1984年登場のチャンプ50は、素朴だけど走れるヤマハ製スクーター

MACHINE:YAMAHA CHAMP50 OWNER:SADAさん

ヤマハ・チャンプ50は、1983年に登場した50ccスクーター「JOG」系の流れを感じさせるコンパクトな車体に、軽快な2ストエンジンを搭載した、いかにも80年代らしいスポーティなモデルだ。後にチャンプRSやチャンプCXといったモデルも登場するが、素朴さでいえばダントツで初代。そんな車体をベースにしたカスタムが味わい深い。

現代の感覚で見ると、チャンプ50のデザインはかなりシンプル。だけど、そのシンプルさこそが旧車スクーターの魅力でもある。角ばったハンドルカバー、細身のボディ、ちょこんとしたシート、そして小径ホイールならではの軽快な佇まい。いまのスクーターにはない“原チャリ感”があるのだ。

オーナーのSADAさんが目指したのは、そんなチャンプ50らしさを消さないスタイル。外装は純正の赤/黒ストロボラインをイメージしてオールペイント。さらにウインカーはスモーク化し、ヘッドライトレンズもクリアイエローにペイント。単に古い外装を直したのではなく、“きれいに当時っぽく見せる”ための手間がしっかり入っているのだ。

純正の60km/hスケールメーターを使用。燃料計も備わるシンプルなメーターパネルは、いかにも80年代スクーターらしい味わいがある。

エンジンは50ccのまま。現状でも大きな不満はないというが、ゆくゆくはチャンプ80系エンジンへのステップアップも妄想中!?

チャンプ50(1984)

エンジン:空冷2ストローク単気筒
排気量:49cc
最高出力:5.2ps
重量:51kg
タイヤサイズ:前3.00-8/後2.75-10
発売価格:11万9000円

ローダウン&リヤタイヤボリュームUPで、一気にやんちゃ顔

赤×黒のストロボラインは純正風に再現。リヤフェンダーを残しているのもこだわりで、カスタムしていてもチャンプ50らしさを崩していない。

このチャンプ50改でまず目を引くのが、低く構えた車体姿勢。ローダウンによって、ノーマルの素朴なスクーター感に、旧車カスタムらしい“やんちゃ感”が加わっている。ただ低くしただけではなく、車体全体のまとまりが良いので、やりすぎ感がないのもポイントだ。

さらにおもしろいのが、リヤタイヤのサイズアップ。チャンプ50はノーマルでもリヤ10インチだが、タイヤサイズを2.75-10から3.50-10へ変更することで、後ろ姿にほどよいボリュームをプラスしている。ローダウンした車体姿勢と太めのリヤタイヤが合わさることで、素朴なチャンプ50に存在感が生まれているのだ。

マフラーは、社外製チャンバーを装着。アンケートには「一番安いもの」といったメモもあり、高価なブランドパーツで固めるのではなく、手に入るものを使って自分好みに仕上げる。そういう肩肘張らない感じが、チャンプ50というベースにぴったりハマっている。

そして見逃せないのが、リヤフェンダーをカットせず残していること。旧車スクーターを低く見せたり、後ろ姿を軽く見せたりするためにフェンダーレス風へ振る手もあるが、この車両はあえてそこを切らない。ノーマルの面影を残しながら、車高とタイヤの見せ方で雰囲気を作る。そのバランス感覚が良い。

ナポレオン製ミラーやチャンプRS用アンダーカウルも、当時っぽさを引き立てるポイント。スポーティさを足しながらも、ボディラインに自然になじませている。速さをガチガチに追うというより、乗って眺めてニヤッとできる。若き日の思い出まで一緒によみがえってくるような一台だ。

割れていない外装をコツコツ集める。それも80Sスクーター遊びの醍醐味

この車両で大変だったのは、エンジンメンテナンス&チューンよりも外装集めだったという。古いスクーターの外装は、割れ、欠け、色あせが当たり前。しかもチャンプ50のような80年代車となると、状態の良いパーツを見つけるだけでもひと苦労。アンダーカウルもバラで集めて合体させたというから恐れ入る。「状態が良い個体を見つけたんですね」なんて思ってしまうが、実はその裏には地道なパーツ探しがある。旧車スクーターのカスタムは、ただパーツを買って付けるだけでは終わらない。探す、直す、合わせる、塗る。その手間まで含めて楽しむ遊びなのだろう。

エンジンは50ccのまま。現状でも大きな不満はないが、ゆくゆくはチャンプ80系の大きなエンジンも欲しいという夢もあるようで、次の妄想も止まらない。これぞ旧車スクーターライフである。

派手なフルカスタムではない。けれども、低い車高、太いリヤタイヤ、社外製チャンバー、純正風の外装仕上げが合わさることで、チャンプ50の魅力がグッと引き立っている。古いし便利じゃないし燃費もそこまで良くはないが、コイツで近所を流したら、きっと信号待ちでニヤニヤしちゃうはずだ。

社外製チャンバーを装着。高価なパーツで固めるのではなく、手に入るものを使って楽しむスタイルも昭和スクーターらしくていい。

※この記事は月刊モトチャンプ2021年3月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】