サーキットをコンマ1秒でも速く走ることを追求したロードレースマシン。これを公道走行用にアレンジしたのが、市販のスーパーロードスポーツモデル。直進安定性、風力特性、コーナリング特性を突き詰め、超高回転型の水冷4ストDOHC4バルブ直列4気筒ハイパワーエンジンを搭載した国内4メーカーの1000ccフラッグシップモデルを比較。ロードスポーツの神髄を極めた、メーカー最高峰である各モデルの特徴やポイント、違いなどをチェックしてみよう。 REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

サーキットを走るために生まれた「ロードレースマシン」とは?


時速300km/h以上での戦いが展開される、世界最高峰のバイクロードレース、MotoGP。排気量の規定は~1000cc。

ロードレースとは、舗装されたサーキットや一般公道を利用した特設コースにおいて、指定された距離(周回数)を走行、もしくは指定された時間を走行して順位を競うレース。有名なのは、ロードレース世界選手権(MotoGP、Moto2、Moto3)、スーパーバイク選手権、鈴鹿8耐などの世界耐久選手権、全日本ロードレース選手権など。 このレースに出場するロードレースマシンの特徴は、「長い直線、短い直線、高速コーナー、中速コーナー、低速コーナーが錯綜するサーキットを、いかに速く走れるか?」を突き詰めていること。最高速度、加速力、風力特性、コーナリング特性、旋回力、ブレーキング性能、シフトアップ&シフトダウン特性、ハイパワーエンジン、鋭いスロットルレスポンスなど、舗装路を速く、しかも安定して走り、確実に止まり、スムーズに走るための要素が詰まっている。 今回紹介するマシンは、各メーカーが誇るロードレーステクノロジーが注がれた最高峰と呼ぶにふさわしい、ロードレースマシンを一般公道走行用にアレンジしたスーパーロードスポーツモデル。風力特性を極めた外装類、強靭なフレームと足周り、怒涛のパワーとトルクを発揮するエンジン、走りをフォローする最新の各種電子制御システムなど、ゼイタクな装備が満載。モデルによっては、ロードレースの最高峰・MotoGPで培った技術も、惜しみなく盛り込まれている。 各モデルとも、スーパーバイク選手権などのメジャーレース規定に合わせ、1000ccクラスに設定されているのが特徴。つまり、「レースに出場し、勝つこと」を前提に設計されているわけだ。

ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP 278万3000円(消費税10%込)


グランプリレッド

サーキットにおける速さを追求した、新設計の水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒999ccエンジンを搭載。最高出力は218馬力/14,500rpmを発揮。ホンダのMotoGPワークスマシン「RC213V」と同様に、ボア径×ストローク長をΦ81mm×48.5mmの超ショートストローク型に設定。大径バルブの採用とフリクション低減を狙っているのもポイント。スタンダード版の「CBR1000RR-R FIREBLADE(242万円)」もあり。ホンダのレース部門であるHRCからは、「CBR1000RR-R FIREBLADE SP レースベース車」も発売。

ヤマハ YZF-R1M ABS 319万円(消費税10%込)


ディープパープリッシュブルーメタリックC

水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒997ccエンジンは、独自のフィンガーロッカーアームの形状最適化とカムプロフィール見直しで、高回転域の信頼性向上。最高出力は200馬力/13,500rpmを発揮。より自然なスロットル操作感をもたらす、APSG採用の「YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)」、ブレーキ圧力を制御することで最適なブレーキングを実現する「BC(ブレーキコントロール)」、走りに大きく影響するエンジンブレーキを制御する「EBM(エンジンブレーキマネージメント)」などの最新テクノロジーも導入。スタンダード版の「YZF-R1 ABS(236万5000円)」もあり。

スズキ GSX-R1000R ABS 215万6000円(消費税10%込)


トリトンブルーメタリック

最高のパフォーマンスを発揮するスポーツバイクを作るため「走る」「曲る」「止まる」の基本性能の向上を追求。水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒999ccエンジンは、スズキのMotoGPマシン「GSX-RR」に採用されている、正確なバルブコントロールを実現する「スズキレーシングフィンガーフォロワーバルブトレイン」をベースに設計。最高出力は197馬力/13,200rpmを発揮。先進の電子制御も豊富に導入されており、スポーツライディングを徹底サポート。スーパーロードスポーツモデルの中では、極めてコストパフォーマンスに優れた、スズキならではのリーズナブルな価格に設定されている。

