2020年6月、aidea社からデリバリー業務に最適な電動3輪バイク「AAカーゴ」の発売がスタートした。原付一種相当のα4と原付二種のβ4が用意され、マクドナルドの一部店舗ではすでに、マックデリバリーサービスの宅配バイクとして稼働している。AAカーゴはどんな乗り味なのか、α4、β4を試乗してみました。 REPORT●栗栖国安(KURISU Kuniyasu) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


リヤボックスは別売り。汎用タイプのボックスを装着できる。


リヤボックスは別売り。汎用タイプのボックスを装着できる。

出足の良さはさすが電動バイク


発進した瞬間、高トルクを発生するモーターが素早い加速を実現

「aidea」の前身はイタリアのメーカー「アディバ」です。ということは、aideaはイタリアメーカー?と思うのが一般的ですが、実は、神奈川県相模原市の自社工場で生産している日本メーカーなのです。デザインはイタリア、製造は日本といういかにもグローバルなメーカーということができるのです。そんなaideaが展開するのはすべて電動バイクで、次代を見据えたメーカーだといえるでしょう。


神奈川県相模原にあるaideaの製造工場


ショールームは赤坂にあり、レンタルサービスも行っている


天候に左右されずデリバリー業務が遂行できる装備が充実


原付二種となるβ4。車体は原付一種のα4と共通だ


車重は207㎏あるが3輪なので不安は少ない

試乗することになったAAカーゴは、α4、β4ともに共通の車体となっています。タイヤはフロント1輪、リア2輪の3輪タイプで、従来からある3輪スクーターとは異なるリア周りの構造としています。具体的には、ダブルウィッシュボーンを発展させた左右独立懸架サスペンションの採用で、路面状態に影響されにくい安定した走行性を実現したほか、コーナリング時にはリアタイヤもリーンするのが特徴です。そんなリア周りには大型の荷台が装備され、さらにルーフ装備と、デリバリー業務での快適性を高めています。結果的にボディはかなり大柄で、207㎏と車重も増加していますが、3輪なので走行に不安はありません。

搭載するリチウムイオンバッテリーは約4kWhの容量で、α4は0.6kW、β4は1kWの定格出力を発生します。バッテリーは着脱式ではなく、シート下に収納してある専用の充電ケーブルで充電します。200V電源で約3時間で満充電となります。走行可能距離はα4が98km、β4が90kmとなっていて、実走行でも80kmは行くとのことなので、市街地のデリバリー業務には不足ないデータを実現しています。


ゼロ発進で高トルクを発生するのが電動バイクの特色


ガソリン車に比べてコスト面でも電動は有利だ

まずは原付一種のα4に試乗しました。ルーフの付いた車体に乗車する際には、頭をぶつけないように気を遣います。とくに180cm近い長身の僕の場合、頭をすくめないと乗降できません。170cmくらいの身長ならおそらく大丈夫でしょう。フロアボードがステップスルーなので乗降性そのものはいいです。ポジション自体にそれほど余裕があるわけじゃありませんが、乗車姿勢はラクです。シート高も700mmなので足つきに不安はありません。パーキングシステムに関しては、このα4ではスイッチ操作で行う自動タイプを採用しています。余談ですが、スタンドの類は装備していません。


ステップスルーなので乗降しやすい


3輪なので停止時、走行時ともに安定している


長身のテスターにはヘッドクリアランスが少ないが、平均的な体格なら問題なし


シート高は700mmと低いので足つき性は抜群

原付一種規格の出力で200kg以上の車体を果たしてまともに発進させられるのだろうか?と猜疑心を抱きながらアクセルグリップを回してみました。するとどうでしょう、エンジン車よりはるかにトルクフルに、スムーズに加速しました。電力が供給された瞬間から最大の出力が発揮されるモーターならではの特性に、改めて驚きました。それだけじゃありません、低速での走行もしっかり制御できているので、3輪の安定感と合わせて取り回し性は非常にいいと感じました。気を良くして速度を高めていくと、30km/hを過ぎたあたりでディスプレイ内の速度警告表示が点滅し、加速は抑制されます。がんばってもメーター読みで40km/hまででした。

原付一種ということで30km/hの法定速度に合わせた制御がされているのです。しかし欲をいえば、せめて50km/h程度までは出てほしいと思いました。とくに上り坂では加速も鈍るので、交通の流れを悪くしてしまう可能性があります。 その点原付二種となるβ4は、α4同様の発進加速をするだけでなく、そのまま60km/h以上までリニアに速度を高めてくれます。配達エリアが広範囲だったり坂道が多いような地域では、β4のほうが使いやすいでしょう。今回2台を乗り比べるかたちで都心を走行しましたが、β4はスピーディで安心して走ることができました。

低速で軽快かつ高い操縦安定性を見せる

AAカーゴは3輪であることに加え、すべて13インチの大径タイヤを装着しています。そのため悪路走行や段差を乗り越えた際にも衝撃の影響を受ける度合いが小さく、不安な挙動が出ない安定した走行が可能となっています。これなら荷物を積載しても安心です。 スタートすると実に軽快なハンドリングを示します。停止時にはロール方向の動きが抑制され、フラツキが防止されるのですが、走りだした瞬間軽やかなリーン操作ができるようになるのです。さらに慣れてくると、停止したときにサッとロールスイッチあるいはレバーを操作して固定させると、足を地面に着けないまま停止させられます。そこまでできればもう自在に扱えます。

狭い場所での方向転換がしやすいように、バックさせることもできます。右手にあるリバーススイッチを押しながらアクセルを回せばバックするのですが、操作性が非常にいいと感じました。さらにロールしないように固定しておけば乗車したまま足を着けずにバックさせられます。このように、乗り慣れることでいろいろと使い勝手が良くなるのが特徴だとの印象を受けました。

さて、低速ではあまり気にならなかったのですが、いわゆるコーナリング性に関してはちょっとクセがあります。車体をバンクさせるとリアの2輪もリーンするのですが、リアタイヤの接地力が強いこともあってアンダーステアが強く出ます。とくに直角に曲がるときにはラインが外側になってしまいがち。このあたりのハンドリング性に関しては今後、調整を進めていく必要があると思いました。いずれにしても、環境に優しい電動バイクはどんどん普及していくのは確実です。そういう意味からも、aideaという新たなメーカーが誕生したことは歓迎できるのではないでしょうか。


ブレーキはフロント、リアともディスク式。前後連動システムを採用


後輪にホイールインモーターを装備している


リアには独立懸架サスペンションを採用


車体をバンクさせるとリアタイヤもリーンする


車体下部にリチウムイオンバッテリーを内蔵


シート下に収納されている充電コードのプラグ差込口


左スイッチの根元にあるのがロール用スイッチ(α4)


右スイッチ根元のスイッチはパーキングブレーキ(α4)。右下はリバーススイッチだ


β4ではロール、パーキングのロック、解除はステアリング中央のレバーで操作する


メーターはフルデジタルで、ディスプレイは大きく見やすい


スマホなどの充電が可能なUSB端子が装備されている


ウインドスクリーンにはワイパーが装備。スイッチは右パネルに設置


ウインドウォッシャー液の注入口


グッドデザイン賞を受賞したスタイリッシュなデザイン。ヘッドライトはLEDだ


テールランプもLEDを採用し被視認性を高めている


大型の荷台が大量の荷物積載を可能にしている


写真はペリカンケース1520(45.9 ×32.7 ×17.1cm)を入れてみたところ。オプションのボックスは4サイズが用意されている。