
HONDA DJ・1R ■発売:1986年 ■発売当時価格:12万9000円

1985年に登場したDJ・1のスポーツバージョンとして1986年3月に発売されたDJ・1R。排気系の見直しによって最高出力を5.5psへ向上させたほか、前後10インチホイールやチャンバータイプマフラー、アンダースポイラーなどを装備。当時の若者向けスポーツスクーターとして人気を集めた。翌1987年には最高出力6.0psへ進化した後期型も登場し、その後は後継のDJ・1RRへとバトンタッチしている。
パーツさえ揃えば、数日で組めます!

真紅に輝くボディとスポーティなローダウンフォルムが目を引くこちらのDJ・1R。製作したのはハチロクや70カローラなどのスタンス系カスタムカーで知られるイナズマワークス代表のイケDさんだ。エンジンルームまで徹底的に作り込むスタイルで数々のアワードを受賞してきた実力派ビルダーでもある。
そんなイケDさんがDJ・1Rで遊び始めたきっかけは、友人から譲り受けたボロボロの車両だった。
「昔はライブDio ZXに乗っていたんです。原付のカスタムが大好きで、モトチャンプを読んでは通販でパーツを買い、仲間と遊んでいました。最近になって古い原付のデカールや雰囲気がいいなと思っていたら、友人からDJ・1Rを譲ってもらえたんです」
そこから車作りの息抜きも兼ねてレストアを開始。完成までには約半年を要したという。

純正感を残した“大人のDJ・1R”
DJ・1は「Dolphin Jump(イルカのジャンプ)」に由来する流麗なボディラインが特徴。その後継モデルとして登場したDJ・1Rは、チャンバー風マフラーや前後10インチホイール、アンダースポイラーなどを装備し、最高出力も5.5psへ向上したスポーツグレードだった。

レストアにあたっては歪んでいたフレームを交換し、エンジンはスーパーディオ用縦型ユニットへ換装。さらに足周りにはスーパーDio ZX用パーツを流用し、ディスクブレーキ化も実施している。
しかし本人は「全然こだわってないですよ(笑)」と語る。
「程度のいい外装やパーツを探したぐらいです。あとはハンドルポスト下を25mmカットしてライトカウルを下げたり、エンジンハンガーを加工してホイールベースを伸ばしたりしています」

シートは張り替えに加え、あんこ抜きとロゴペイントを実施。純正のイメージを崩さず、さりげなくスポーティさを高めている。
そして何より印象的なのが、純正デカールへのこだわりだ。

「この絶妙なダサさがイイんですよ(笑)」
当時ならではのグラフィックをあえて残すことで、DJ・1Rらしさを際立たせている。
絶版原付は今でも十分遊べる!
旧車スクーターと聞くと維持や部品調達が大変そうなイメージもある。しかしイケDさんの答えは意外だった。
「大変なことはほとんどありませんね。強いて言えばパーツ探しくらいです。キレイな外装を探すのは苦労しますが、パーツさえ揃えば2〜3日で組めちゃうと思います」
もちろん流用パーツが多いため加工が必要になるケースもあるが、それも含めて楽しみのひとつだという。

こうして完成したDJ・1Rを改めて眺めると、純正感をしっかり残しながら遊び心を加えた絶妙なバランスが実に見事。後ろに並ぶ歴戦のチューニングカーにも負けない存在感は、80年代スポーツスクーターならではの魅力と言えるだろう。
ディテールチェック



イメージキャラは『F』の赤木軍馬!

DJ・1Rのカタログには、人気漫画『F(エフ)』の主人公・赤木軍馬が登場していた。F1ドライバーを目指す軍馬の熱いキャラクターは、スポーツスクーターとして売り出されたDJ・1Rのイメージとも好相性。当時のアクセサリーカタログにも起用されており、1980年代らしい勢いを感じさせる演出となっていた。
この記事はモトチャンプ2023年8月号に掲載したものを加筆修正しています。