VW ゴルフの50周年記念ホットハッチである『ゴルフGTI エディション50』が、ホンダの現行『シビック タイプR』が3年間保持していた、ニュルFF最速レコードを更新し、最速王者へと返り咲いた。

フォルクスワーゲン ゴルフ GTI エディション50

タイプRとGTIのタイム差は驚くほど僅差だ。VWのラップタイムは7分44秒523、ホンダは7分44秒881だ。VWの勝利はわずか0.3秒強。ニュルブルクリンクのロングラップとしては信じられないほどの差だが、技術的にはVWが先にフィニッシュラインを通過したことになる。このラップタイムを記録したのは、レーシングドライバー(兼 VWのテスト開発ドライバー)のベンジャミン・ロイヒターだ。これは彼が記録した2度目のラップタイムで、2025年の記録より約2秒遅いタイムだった。

VWにとって、これは悲願のニュル最速王者奪還となる。エディション50は、2017年から最速のFF車として君臨していた「ホンダ シビック タイプR」を名乗る車から、ニュルブルクリンクのFFラップレコードを実に9年ぶりに奪還したからだ。

しかし、これは容易なことではなかったようだ。エディション50は全長20.8km(12.9マイル)のノルドシュライフェを7分44秒523で周回、ホンダ シビック タイプRの記録をわずか0.358秒上回っての僅差の勝利だった。シビックが、それまでの記録保持者であるルノー メガーヌ トロフィーRを破って最速の座を奪取した際も、その差はわずか0.509秒だった。

歴史を遡ると、VWは、2016年にゴルフ GTI クラブスポーツSでニュルブルクリンクのFF車部門最速記録を樹立。当時の記録は7分49秒21だったが、当時は12.8マイル(20.6km)のコースでしかタイム計測が行なわれていなかったため、最新の記録との直接比較はできない。その後、2017年にクラブスポーツSを5.4秒も上回って、ホンダがFK8 シビック タイプRでタイトルを獲得したのだ。

エディション50は、ターボチャージャー付き2.0L 4気筒エンジンを搭載し、ヨーロッパではGTIに追加できる特別なスポーティなパフォーマンスパッケージだ。このパッケージには、専用のシャシーチューニング、車高を5.0mm下げるローダウン、チタン製エキゾーストシステムの装着、19インチ鍛造ホイールの追加が含まれる。しかし、最も重要なのは、ブリヂストン ポテンザ レース セミリックタイヤが装着可能であることだ。このタイヤが、驚異的なラップタイムに大きく貢献したと考えられる。また、エディション50は通常のGTIよりもはるかにパワフルで、325ps(ゴルフRに匹敵する出力)を発揮する。

王者に返り咲いたゴルフだが、うかうかはしていられないようだ。ホンダはすでに今年後半に改良型シビックタイプRを発表する予定だという。もし性能面で何らかの強化が施されているなら、ホンダがVWの記録に挑戦するのは当然と思われる。たとえ強化がなくても、適切なタイミングで適切な方向に風が吹けば、ホンダは前回の記録をコンマ数秒縮めることができるかもしれない。