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ホンダ・フォルツァ試乗レポート|新エンジンは加速がキビキビ! 161.8km 走行で給油は4.9L。

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フレームやエンジンが一新された第5世代の最新フォルツァに試乗。撮影も含めて短時間ながら、サクッと100マイルを快走した。市街地から高速移動まで乗り心地と使い勝手はとても良い。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO ●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

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ホンダ・フォルツア.......658,900円

走りと使い心地の良さは、まさにオールマイティ!

足つき性チェック(身長168cm)

ディテール解説

⬛️主要諸元⬛️

⚫️試乗後の一言!

ホンダ・フォルツア.......658,900円

パールホライゾンホワイト
インディーグレーメタリック
マットガンパウダーブラックメタリック

 かつてはヤマハ・マジェスティと共に250cc本格派スクーターの人気を牽引したホンダ・フォルツァ。このライバル関係は走りのポテンシャルはもちろん、快適な操縦安定性や様々なユーティリティに至るまで、全てにわたって大きな進化をもたらしてきた。
 現在ヤマハの商品はXMAXに移行。スズキのスカイウェイブはラインナップから消滅してしまっており、フォルツァはこのカテゴリーの代表格的存在になっている。
 今回試乗したのは3月25日に新発売されたモデル。先代デビュー以来2年10ヶ月でフルモデルチェンジとなる。先代の販売計画台数が国内年間で3,000台。今回の最新型は2,000台で計画された所を見ると、市場の縮小を物語っている様にも思われるが、本体価格据え置きで新投入されている所に新型に込めるホンダの意気込みと誠意が感じられる。

 新しくなったポイントについては、既報の通りだが、新デザインのパイプアンダーボーンフレームには新世代環境対応スクーター用エンジンのeSP+を搭載。先代エンジンとの比較でボアは1mm小さく、ストロークは2.2mm 長い67×70.7mmに変更。
 先代エンジンはほぼスクエアに近かったわけだが、少しロングストローク・タイプの249ccへ一新されている。水冷SOHCの4バルブヘッドも吸排気ポート形状を一新。吸排気及び燃焼効率が追求され、フリクションロスの低減化も徹底されたのである。
 また、高性能エンジンに採用例のあるピストンオイルジェットを新採用。これはコンロッドの大端脇からピストンの内側に潤滑オイルを噴射するシステムの事。 
 高負荷時の燃焼温度上昇に対してより安定した冷却性能が期待でき、一段とレベルの高い高性能の発揮(追求)を可能としている。
 
 この他、ラジエター搭載位置が燃料タンク前方に移設され、冷却性の向上と前後重量バランスの熟成を両立。先代モデルよりも若干フロントヘビーにセッティング変更された点も見逃せない。
 装備面の充実ぶりも魅力的で、フロントの電動スクリーンは可動域が従来の140から180mmへ拡大。空力特性とウインドプロテクション性能も進化させている。
 そしてオプションのトップケース(35L容量)には、スマートキー連動タイプが設定され、ユーザーの使い勝手が一段と良くなっているのである。

新設計されたスチール製パイプアンダーボーンフレーム。形状的にはセミダブルクレードルに似た部分がある。
環境性能と動力性能の両立を追求した「eSP+」エンジン。
コンロッドのビッグエンド脇からピストン裏に目掛けて潤滑油が噴射され、燃焼室の冷却に貢献し高出力を発揮する。
楕円形状で容量を稼いだ右出しアップマフラー。排気はキャタライザーの直後でUターンする方式。排気抵抗の低減が追求されている。

走りと使い心地の良さは、まさにオールマイティ!

 このタイプの本格派スクーターに乗ると、いつも感じられる事だが、どっぷりと分厚いシートに腰を落ち着けた瞬間、自分自身がバイクに乗る時とは違うテンションになる事に気付く。
 自然と落ち着ける感覚、リラックスした気分に浸ることができる。バイクに乗るとある種気が引き締まるヒリヒリしたものを覚えるのだが、スクーターはそれが少ないように感じられるのである。
 今回フォルツァに股がった時も直感的に心が安らぐ思いがした。厚く幅の広いシートに腰を下ろすと、屋根こそないが、どこか乗用車(4輪)に乗る様な感覚に近い。
 使い勝手もしかり。スマートキーをポケットに入れて近寄ればイグニッションスイッチを回す事ができ、定位置でシートボタンを押すと前ヒンジシートが開き、ヘルメット2個を収納してもまだ余裕あるラゲッジボックスが現れる。
 その容量はなんと48L。幅も十分なので、A4サイズのビジネスケースも収納可能。それ以前の話、ウエアやブーツにバイク用を選ぶ必要のない気楽さが自由で良い。
 ラゲッジボックスは長さも十分にあるので例えばテニスラケットも入る。実際、コールマンのアウトドアチェア(約75cm)も楽々収納でき、お好みの公園に出かけて日光浴を楽しむのも簡単であった。
 およそ日常シーンで必要となる大抵の荷物は収納できてしまう。そんな気軽な使い勝手は4輪乗用車の荷室と同じと言えるだろう。さらに収納が欲しければテールエンドに装着できるトップケースを使えばプラス35Lの収納容量を稼ぐことができる。しかもスマートキーと連動してくれる点も魅力的である。

