高速道路への進入もストレスの無い加速性を発揮するに十分なポテンシャルが感じられた。
 スロットルを絞って減速すると、17km/hまでエンジンブレーキが効き、そこで遠心クラッチが切れてスッと軽く転がるように変化した。
 前後ブレーキは、ごく普通に扱いやすかったが、急制動ではかなり強い握力が要求された。また前後サスペンションは、ややゴツゴツと固い感じで、乗り味としてしっとり感に乏しい。
 しかし、ヒョイヒョイと軽快に身をひるがえしてクィックに旋回態勢に入れる操縦性は確かにスポーティ。あたかも小径ホイールのスクーターに乗るかの様な、タイトなショートサーキットで遊ぶのに適応する感覚である。
 少なくともキビキビとした走りを楽しんで見たい気分になれる事は請け合いだが、その一方で落ち着いた乗り味を好む人には選択肢からはずれてしまう事もまた間違いないだろう。
 結論としては若いセンスを持つユニークなデザインが印象的な、すばしっこいスクーターと表現するのが相応しい感じであった。

足つき性チェック(身長168cm)

シート高はやや高めで、それなりに幅もあるスクーターだけに、足つき性はご覧の通り。両足の踵は少し地面から浮いてしまう。もっとも、バイクを支える上で不安を感じることは無かった。

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