他のライダーの転倒や事故に遭遇したら?
まずは、ツーリングをしていて、他のライダーの事故や転倒に遭遇した場合。そんな場面では、できる限り手助けしたいものだが、実際にどのような手順で対応し、何に注意すべきかを知っておくことが重要である。
まず、最初に最低限やるべきなのは、以下の3つだ。
1:負傷者の保護
事故や転倒で負傷者がいる場合は、まずその保護を最優先に行う。この際に重要なのは、周囲の状況をしっかり確認し、自分のバイクを安全な場所に停めてから行動することだ。事故や転倒を目の当たりにして慌ててしまい、危険な場所にバイクを停めてしまうと、二次的に別の事故を引き起こしてしまう可能性があるので注意したい。
現場では負傷者の状態を確認し、必要であれば救急へ連絡する。「119」番に電話し、事故や転倒の内容、発生場所、負傷者の状態などの情報をしっかり伝えるようにしたい。

また、救急車が到着するまでの間、負傷者に手当が必要なときは、可能な範囲で実施したほうがいい。応急処置のやり方には正しい知識も必要となるため、ここでは詳細は割愛するが、運転免許取得時の講習などで受講しているはずなので、不安な人はあらためて確認しておくといいだろう。

2:二次事故の防止
つぎに重要なのが、二次事故の防止である。可能であれば、事故車両を安全な場所へ移動させたい。とくに見通しの悪いコーナー付近では後続車が気づきにくく、追突の危険性があるなど非常に危険だ。移動が可能な場合は、直線など視認性の高い場所へ移すのが望ましい。

また、後続車に事故発生を知らせることも欠かせない。クルマなら発煙筒が常備してあるが、バイクには備わっていないため、もし手元になければ、手を大きく振るなどして注意喚起を行う必要がある。
なお、負傷者の保護と二次事故の防止は同時進行が理想である。周囲に人がいる場合は協力を仰ぎ、役割を分担して対応したい。人手が多い方が、より迅速な対応が可能になる。
3:警察への連絡
警察への連絡も必ず行う。救急へ連絡したときと同様、事故の内容や場所、負傷者の有無などを正確に伝えることが重要だ。携帯電話から通報する場合は、近くの建物や標識など、現場を特定できる目印も伝えるとよい。

ちなみに、単独での転倒で、搭乗者に意識があり元気といった状況でも、事故である以上は警察への連絡が必要となる。とくに、後述するように自分が事故の当事者となった場合、これを怠ると「事故報告義務違反」に問われる可能性がある。「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金」「違反点数3点」といった罰則が科される場合もあるので注意したい。
転倒など自分で単独事故を起こしたら?
次に、自分が事故の当事者となった場合。これも、まずは上記の
1:負傷者の保護
2:二次事故の防止
3:警察への連絡
を行うことが基本となる。
たとえ軽い転倒で、しかも単独事故といった場合でも、警察への連絡は必ず行いたい。前述のように事故報告義務があることに加え、自損事故でも保険を適用する場合には「事故証明書」が必要になるからだ。

相手がいる事故の当事者になったら?
一方、単独ではなく相手がいる事故に遭った場合は、上記1〜3に加えて、以下の対応も行っておきたい。
4:相手方情報を確認
5:目撃者がいるか確認
6:現場の状況を確認
7:保険会社へ連絡
8:車両が動かない場合はレッカーの手配
4の「相手方情報を確認」とは、相手の名前や車両のナンバー、連絡先を控えておくということだ。上記1〜3がある程度済んだ後は、保険会社へも連絡すべきだが、その際にこれら情報が必要となる。
5の「目撃者がいるか確認」や6の「現場の状況を確認」は、後日、事故の示談などがもめた場合に備え、できるだけ事故発生時の情報を多く入手しておく方がいいためだ。もし目撃者がいれば、氏名・連絡先を教えてもらい、控えておくといいだろう。また、事故現場の道路形態(交差点の種類、標識、信号の色など)や住所なども、忘れないうちにメモしておくことをおすすめする。

そして、事故の当事者同士にたいしたケガなどがない場合、警察の現場検証などが終われば、車両を移動させることになる。この時、もし、バイクの破損がひどく安全に走行できない場合は、レッカーを手配し、自宅か修理を依頼するバイクショップなどへ運んでもらうことになる。
レッカーは、JAFなどのロードサービスを呼ぶほか、最近は、任意保険にレッカーサービスも含まれている場合もある。なかには、保険会社と行きつけのバイクショップが提携しており、ショップがレッカー業務も行ってくれるケースもある。いつも修理などを依頼しているショップなので、現場からそのままバイクを店舗へ移動してくれ、修理などを頼めるのでかなり便利だ。

当事者同士の示談NGなど事故後の注意点
ほかにも、事故後に注意しておきたい点がいくつかある。代表的なものを挙げておこう。
【当事者同士の示談はやめておく】
事故後、その場で当事者同士だけによる金銭などに関する示談はやめておいたほうがいい。後日、正式に示談を行う際にトラブルになるケースが多いためだ。その場では必要な情報交換を行い、警察の到着を待ち、その後の対応は保険会社に任せるのが基本となる。
また、相手から「警察に連絡しないでほしい」と言われることもあるかもしれないが、それには応じないようにしたい。事故は時間の経過とともに相手の対応が変わることもあり、その場の判断次第では不利な状況になってしまう可能性もある。くれぐれも事故対応は慎重に行うことが大切だ。
【ヘルメットなどを保存しておく】
事故の際に着用していたヘルメットやウェアは、傷ついているからといってすぐに処分しないほうがいい。「どれほどの衝撃を受けたか」を示す重要な証拠となる場合があるためだ。買い替える場合でも、写真撮影や保険会社の確認が終わるまでは保管しておくことをおすすめする。
また、ドライブレコーダーを装着している場合、その映像が事故の証拠となることもある。上書きされてしまう前にSDカードを抜き取り、データを早めにPCなどへ保存しておきたい。

ツーリング前に「まさかのとき」に備えた準備を
転倒や事故はない方がいいのは当然だが、誰にも「万が一」は起こりうる。そんな時に、正しい対応法を知っておけば、慌てず、適切な処理や対処ができるはずだ。
また、ヘルメットはもちろん、プロテクター自体やそれを内蔵するウェアの着用などで自分の体を守ることも大切だ。

さらに、任意保険への加入や、仲間とツーリングする場合は緊急連絡先を共有するなど、まさかの時に対処できる準備をしておくと、現場で落ち着いた対応をしやすい。事前の準備が、ライダー自身の安全と安心につながるといっても過言じゃないだろう。
