“忘れ物”は誰にでもあるもの。では運転免許証を故意ではなく、たまたま持っていなかったら違反になるの?また「運転免許証不携帯」「無免許運転」「免許条件違反」の違いは?運転免許証を、ついうっかり忘れてしまった時の反則金や、現場の警察官の対応方法など、筆者の“体験談”も交えてレポートします。 REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

「運転免許証不携帯」「無免許運転」「免許条件違反」の違いとは?

運転免許証は警察官から提示を求められた場合、即座に提示。これは道交法で定められた運転者の義務。

バイクやクルマで走行中、財布や定期入れの中に入れた運転免許証を忘れたことに気付いた…… 。これはベテランのライダーやドライバーを問わず、誰でもついやってしまいがちなミス。 とはいえ、バイクやクルマに乗る時は、常に免許証を“携帯(身に付けておくこと)”しておくことが必須。これは法律で定められた、ライダーやドライバーの義務だ。 もしも検問等で警察官から提示を求められた場合、運転免許証の忘れは「運転免許証不携帯」という違反に問われる。 ●違反名:運転免許証不携帯 ●違反点数:なし ●反則金:自動車/自動二輪車(51cc~)/原付(50cc)→すべて3000円 「運転免許証不携帯」は、上記のような“うっかり忘れ”のほか、運転免許証を紛失するなどして、再交付を申請中に運転した時などにも適用される。 「運転免許証不携帯」は、時折「無免許運転」と混同されることもあるが、両違反は大きく異なる。よくある「無免許運転」の具体例としては、 ・普通自動車免許で自動二輪車を運転するなど、必要な運転免許を取得していないで運転 ・14歳の男子中学生が、原付や自動二輪車を運転 ・運転免許の取消し後に運転 ・運転免許の停止中(免停中)に運転 ・運転免許の交付前に運転 ・有効期限が過ぎた免許証で運転(ただし失効したことに気づかないで運転する「うっかり失効」を除く) もしも無免許運転で捕まった場合、通常は「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」が科せられる。「運転免許証不携帯」に比べ、「無免許運転」は、当然ながら罪が重く、非常に厳しい罰則が待ち受けている。 「無免許運転」に似ているようで違う違反として、「免許条件違反」がある。「免許条件違反」とは、“免許の条件”に関する違反。具体例としては、 ・運転免許証に「AT車に限る」との記載があるのに、マニュアル車を運転 ・「準中型車(5t)に限る」との記載があるのに、中型車(8t)を運転 ・「眼鏡等」の記載があるのに,眼鏡やコンタクトレンズを着用せずに運転 などが挙げられる。免許許可条件違反の違反点数や反則金は、違反した条件によって異なるのが特徴だ。

運転免許証のカラーコピーを“常備”しておけばOK?スマホの写真でも大丈夫?

運転免許証は、財布や定期入れに入れて持ち歩く。これが一般的な傾向だ。財布や定期入れを忘れる=免許証不携帯になる。ならば、運転免許証のカラーコピーを、車検証等と一緒に“常備”しておけばOKなのでは? と考える人もいるはず。 結論としては、不可。道路交通法に明記されている通り、運転中は免許証の原本の携帯が必要で、免許証の提示を求められた時は、いかなる場合も、原本を提示しなければならない。これにより、当然ながらスマホで撮影した運転免許証も不可となる。

「運転免許証不携帯」「無免許運転」「免許条件違反」に関する道路交通法

→「免許証不携帯」に関する法令 道路交通法第95条第2項 免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第67条第1項又は第2項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。 →「無免許運転」に関する法令 道路交通法第64条 何人も,第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項,第百三条第一項若しくは第四項,第百三条の二第一項,第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。),自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。 →「免許条件違反」に関する法令 道路交通法第91条 公安委員会は,道路における危険を防止し,その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは,必要な限度において,免許に,その免許に係る者の身体の状態又は運転の技能に応じ,その者が運転することができる自動車等の種類を限定し,その他自動車等を運転するについて必要な条件を付し,及びこれを変更することができる。

“運転免許証不携帯”で捕まった後、「家の人に免許証を持って来てもらいなさい」「バイクを押して帰りなさい」「バイクやクルマを置いていきなさい」なんて言われる?

「運転免許証不携帯」で捕まったことがある筆者の体験談

もしも運転途中で、運転免許証を忘れたことに気付いた時はどうするべきか?「行き」の場合は、ただちに取りに帰ること。「帰り」の場合は、2度と忘れないよう、よ―く反省すること。 なお、検問などで運転免許証の提示を求められ、提示できずに「運転免許証不携帯」に問われた場合、違反後はどうやって自宅、もしくは目的地まで行けばいいのだろう? 運転免許証を忘れた違反者に対し、現場の警察官は基本的に、「家の人に免許証を持って来てもらいなさい」「バイクを押して帰りなさい」「バイクやクルマを置いていきなさい」「乗って帰りたければ、電車・バス・タクシー・歩きで家に帰り、免許証を持ってきなさい」など、理不尽なことは言わない。「忘れ物は誰にだってある」という考えが、根底にあるわけだ(反則金はちゃっかり徴収するけれど)。 筆者は過去に原付を運転中、「運転免許証不携帯」で捕まったことがある。免許証を財布に入れていたのだが、財布ごと自宅に置き忘れ、原付の二段階右折義務違反&運転免許証不携帯のダブルで白バイに検挙されたのだ。 筆者は「バイクを押して帰れ」「バイクを置いて、バスかタクシーで帰れ」と言われるのではと(仮にそう言われても、財布を忘れているのだから、帰れるわけがないのだが)、内心ヒヤヒヤしていた。しかし白バイの警察官は、筆者の名前と住所から、免許情報を照合。無免許運転でないことが確認できると、青キップを切り、「今後は気を付けてくださいね」と注意しただけで、普通に解放してくれた。

もしもその日のうちに、筆者がまた「二段階右折義務」と「運転免許証不携帯」で捕まったとしたら?

上記の続き。仮に筆者がその日のうちに、再度、「二段階右折義務」と「運転免許証不携帯」で捕まったとしたら? 寄り道をせず、直帰していた最中等々であれば、「二段階右折義務違反」のみで、基本的に「運転免許証不携帯」には問われない可能性が高い。 とはいえ、免許証を取りに帰る余裕があったのに、そうしなかった(翌日に検挙された)等々、現場の警察官の判断により、違反に問われる場合もあるので要注意。とにかく、バイクやクルマに乗る時は、運転免許証は忘れずに!