Volvo EX30 Cross Country

クロスオーバースタイルの先駆け

 

車高は標準モデルより20mmアップ。前後バンパーの下にはグレーのスポイラーが装着される。
車高は標準モデルより20mmアップ。前後バンパーの下にはグレーのスポイラーが装着される。

クロスカントリーといえば、ボルボのSUVテイストを高めたグレードとしてクルマ好きにはお馴染みだろう。車高を高めてフェンダーに樹脂製のモールを装着し、もちろん駆動はAWD、といったスタイルは、SUVのタフネスさを表現するビジュアルとしてもすっかり定着している。

そのクロスカントリーがEX30に設定された。EX30はボルボの最もコンパクトなBEVで、もともと背の高いSUVデザインを採用しているが、その車高をさらに20mm高くして、フェンダーにブラックのエクステンションを装着するといったお約束のモディファイに加えて、フロントグリルのほとんどをブラックの樹脂製とするなど、ワイルドさと力強さをアピールするビジュアルを採用している。ホイールもマットブラックの専用品が装着され、全体的に精悍さがアップ。都会的だがちょっとスマートすぎる印象もあったEX30に一気に力強さが加わり、こちらの方が好みだという人も多いだろう。

メカニズム的には車高アップに伴って専用のサスペンションが装着されている。パワートレインは前後にモーターを備える「ツインモーター・パフォーマンス」のみで、シングルモーターが設定されないのはさすがクロスカントリーというところか。

乗り心地もソフトに

走り出して気づいたのは、乗り心地がとても良くなった、ということ。車高を上げた専用サスペンションは全体にソフトな設定となったようで、標準のEX30ではコクンコクンと伝わってきた路面からのショックも、さらに角が丸められた感じだ。だがコーナーで腰砕けになることもないので、ペースを上げても不安になることはない。加速の良さは相変わらずで、特にパフォーマンスモードでのパーシャルからの加速の強烈さは思わず右足を緩めてしまうほど。今まではセンターのモニターでしか切り替えられなかったワンペダルドライブの切り替えスイッチがステアリングに設けられたのも、実用性を高めている。

オフロードや雪道を走る機会はない、という人でもこのクロスカントリーを選んで間違いはないだろう。何しろ標準の「ツインモーター・パフォーマンス」との価格差は20万円しかないのだから。

 

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
MAGAZINE/GENROQ 2025年10月号 

SPECIFICATIONS

ボルボEX30クロスカントリー

ボディサイズ:全長4235 全幅1850 全高1565mm
ホイールベース:2650mm
車両重量:1880kg
フロント最高出力:115kW(156PS)
フロント最大トルク:200Nm(20.4kgm)
リヤ最高出力:200kW(272PS)
リヤ最大トルク:343Nm(35.0kgm)
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後235/50R19
0-100km/h加速:3.7秒
走行可能距離:500km(WLTC)
車両本体価格:649万円

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