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開幕は3月28日|新型コロナの影響は? 2021年MotoGPのシーズン展望

  • 2021/03/22
  • 伊藤英里
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2021年シーズンMotoGPは例年通りカタールGPで開幕

我々の生活や多くのスポーツやイベントがそうであるように、二輪ロードレースの最高峰、ロードレース世界選手権MotoGPの2021年シーズンも新型コロナウイルス感染症の影響を受けている。開催スケジュールや対策、そして3月下旬に開幕迫るシーズンの見どころを確認していこう。
TEXT●伊藤英里(ITO Eri)
PHOTO●Honda、LCR Honda、MotoGP.com

 2021年シーズンのMotoGPは、カタールGPで開幕。その翌週にカタールGPの開催地、ロサイル・インターナショナル・サーキットで第2戦が行われることになっている。なお、どちらも夜間の時間帯(現地時間)にレースが行われるナイトレースだ。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響でMotoGPクラスの初戦が7月に後ろ倒しとなった2020年はさておき、カタールで開幕戦を迎えたあと、アルゼンチン、アメリカへ渡り、その後、スペインGPからヨーロッパのサーキットを主体に転戦していくのが2014年からのシーズンの通例だった。
 
 しかし、2021年も新型コロナウイルス感染症はMotoGPのレースカレンダーに影響を及ぼすことになった。当初は例年どおり第2戦アルゼンチンGP、第3戦アメリカズGPが予定されていたが、1月22日、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、ロックダウンを鑑み、アルゼンチンGPとアメリカズGPは10月から12月のいずれかで開催予定へと延期になった。2021年3月19日時点では、この2戦の開催日程は明らかになっていない。現在、開催日が発表されているのは全19戦。昨年開催中止となった日本GPは、10月3日決勝日でスケジュールされている。ただ、2021年シーズンも新型コロナウイルス感染症の状況に則した対応は適宜行われるだろう。
 
 感染防止対策という点に目を向ければ、ワクチンである。日本でも医療従事者から接種が始まっているが、MotoGPは3月上旬、カタール政府からワクチン接種の提供を受けることになった。MotoGPのためにパドックで働く全メンバーが対象で、すでにマルク・マルケス(Repsol Honda Team)やバレンティーノ・ロッシ(Petronas Yamaha SRT)などのライダーがワクチン接種を受けている。これが光明となるのか、事の次第を見守っていくことになるだろう。

2021年シーズンMotoGP、注目したいポイント

 ともあれ、開幕戦カタールGPは予定通りに開催の方向で進んでいる。今季のポイントをピックアップしていこう。まず気がかりなところは、マルケスの復帰時期である。マルケスは2019年までにMotoGPクラスで6度ものチャンピオンに輝き、その強さと速さでトップに君臨し続けてきたライダーだ。しかし2020年、マルケスは初戦スペインGPの決勝レースで転倒を喫し、右上腕骨を骨折。このけがにより2020年シーズンを戦わずして終えてしまった。
 
 マルケスは開幕前に行われる公式テストの参加も見送った。しかし3月上旬には8カ月ぶりにミニバイクでバイクの走行に復帰し、16日にはスペインのカタルーニャ・サーキットでホンダの市販車『RC213V-S』を走らせた。開幕戦または第2戦のどちらかで復帰を目指すとも言われている。マルケスはこれまでに常識を覆すような活躍を見せてきたライダーだが、一筋縄ではいかないシーズンになるはずだ。

けがから復帰の時期が注目されるマルケス

 2019年までのMotoGPは圧倒的な存在であったマルケスにいかに挑むか、という図式だった。しかしそのマルケスが不在だったことで、2020年のMotoGPは混戦のシーズンとなったのである。全14戦で9人のライダーが優勝したことも、その証左となるだろう。そして2021年もまた、多くのライダーがしのぎを削る群雄割拠のシーズンとなるかもしれない。
 
 ディフェンディングチャンピオンであるジョアン・ミル(Team SUZUKI ECSTAR)は23歳ながら精神的に成熟したタフなライダーであり、昨年からはアグレッシブな速さにスムーズな走りが加わった。そしてスズキのMotoGPマシンは、全体的なバランスのよさに定評がある。

2020年MotoGPチャンピオンのミル。23歳の若きスペイン人ライダー

 一方、先日行われたカタール公式テストでは、ドゥカティのファクトリーライダーとなったジャック・ミラーが非公式ながらレコードタイムを上回るタイムを叩き出し、ヤマハ勢は3人のライダーが上位のポジションにつけた。コンセッション(エンジンの使用可能基数や開発、シーズン中のテストなどの面で優遇される)の適用を外れたものの、2020年に存在感を増したKTM勢もいる。
 
 そして4年目を迎える日本人ライダー、中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)。2020年にはポールポジションを獲得し、表彰台獲得に迫るレースをも見せた。そして今季、中上は「チャンピオン争いがしたい」と明言している。これまで中上は、堅実に冷静に自身の目標を見据えてきた。そんな彼が明言した2021年の目標は、分厚い現実味を帯びている。

2021年、中上は初めて最新型マシンを走らせる

 もう一人、触れたいのがロッシである。MotoGPを知らずとも、バレンティーノ・ロッシの名前は聞き覚えがあるという人もいるだろう。長らくロードレース世界選手権で戦い続け、絶大な人気を誇っているライダーだ。2021年はヤマハのサテライトチームに移籍したロッシにとって、今季は大きなシーズンだと言えるだろう。契約年数は2021年の1年のみ。人気、実力ともにトップレベルであり続けるロッシは、どのように2021年のシーズンを戦うのか。そして、将来に対するどのような決断を下すのか。42歳のロッシの戦いには注目せざるをえない。

シーズンの戦いとともに去就が注目されるMotoGPの最年長ライダー、ロッシ

 MotoGPというモータースポーツは、ご存知の通りバイクを走らせて争う。けれどそのバイクをコントロールするのは、ひたむきに頂点を目指して研鑽を積んできたライダーたちだ。ライダーは、そのヘルメットに表情を隠し、チャンピオンという称号を目指して何十周ものレースを何戦も戦い抜く。ぜひ、最速の争いを感じてみてはいかがだろうか。きっとその戦いに魅了されるはずだ。開幕戦カタールGPは、3月26日から28日、ロサイル・インターナショナル・サーキットで行われる。

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