猛暑で変化するライダーの走行スタイルに対応

近年の記録的な猛暑は、ライダーのツーリングスタイルにも大きな変化をもたらしている。真夏の日中は、ヘルメットやライディングウェアによる熱のこもりに加え、路面からの照り返しやエンジンから発せられる熱の影響で、体感温度が40℃を超えることも珍しくない。そのため、多くのライダーが炎天下での走行を避け、比較的涼しい早朝や夜間を中心にツーリングを楽しむようになっている。
こうした変化を受け、オートバイ用品専門店を展開するナップスは2026年8月、営業時間そのものをライダーのライフスタイルに合わせて見直す取り組みを実施する。朝6時からのPITサービスを提供する「早朝営業」と、営業時間を最大24時まで延長する「深夜営業イベント」を開催し、ライダーがより安全かつ快適に夏のバイクライフを楽しめる環境づくりを進める。
1962年の創業以来、用品販売だけでなく車検やメンテナンス、カスタムサービスなどを提供してきた同社は、「商品を売るだけではなく、ライダーが走り続けられる環境をつくることも使命」と位置付けており、今回の営業時間拡大もその考え方を具現化した施策となる。
深夜営業は来店客数が約7倍に
今回の取り組みの背景には、2025年に実施された深夜営業イベントの成功がある。
ナップスでは昨年8月から計3回、営業時間を夜24時まで延長するイベントを開催。通常営業では18時以降の来店客数は全店舗平均約970人だったのに対し、第1回イベントでは約6800人が来店し、およそ7倍という大きな反響を記録した。
夜の涼しい時間帯にツーリングを楽しむライダーが増えたことで、ツーリングの途中や帰宅前に店舗へ立ち寄るケースが目立ち、夜ならではの店舗の雰囲気も人気を集めたという。
一方で、同社はイベント実施にあたり、店舗周辺への配慮も重視した。店舗ごとの立地条件を踏まえ、一部店舗では営業時間の延長幅を短縮、あるいはイベント自体を見送る判断を実施。また、来店するライダーへエンジン音やアイドリングへの配慮を呼び掛けるなど、地域住民への影響を最小限に抑える取り組みも徹底した。
イベントが成功裏に終えられた背景には、ライダーのマナーだけでなく、地域住民の理解と協力があったことも大きな要因となっている。
新たに始まる「朝6時営業」でツーリング前整備を支援
2026年夏には、新たな試みとして早朝営業がスタートする。
対象となるのはベイサイド幸浦店、練馬店、足立店、三鷹東八店、埼玉店、仙台店、岡山店の7店舗。8月の毎週日曜日に限り、午前6時からPITサービスのみ営業する。
対象日は8月2日、9日、16日、23日、30日の5日間。利用には事前予約が必要となり、店頭、電話、Webサイトから申し込みが可能となる予定だ。
早朝営業では、ツーリング出発前のタイヤ交換やオイル交換、各種点検、用品の取り付けなど、ライダーが安心して走り始められるよう車両メンテナンスを実施する。
夏場は気温上昇前の数時間が最も快適な走行時間帯となるため、早朝から整備を受け、そのままツーリングへ出発できるという新しい利用スタイルが期待される。
これまで多くのライダーは、営業時間の都合でツーリング当日に整備を受けることが難しかったが、今回の取り組みにより「整備してすぐ出発」という利便性が実現する。
ライダーの暮らしに合わせた店舗づくりへ
ナップスは現在、国内外で33拠点(アップガレージライダース7店舗を含む)を展開し、平均約900平方メートルの大型店舗に3万5000点以上の商品を取り扱うほか、認証工場によるPITサービスも提供している。また、約30万点の商品を扱うウェブショップやプライベートブランドの企画・開発も手掛け、用品販売だけにとどまらない総合的なライダーサポートを行っている。
近年は猛暑や異常気象だけでなく、ライフスタイルの多様化によってライダーの行動時間も変化しつつある。従来の営業時間では対応しきれないニーズに応えるため、営業時間そのものを見直すという今回の取り組みは、小売業としては珍しい挑戦といえる。
また、代表取締役社長の望月真裕氏は、日本のオートバイ文化を次世代へ継承し、世界へ発信することを目標に掲げ、「For all Riders.」のビジョンのもと、用品やサービスだけでなく文化そのものをつなぐハブとなるブランドを目指していくとしている。
真夏のライディング環境が年々厳しさを増す中、営業時間をライダーの生活リズムに合わせるという発想は、安全性の向上だけでなく、より自由なバイクライフを支える新しいサービスとして注目を集めそうだ。