 車体はボリューム感があり、幅もある関係で足つき性はスポイルされる。シート高は780mmだが、股下のシートと車体の幅に邪魔されて膝が伸び切らないので、身長168cmの筆者の両踵は軽く浮いてしまう。
 車体を支える上で不安が感じられるレベルではないが、冒頭に記した通りライダーの緊張感が薄れているので、浮き砂など滑りやすい所では、足元がズリッと焦ってしまう事もあるから要注意。停車する時には意識的に腰を立て、背筋と膝を伸ばして着実に地面を捉えるように心がけた。
 ライディングポジションもゆったりと楽に乗れるのが印象的。ステップボードは左右にセパレートされたロングタイプで、膝下や踝でフレームを挟むことも可能。またステップ前方は斜めに立ち上げられており、シートストッパーに腰を押し当て、両足で前方を突っ張ると身体が安定する。
 急減速に耐える身構えも取りやすいし、足を踏ん張る位置の自由度もあって、峠道をスポーティに走る時に対応しやすいのも見逃せないチャームポイントである。
 つまり基本的にラク~に乗れるが、バイクのように意識(積極)的に走らせる時にも対応できるポジションが構築されており、それはかつてフォルツァが、スポーツスクーターとしてのキャラクターを濃くした時代を経て来た名残の様にも感じられた。
  
 エンジンを始動すると乾いたエキゾーストノートは音量が低く、住宅街でもさほど煩くないのが嬉しい。
 スロットルを開けると、十二分にトルクフルな出力特性を体感しながら、穏やかにかつスムーズに加速してくれる。Vマチックと呼ばれる自動無段変速なので、操作は簡単。
 住宅街を抜ける時はだいたい4,000rpm前後、市街地では5,000rpm前後の回転域が活用され、スロットルレスポンスは、大きく重い車体を忘れさせる程にキビキビとしている。それでいて落ち着きの伴う直進安定性があり、コーナーへのアプローチでも車体挙動に安心感がある。
 筆者がこの手のスクーターを買おうと考えると、恐らく同様な機能的魅力があるPCX160も大いに気になると思う。
 ただ、車体のサイズ及び重量差は歴然としたものがあり、走行距離や時間が長ければ長い程、フォルツァの車格と快適な乗り味が魅力的に感じられることは間違いない。
 硬めながらもたっぷりとしたクッション容量が感じられるワイド& ロングシートに座る感覚は上質。今回ロングランは試していないが、座り心地は良い。前述したライディングポジションの関係で尻圧(体重)を軽減する乗り方の工夫もできるので、長距離でも快適そう。
 電動上下スライドできるウインドスクリーンは、走行中でも好みのウインドプロテクションへ簡単に調節でき、高速ロングツアラーとしての機能性も侮れないのである。
 100km/hクルージング時のエンジン回転数は6,100rpm。120km/h時は7,000rpm。回転フィーリングは煩くなく、気になる振動もないので、実に快適。
 直進からコーナリングまで、常にしっとりと落ち着きのある車体挙動や素直な操縦性も乗用車としての心地良さに磨きがかけられているように思えた。
 荒れた路面では、前後サスペンションの衝撃吸収力に甘さが見られた点が唯一気になったが、全体の雰囲気は上質。キャラクターとしてはスポーツスクーターと言うより、ジェントルなスクーターに仕上げられていると感じられたのが印象的であった。

 ちなみに今回の撮影試乗は、約100 マイル(161.8km )を走行。給油は4.9L。満タン法計測の実用燃費率は33km/Lだった。

足つき性チェック(身長168cm)

シート高は780mm。車体幅にボリュームがあるので、膝が曲がり足つき性はご覧の通り両足は踵が浮いてしまう。舗装路の平地で扱う限りは問題なく支えることができるが、足場が滑りやすい所では慎重に扱いたい。

ディテール解説

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