カワサキ Ninja ZX-10RR 328万9000円(消費税10%込)


ライムグリーン

2020年スーパーバイク世界選手権において、前人未到の6連続タイトルを獲得したカワサキレーシングチーム。その世界最高峰レースで、さらなる勝利を獲得するために誕生した「Ninja ZX-10R」の進化版が、このNinja ZX-10RR。水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒999ccエンジンは、ラムエア加圧時で214.1馬力/14,000rpmを発揮(Ninja ZX-10Rは213.1馬力/13,200rpm)。新採用されたPankl社製軽量ピストン、チタニウム製コネクティングロッド、新設計の専用カムシャフトなどにより、レブリミットとパワーバンドを引き上げ、サーキットでの扱いやすさをさらに強化。サーキット走行を前提にセッティングしたショーワ製バランスフリーフロントフォーク、BFRC lite リヤサスペンションなどの豪華なパーツも導入。スタンダード版の「Ninja ZX-10R(229万9000円)」もあり。

水冷4ストDOHC4バルブ直列4気筒1000ccのエンジンを比較

ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP 最高出力:218ps/14,500rpm


ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP

●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ直列4気筒 ●排気量:999cc ●最高出力:218ps/14,500rpm ●最大トルク:11.5kgf・m/12,500rpm ●ボア径×ストローク長:Φ81.0mm×48.5mm ●圧縮比:13.2 ●燃費(WMTCモード値):16.0km/L ●ミッション:6速

ヤマハ YZF-R1M ABS 最高出力:200ps/13,500rpm


ヤマハ YZF-R1M ABS

●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ直列4気筒 ●排気量:997cc ●最高出力:200ps/13,500rpm ●最大トルク:11.5kgf・m/11,500rpm ●ボア径×ストローク長:Φ79.0mm×50.9mm ●圧縮比:13.0 ●燃費(WMTCモード値):15.2km/L ●ミッション:6速

スズキ GSX-R1000R ABS 最高出力:197ps/13,200rpm


スズキ GSX-R1000R ABS

●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ直列4気筒 ●排気量:999cc ●最高出力:197ps/13,200rpm ●最大トルク:11.9kgf・m/10,800rpm ●ボア径×ストローク長:Φ76.0mm×55.1mm ●圧縮比:13.2 ●燃費(WMTCモード値):16.6km/L ●ミッション:6速

カワサキ Ninja ZX-10RR 最高出力:214.1ps/14,000rpm


カワサキ Ninja ZX-10RR

●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ直列4気筒 ●排気量:998cc ●最高出力:204ps/14,000rpm ※ラムエア加圧時:214.1ps/14,000rpm ●最大トルク:11.4kgf・m/11,700rpm ●ボア径×ストローク長:Φ76.0mm×55.0mm ●圧縮比:13.0 ●燃費(WMTCモード値):16.5km/L ●ミッション:6速

エンジン形式は4車とも、水冷4ストDOHC4バルブ直列4気筒。最高出力はホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SPが218馬力/14,500rpmでトップ。MAXパワー発生時の回転数は14,500rpmで、驚異的な超高回転型エンジンであることが確認できる。 ボア径×ストローク長は4車とも、ストローク長よりもボア径が大きい、高回転でパワーを稼ぐ、スーパーロードスポーツならではのショートストローク型。中でもCBR1000RR-R FIREBLADE SPのボア径×ストローク長は、他モデルに比べ、Φ81.0mm×48.5mmという超ショートストローク型なのが特徴。圧縮比は4車とも、スーパーロードスポーツらしい13.0以上の高圧縮に設定。

外観・サイズ・重量を比較

ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP


ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP

●全長×全幅×全高:2,100mm×745mm×1,140mm ●ホイールベース:1,455mm ●シート高:830mm ●車両重量:201kg ●最小回転半径:3.8m ●燃料タンク容量:16L

