用途別に磨き上げる2台のGRヤリス
サーキットとストリート、それぞれの理想形
WRC直系の成り立ちを持つGRヤリス。後期型では各部に細かなブラッシュアップが施され、ノーマル状態でも高い完成度を誇る。しかし、“カンサイサービス”はそこにさらなる進化の余地を見出し、MT車とDAT車という2台のデモカーを製作。それぞれ異なるコンセプトでチューニングを進めている。

代表の向井さんによれば、MT車は「サーキットタイムアタック仕様」、DAT車は「快速ストリートツアラー仕様」という位置付け。単純なパワー競争ではなく、ユーザーがどのような環境でクルマを楽しむのかまで見据えた仕様づくりが特徴だ。

両車に共通するのは、G16E-GTSに対する吸排気系とECUのアップデート。HKS製コールドエアインテーク、メタルキャタライザー、スーパーターボマフラーを組み合わせ、さらに後期型へ対応した「カンサイスポーツECU」を導入している。

中でも注目すべきは、後期ECUの解析と制御最適化に成功したことだ。エンジン本体に大きな変更はないものの、後期型ではECU制御が見直されており、チューニングにおける大きな障壁となっていた。カンサイサービスはその壁を突破し、後期型GRヤリスのチューニングを新たなステージへと押し上げたのである。
MT仕様では、ノーマル時の約1.7キロからブースト圧を約2.0キロまで高めることで、実測368.5psと54.95kgmを発揮。しかも最大トルクは3900rpmという実用域で立ち上がるため、コーナー脱出時の加速力は圧巻だ。高回転域まで鋭く吹け上がる特性も相まって、操る楽しさをさらに高めている。
一方のDAT仕様も、同じくブースト2.0キロ設定で340.2psと51.43kgmをマーク。全域で力強いトルクを発揮しながらも扱いやすく、ストリートユースを重視した仕上がりとなっている。

また、向井さんが「パワーアップ以上に重要」と語るのが熱対策だ。両デモカーにはHKS製インタークーラーとオイルクーラーを装着。純正サブラジエターも活かしながら冷却性能を高めている。さらに、真夏の連続周回走行を想定した追加テストも継続中とのことで、性能維持とエンジン保護の両面から冷却性能を追求している。

派手な最高出力競争ではなく、用途や耐久性まで含めてトータルバランスを磨き上げる。サーキットで速く走るためのMT仕様と、ストリートで快適かつ刺激的に楽しむためのDAT仕様。カンサイサービスの2台のGRヤリスは、それぞれの理想形を高いレベルで具現化したチューンドカーと言えるだろう。
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126
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