現在では付いているのが当たり前のカーナビ。何気なく使っているが、そもそも地図の表示方法は「ヘディングアップ」と「ノースアップ」という2種類に大別される。どちらも一長一短あるが、さてアナタはどっち派? TEXT●今 総一郎(KON Soichiro)

遡ること15年ほど前。 高校生だったボクは、放課後はグラウンドで白球を追いかける…… な~んてことはなく 愉快な仲間たちと繁華街のスタバで日が暮れるまで駄弁ったり、ゲーセンで音ゲーやシューティングゲームで盛り上がったり、家に帰れば夕食があるのに唐突にラーメンを食べたりと、自堕落で平穏な日々を過ごしていた。 もちろん、カラオケも遊び場のひとつだった。専用端末で選曲するのだが、面白いのがこの端末の『履歴』を見ると自分たちの前がどんな人だったかを大まかに推測できる点だ。 これと同じことが、ボクらが取材や撮影で使うクルマ(いわゆる広報車)にもあてはまる。それがカーナビの「ヘディングアップ」と「ノースアップ」だ。

進行方向がひと目で分かる、ヘディングアップ

まずは進行方向が常に画面の上になる「ヘディングアップ」だ。 画面が横に長いカーナビ上では進行方面の情報量が少なくなるため、100mほどの縮尺で画面を見る頻度も高まるのが難点でもあるが……直進、右折、左折を的確に把握できる。

横長の画面を活用できる、ノースアップ

にもかかわらず、結構な確率で『北』が画面の上に固定される「ノースアップ」にセットされていることが多いのだ。 たしかに東西の移動なら横長の画面は便利だが、南に進んでいるときはドライバーの判断を一瞬迷わせる。 紙の地図に慣れている年配の人ほど「ノースアップ」を使っているようだが、GPSがなかった大航海時代ならともかく、目的地までの道案内で『北』を把握する必要があるのだろうか? ……と、ここで突然、40代なかばの先輩編集者が口を挟んできた。 「ヘディングアップは、自分がどこに向かっているのか、絶対的な方角がわからない。たとえば北に向かいたいはずなのに、いつのまにか南に向かってしまっていても、画面はひたすらマヌケに自分の向いている方向を上に表示しているだけ。ノースアップなら、自分が間違って南(画面の下方向)に向かっていることがわかる」 「それと、今までの経験上、方向感覚が優れている人、空間を俯瞰で捉えられる人は、たいていノースアップにしている。ヘディングアップ派にはいろんな人がいるけれど、ノースアップ派で方向音痴は見たことがない」 ……だそうだ。ちなみに筆者は20代後半ですよ。

その時代の暮らしぶりが分かるインテリア

正確な統計は取られていないようだが、街中を行き交う人を見ると「ヘディングアップ」が多いように見える。手のひらのスマホを右に左にと向けているのは十中八九「ヘディングアップ」で進行方向を確かめているのだろう。 クルマの進化というとメカニズムに真っ先に注目しがちだが、実はインテリアも奥深い。質感や造形の磨き込みはもちろん、その時代のライフスタイルを垣間見えるのも面白い。例えば、「ホンダ・インサイト」のセンターコンソールはスマートフォンを置くことを念頭に設計されている。 だとしたら、進行方向の状況をより詳しく把握できる縦長ディスプレイが今後普及するかもしれない。すでにテスラやボルボをはじめ、トヨタの「プリウスPHV」など採用例は少ないが実例はある。

最後に余談だが、ナビ以外にも直前まで乗っていたドライバーを推測できるものがある。それが『ラジオ』だ。「ノースアップ」を「ヘディングアップ」に戻した後、オーディオのスイッチを入れると聴こえてくるのは大抵『AMラジオ』だ。