ヤマハ YZF-R1M ABS


ヤマハ YZF-R1M ABS

●全長×全幅×全高:2,055mm×690mm×1,165mm ●ホイールベース:1,405mm ●シート高:860mm ●車両重量:202kg ●最小回転半径:- ●燃料タンク容量:17L

スズキ GSX-R1000R ABS


スズキ GSX-R1000R ABS

●全長×全幅×全高:2,075mm×705mm×1,145mm ●ホイールベース:1,420mm ●シート高:825mm ●車両重量:203kg ●最小回転半径:3.5m ●燃料タンク容量:16L

カワサキ Ninja ZX-10RR


カワサキ Ninja ZX-10RR

●全長×全幅×全高:2,085mm×750mm×1,185mm ●ホイールベース:1,450mm ●シート高:835mm ●車両重量:207kg ●最小回転半径:3.4m ●燃料タンク容量:17L

4車ともサーキットを速く走るために設計された、コンパクトなボディが特徴。サイズはホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SPが全長2,100mm、ホイールベース1,455mmとやや大きめ。もっともコンパクトなのは、全長2,055mm、ホイールベース1,405mmのヤマハ YZF-R1M ABS。4車とも1000ccクラスだが、車両重量はすべて200kg台まで軽量化。

フレーム・前後サスペンション・前後ブレーキ・前後タイヤ等を比較

ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP


ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP

●フレーム形式:アルミ製ダイヤモンド ●フロントフォーク:倒立型オーリンズ製電子制御NPX ●スイングアーム:プロリンク式オーリンズ製TTX36 Smart EC ●前ブレーキ:Wディスク式 Φ330mmディスクローター+ブレンボ製4POTキャリパー(ラジアルマウント型) ●後ブレーキ:ディスク式 ブレンボ製2POTキャリパー ●前タイヤ:120/70ZR17M/C(58W) ●後タイヤ:200/55ZR17M/C(78W) ●キャスター角/トレール量:24°00´/102mm

ヤマハ YZF-R1M ABS


ヤマハ YZF-R1M ABS

●フレーム形式:アルミ製ダイヤモンド ●フロントフォーク:倒立型オーリンズ製電子制御・ERS(エレクトリックレーシングサスペンション) ●スイングアーム:リンク式オーリンズ製電子制御・ERS(エレクトリックレーシングサスペンション) ●前ブレーキ:Wディスク式 4POTキャリパー(ラジアルマウント型) ●後ブレーキ:ディスク式 1POTキャリパー ●前タイヤ:120/70ZR17M/C(58W) ●後タイヤ:200/55ZR17M/C(78W) ●キャスター角/トレール量:24°00´/102mm

スズキ GSX-R1000R ABS


スズキ GSX-R1000R ABS

●フレーム形式:アルミ製ダイヤモンド ●フロントフォーク:倒立型ショーワ製BFF(Balance Free Frontfork) ●スイングアーム:モノショック型ショーワ製BFRC lite(Balance Free Rear Cushion lite) ●前ブレーキ:Wディスク式 Φ320mmディスクローター+ブレンボ製4POTキャリパー(ラジアルマウント型) ●後ブレーキ:ディスク式 Φ220mmディスクローター+1POTキャリパー ●前タイヤ:120/70ZR17M/C(58W) ●後タイヤ:190/55ZR17M/C(75W) ●キャスター角/トレール量:27°00´/95mm

カワサキ Ninja ZX-10RR


カワサキ Ninja ZX-10RR

●フレーム形式:アルミ製ダイヤモンド ●フロントフォーク:倒立型ショーワ製BFF(Balance Free Frontfork) ●スイングアーム:ホリゾンタルバックリンク型ショーワ製BFRC lite(Balance Free Rear Cushion lite) ●前ブレーキ:Wディスク式 Φ330mmディスクローター+ブレンボ製4POTキャリパー(ラジアルマウント型) ●後ブレーキ:ディスク式 Φ220mmディスクローター+1POTキャリパー ●前タイヤ:120/70ZR17M/C(58W) ●後タイヤ:190/55ZR17M/C(75W) ●キャスター角/トレール量:27°00´/27mm

4車とも軽量で剛性の高いアルミフレーム、電子制御システムを導入した高性能サスペンション、ラジアルマウント型のブレンボ製4POTフロントキャリパー(ヤマハ YZF-R1M ABSを除く)など、最新のレーシングテクノロジーが詰まったゼイタクなアイテムを惜しみなく投入。どのモデルも、最高峰に相応しいシャシーが特徴だ。 特に「スタンダード版」を進化させた、ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP、ヤマハ YZF-R1M ABS、Ninja ZX-10RRの3モデルは、髄を極めた超豪華なサスペンション群を導入。サーキット走行派はもちろん、ステータスを重視する一般ライダーにも支持されそうな、走りを重視するライダー垂涎の超ゼイタクなパーツが目白押しだ。

ライディングポジションを比較


ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP。シート高は830mm。 PHOTO●富樫秀明


ヤマハ YZF-R1M ABS。シート高は860mm。 PHOTO●富樫秀明


スズキ GSX-R1000R ABS。シート高は825mm。 PHOTO●山田俊輔


Ninja ZX-10RRのシート高は835mm。写真はカワサキ Ninja ZX-10R SE(前モデル)。 PHOTO●長谷川 徹

4車とも低めに設定されたセパレートハンドルに加え、バンク角を稼ぐためにアップ化され、後退したバックステップを装備。サーキット走行を前提にした、レーシーな前傾姿勢のポジションが特徴だ。

最新の電子制御システム装備を比較

ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP


Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)の作動イメージ図。

・Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC) サーキットにおけるコーナーの立ち上がりなどでのアグレッシブなライディングに貢献するHSTC。このシステムにスリップ変化率を制御するスリップレート制御を新たに採用し、ライダーのスロットル操作に応じた車体コントロール性向上を図った。さらに、前後車輪速センサーからウイリー状態を判断する制御に加え、車体ピッチングの情報を用いたウイリー挙動緩和制御を新たに設定することで、加速を犠牲にすることなく、ウイリーの挙動を緩和 ・車体姿勢制御システム BOSCH(ボッシュ)製6軸IMU(Inertial Measurement Unit)を採用。従来モデルに対し、より車体姿勢の推定精度を進化。 ・TBW(スロットル・バイ・ワイヤシステム) スロットルバルブの開度制御を行うTBW(スロットル・バイ・ワイヤシステム)により、搭載可能となるライディングモードは、パワー/Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)/セレクタブルエンジンブレーキ/ウイリー挙動緩和制御と、CBR1000RR-R FIREBLADE SPでは電子制御サスペンションを加えた各制御レベルを一括で切り替えることができ、ライディングスタイルに合わせたモード選択を可能としている。


素早いシフトチェンジ操作が可能なクイックシフター。

・クイックシフター CBR1000RR-R FIREBLADE SPには、より素早いシフトチェンジ操作が可能なクイックシフターを標準装備。 ・SHOWA(ショーワ)社製ロッド式電子制御ステアリングダンパー ステアリング操作に対する素早い応答性と、耐キックバック性能を備えながら軽量化を図った、SHOWA(ショーワ)社製ロッド式電子制御ステアリングダンパーを新たに装備。 ・ABS 3モードの切り替えシステム ライダーの使い勝手に合わせたABSの3モードの切り替えシステムや、サーキットでの使用を考慮し、より発進時のクラッチ操作に集中することができるスタートモード制御を採用。

ヤマハ YZF-R1M ABS


BC(ブレーキコントロール)の介入イメージ。

・APSG採用のYCC-T(ヤマハ電子制御スロットル) アクセル開度をセンサーとマグネットにより検出し、スロットルバルブ駆動モーターに反映させるシステムにより、軽量化と同時に優れたアクセル操作感を実現した。APSGはスプリング、スライダー、ギアによって操作感を作り込んでおり、アクセル開度が増すに従って可変的に摩擦感(抵抗感)が高まる。これにより、ライダーはより自然なフィーリングでのスロットル操作が可能。 ・BC(ブレーキコントロール) 前輪速度、後輪速度、6軸IMUの各情報をHU(ハイドロユニット。ABSユニットを含む)に集約して逐次演算し、前後輪のブレーキ圧力に反映させる。介入度は2パターンからセレクト可能。直進走行状態での緊急制動に対応する通常ABSモードの「BC1」、さらにコーナリング中の緊急制動時など車両挙動が乱れやすい場面においてもブレーキ圧を制御する「BC2」を用意。


EBM(エンジンブレーキマネージメント)の介入イメージ。

・EBM(エンジンブレーキマネージメント) ギアポジション、エンジン回転数、アクセルポジション、スロットルポジションの情報に基づき、ECU(エレクトリックコントロールユニット)が①スロットル開度、②点火時期、③燃料供給量を制御。扱いやすいエンジンブレーキ特性を実現。EBMは3段階から介入度合いをセレクト可能。好みや走行状況に応じた最適なエンジンブレーキを選択可能。 ・全てのシーンで意のままの走りをサポート 発進から加速、減速、旋回、そしてコーナーからの立ち上がり加速まで、あらゆる走行シーンにおいてLCS(ローンチコントロールシステム)、TCS(トラクションコントロールシステム)、SCS(スライドコントロールシステム)、LIF(リフトコントロールシステム)、QSS(クイックシフトシステム)、BC(ブレーキコントロール)、EBM(エンジンブレーキマネージメント)の各制御が連動して意のままのライディングをサポート。

スズキ GSX-R1000R ABS


モーショントラックTCS(トラクションコントロールシステム)。

・車両の動きと姿勢を検知するIMU 慣性計測ユニット(IMU: Inertial Measurement Unit)を装備した高度な電子制御システム。32-bitデュアルプロセッサーECM(Engine Control Module)によってコントロール。ライダーがスロットルグリップを回すと、ECMはスロットルポジション、クランクポジションと、エンジン回転数、ギヤポジション、前後の車輪速度、IMUのポジション、排出ガス中の酸素濃度を読み取る。そして、点火時期の調整、スロットルバルブの開閉を行い、トラクションコントロールシステムと連動して吸入空気量を最適化し、より効率的かつ完全燃焼を行うよう燃料噴射量を調整。効果的なトラクションコントロールと、よりリニアなスロットルレスポンス、全回転域における排出ガス低減を実現。 ・モーショントラックTCS(トラクションコントロールシステム) 効率的に駆動力をリヤタイヤへ伝えることができるモーショントラックTCS(トラクションコントロールシステム)は、路面の状況、あるいは個人の好みや経験レベルに合わせて、10段階のモードからトラクションコントロール介入レベルを選択可能。モーショントラックTCSは、0.004秒毎に各センサーから情報を受取ることで、高精度な検知をおこなっている。IMUがセンシングした信号を使い、動きと姿勢を演算。モード選択は、スロットル全閉時に操作が可能。 ・ローRPMアシスト ワンプッシュでエンジン始動が可能なスズキイージースタートシステムを装備。スターターボタンを押すと一定時間スターターモーターが回転。ECM(Engine Control Module)が始動状況を認識してスターターモーターを止める。スズキイージースタートシステムと、アイドリングを安定させるアイドルスピードコントロールシステムがコールドスタートを改善し、排出ガス低減に貢献。また、始動の際、ニュートラルであればクラッチレバーを握る必要なし。 ・ローンチコントロール ローンチコントロールシステムは、レースにおけるスタート時に、滑らかで効率的なスタートをサポートするシステム。発進時エンジン回転数を自動的に制限し、出力を制御することにより、ライダーはクラッチミートに集中することができる。ローンチコントロールシステムは、理想的なスタートの加速をサポート。モーショントラックTCSと連携し、スロットルバルブ開度と点火タイミングを制御しながら、前後の車輪速を検知。ローンチコントロールシステムは、4速にシフトアップするか、スロットルを閉じた時点で自動的に解除される。


スズキドライブモードセレクター(S-DMS)。

・スズキドライブモードセレクター(S-DMS) スズキドライブモードセレクター(S-DMS)は、左ハンドルバースイッチにより、A・B・Cの3つの走行モードから任意のモードを選び、エンジン制御マップの切り替えが可能。ワインディング、市街地、高速クルージングなど、様々なライディングコンディションにおいて、ライダーの好みに応じた走行モードを選択できる。S-DMSは、10モードのトラクションコントロールシステムと合わせて、バリエーション豊富な出力特性が選択可能。 ・双方向クイックシフトシステム(2モード+OFF) レーサータイプの双方向クイックシフトシステムを搭載。ライダーがクラッチやスロットル操作をせずにシフトアップ/ダウンが可能。シフトアップ時、自動的に出力をカットし、トランスミッションギヤドッグに噛合っている駆動トルクの負荷を瞬間的に抜く。アクセル全開でも滑らかでスピーディなシフトアップが可能となり、ほぼ連続的な加速を得ることができる。シフトダウン時は、スロットルのブリッピングやクラッチ操作をすることなく、自動的にスロットルバルブを開き、エンジン回転数を次のギヤ比に見合う回転数まで上げ、スピーディかつスムーズなシフトダウンを行うことができる。クイックシフトシステムは、シフトリンケージの動きとストローク、シフトカムの回転、スロットルバルブポジションを検知。 ・モーショントラックブレーキシステム ピッチ、ロール、ヨーの3軸6方向の動きと姿勢を常に検知するIMUと連動するモーショントラックブレーキシステムを採用。ブレーキの圧力を最適化してライダーをサポート。直進時に加え、IMUからの情報に基づき、コーナリング時の状況に応じてABSは作動。急減速時などの後輪のリフトをIMUが検知すると、フロントブレーキ圧をコントロール(前後連動ブレーキではない)し、後輪のリフトを減らすことにより、鋭い初期制動とより大きなブレーキングフォースを獲得。 ・電子制御式ステアリングダンパー 電子制御式ステアリングダンパーを装備。検知された車輪速により、ECMがオイルの流量を制御、高速時には減衰を増加させ外乱や振動を低減。低速時には減衰を減少させ軽快な取り回しを確保。安定性とシャープなハンドリングを実現。 ・ETC車載器を標準装備 標準装備したETC2.0車載器は、メーターパネル内のインジケーターで動作状態の確認が可能。ETC2.0車載器本体は外観を損なわないフロントシート下に設置。

カワサキ Ninja ZX-10RR

・ボッシュ社製小型IMU ボッシュ社製小型IMU(慣性計測装置)を搭載。IMUは緻密な演算を行い、前後、左右、上下、3方向の加速度と、ロールとピッチを計測。さらにECU内のカワサキ独自のソフトウエアがヨー方向の動きも計算し、6自由度の数値を検知。S-KTRC、KLCM、KIBSにより車体姿勢を高い次元で制御。 ・KCMF(カワサキコーナリングマネジメントファンクション) KCMFは高度に洗練されたプログラムとハードウエアを用いたカワサキが誇る最先端のエンジン&シャーシ・マネジメントパッケージ。IMUが解析するデータを活用することで、コーナリング中のエンジンやシャーシ各部の状態をリアルタイムでモニタリングし、パワーやブレーキ効力を最適な状態にコントロール。加減速時の挙動をスムーズにすることで、ライダーが意図したラインをトレースできるようにサポート。KCMFは以下のシステムをコントロール。 ●S-KTRC (スポーツ-カワサキトラクションコントロール) ●KIBS(カワサキインテリジェントアンチロックブレーキシステム) ●KLCM(カワサキローンチコントロールモード) ●カワサキエンジンブレーキコントロール ・S-KTRC (スポーツ-カワサキトラクションコントロール) スーパーバイク世界選手権で培われたテクノロジーによる、先進のトラクションコントロール機構を搭載。また、IMUからの車体姿勢情報をもとに過剰なスリップを抑制するだけでなく、マシンが前進するための最大限のトラクションを得ることを可能にしている。S-KTRCは走行モードを5種類から選択可能。路面状況や技量に合わせてモードを選択可能。システムをOFFにすることもできる。 ・パワーモード パワーモードは、ライダーの好みや条件に合わせてフル、ミドル、ローの3つのモードから出力選択が可能。 ●フル:フルパワー ●ミドル:フルパワーの約80%の出力 ●ロー:フルパワーの約60%の出力 ・インテグレーテッドライディングモード S-KTRC、パワーモードと連携する包括的なモードセレクト機能。トラクションコントロール、出力特性をスポーツ、ロード、レインの3種類からライディング条件に合わせて簡単に設定することができる。また、好みの設定が記憶可能なライダーモードも装備。

・KIBS (カワサキインテリジェントアンチロックブレーキシステム) カワサキのスーパーロードスポーツ用高精度ブレーキ制御システムであるKIBS。前後のホイール速度差だけでなく、フロントキャリパーに掛かる油圧やエンジンECUからの多様な情報を解析し、標準的なABSシステムよりもはるかに細かい油圧変化が可能で、非常に滑らかな操作フィーリングを実現。 ・KEBC(カワサキエンジンブレーキコントロール) 急なアクセルオフを行った場合でも、エンジンブレーキの効きを適切にコントロールし、スムーズなライディングをサポートします。システムオフも選択可能。 ・KLCM (カワサキローンチコントロールモード) サーキットにおいて、スタート時に最も効率的な加速を得るための電子制御システムがKLCM。IMUからの車体姿勢情報によりホイールスピンを抑えホイールリフトを最小限にとどめつつ、効率的な加速を可能にする。※クローズドコースでの使用を推奨。 ・KQS(カワサキクイックシフター) クラッチ操作なしで素早いシフトアップ/ダウンを実現し、滑らかな加減速を楽しむことができる(エンジン回転数が約2500rpm以下の時には、KQSは正しく作動しません)。 ・オーリンズ電子制御ステアリングダンパー 速度や加減速の状況によって減衰力が変わる電子制御ステアリングダンパーを搭載。低速では減衰力を弱め軽快なハンドリング、高速では減衰力を強めて安定性を増加。 ・エレクトロニッククルーズコントロール 手元のボタンでスピードを設定すれば、スロットルを操作しなくても自動でスピードを維持するカワサキ最新のクルーズコントロールシステムを採用。長距離走行時のライダーの負担を軽減し、より快適なツーリングを楽しむことができる。

各モデルの価格と最高出力(馬力)の関係性


※パワーウエイトレシオは「車両重量÷最高出力(馬力)」で算出される数値。表示単位はkg/psで、そのバイクで1馬力あたりにどれくらいの重量負担があるのかを表す。 この数値が小さければ小さいほど、加速性能に優れているといえる。


各モデルの価格(万円)と最高出力(馬力)をグラフに表したところ。縦軸が馬力、横軸が価格。

価格と最高出力をグラフにしてみると、まとまりがなく、バラつきがあるのが特徴。つまり、今回取り上げた1000ccスーパーロードスポーツは、「パワーがある=価格が高い」という単純な構図ではなく、レース用エンジンパーツ、レース用サスペンション、レース用ブレーキ、レースに特化した電子制御システムなど、「レースに本領を発揮する高性能なパーツを、どこまで投入しているか?」「サーキットを速く走るために、どのような工夫を施しているか?」によって、価格に大きな差がある。ここがポイントだ。 言い換えれば、公道走行をメインに使う(普通に使う)のであれば、基本的に最高出力も同じ、もしくは同等のスタンダード版「ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE(242万円・218馬力/14,500rpm)」「ヤマハ YZF-R1ABS(236万5000円・200馬力/13,500rpm)」「カワサキ Ninja ZX-10R(229万9000円・ラムエア加圧時:213.1馬力/13,200rpm)」もセレクト可能。 以上を考慮した場合、超高回転型の218馬力エンジンを搭載し、パワーウエイトレシオは4台中でトップ。しかも超豪華なシャシーを採用したホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP(278万3000円)やCBR1000RR-R FIREBLADE(242万円)は、筆者的には「この価格で、これだけのスペックを実現したホンダは、けっこう頑張っているなぁ」という感想。 また、197馬力のエンジンに加え、豊富な電子制御システムを導入したスズキ GSX-R1000R ABS(215万6000円)は、他モデルのスタンダード版に比べても、「いかに価格を抑えているか」「バーゲンプライスで発売されていること」を多大に感じさせる。 下記ページや関連ページでは、各車の情報を詳しく掲載。上記では書かれていない魅力やポイントも満載なので、じっくりと読み比べ、見比べてみて欲しい。

各モデルの詳細&試乗インプレッション