新型ハイラックスよりも巨大で豪華なピックアップトラック




両車とも4ドア5人乗りのダブルキャブを備えたピックアップトラックであり、ラダーフレームのシャシーと、毎年車検が必要な1ナンバー登録となる点は共通だ。しかし、ボディサイズは歴然とした差がある。
ハイラックスのボディも日本では持て余すほど大きいが、さらに大きなタンドラの全長は約6mで、全幅は2m超だ。最小回転半径はハイラックスの6.3mに対してタンドラは約7.6mにも達し、ホイールベースの長さもあって運転時には内輪差を意識する必要がある。なお、タンドラは左ハンドルのままだ。
室内空間にもその体格差が表れる。ハイラックスの後席も見た目ほど狭くはないが、5人乗車となるとさすがに窮屈感を覚える。一方のタンドラは全幅を生かした広いカップルディスタンスが特徴であり、後席にも成人男性3人が余裕を持って座れる。ただし、頭上空間はそれほど広くなく、身長によっては天井にやや圧迫感を覚えるかもしれない。
装備面でも随所に違いが見られる。ハイラックスは後席にエアコン吹き出し口が新たに追加されたが、もちろんタンドラは標準装備だ。後席座面が跳ね上げ式となる点も共通だが、タンドラは座席下に小物入れも備わる。
大きいぶん乗り降りもしづらいタンドラにはドア連動の電動ステップが標準装備となっており、荷台のリヤゲートについてもハイラックスが手動開閉であるのに対し、タンドラは電動式だ。さらにタンドラは電動格納式デッキステップまで備えている。標準装備となるパノラマムーンルーフやリヤウィンドウの開閉機能もタンドラならではの豪華装備だ。
荷台寸法はハイラックスが荷台長1565mm×荷台幅(タイヤハウス間)1105mm×アオリ高480mmであるのに対し、タンドラは1666mm×1236mm×530mmと各部が一回り大きく確保されている。ただし、タンドラの最大積載量は本国仕様こそ839kg(1850ポンド)だが日本仕様では400kgとなっており、ハイラックスの500kgよりも小さい数値に制限されている。
総じてタンドラは、ハイラックスを大きく高性能にした豪華なピックアップトラックと言えばイメージしやすいだろう。
トヨタ タンドラ 1794 Edition
ボディサイズ=全長5930mm×全幅2030mm×全高1980mm
ホイールベース=3700mm
車両重量=2600kg
タイヤサイズ=265/60R20(前後)
トヨタ ハイラックス Z“Adventure”
ボディサイズ=全長5325mm×全幅1885mm×全高1865mm
ホイールベース=3085mm
車両重量=2140kg
タイヤサイズ=265/60R18(前後)
3.4L V6ガソリンツインターボで394ps! ただし、燃費は約8km/L


巨大なタンドラはエンジンも大きい。新型ハイラックスに搭載されるエンジンは、ランドクルーザー250にも採用される2.8L 直列4気筒ディーゼルターボエンジンだ。それに対して、タンドラは3.4L のV型6気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載する。
最高出力はもちろん、最大トルクもタンドラのほうが高いうえ、トランスミッションもタンドラが10速AT、ハイラックスは6速ATとなる。エンジンスペックの差は大きいが、どちらも余裕あるトルクを生かして悠然と走るスタイルは共通だ。
気になるのは燃費性能だろう。両者のWLTCモード平均燃費はハイラックスが11.9km/Lであるのに対し、タンドラは約8km/L相当となる。ただし、燃料タンク容量はハイラックスの80リットルに対して、タンドラが122リットルとなるため最大航続距離はほぼ同等の数値だ。
悪路走破性については、両車とも電子制御4WDシステム“マルチテレインセレクト”を搭載しており、路面状況に応じたモード選択によって適切に駆動力を制御してくれる。機械式デフロックを備える点も共通だ。
最低地上高はハイラックスの215mmに対し、タンドラは約238mmとわずかに高いが、対地障害角に関してはショートホイールベースとなるハイラックスがやや優位となるだろう。
もっとも大きな違いはリヤサスペンションの形式だ。フロントサスペンションはどちらもダブルウィッシュボーンだが、ハイラックスのリヤサスペンションはリーフスプリングであるのに対し、タンドラはマルチリンク式のコイルスプリングを採用する。ラダーフレーム特有の微振動などはあるが、タンドラの乗り心地は見た目ほど悪くない。
トヨタ タンドラ 1794 Edition
エンジン形式=V型6気筒ガソリンツインターボエンジン
排気量=3445cc
最高出力=394ps/5200rpm
最大トルク=649Nm/2400-3600rpm
トランスミッション=10速AT
駆動方式=パートタイム4WD
トヨタ ハイラックス Z“Adventure”
エンジン形式=直列4気筒ディーゼルターボエンジン
排気量=2754cc
最高出力=204ps/3000-3400rpm
最大トルク=500Nm/1600-2800rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=パートタイム4WD
価格差は2倍以上! 悪条件を飲める人だけが手にできる豪華なタンドラ


新型ハイラックスは装備や機能が充実したぶん旧型よりも大幅に値上がりしており、ベーシックグレード“Z”の新車価格は498万800円、上級グレードの“Zアドベンチャー”は550万円だ。それに対しタンドラは“1794 Edition”のワングレード構成であり、新車価格はハイラックスの2倍以上となる1200万円に達する。
高い価格だけにタンドラは快適装備もハイラックスに比べて豪華だ。新型ハイラックスにはステアリングヒーターが備わった点が大きなトピックだが、依然としてシートヒーターは備わらない。
対するタンドラはステアリングヒーターはもちろん、全席にシートヒーターとシートベンチレーション機能が標準装備だ。パノラマムーンルーフも標準装備となっており、インフォテインメントディスプレイのサイズもハイラックスの12.3インチに対し、タンドラは一回り大きい14インチとなる。また、タンドラにはヒッチメンバーとトーイングシステムも標準で備わる。
ハイラックスよりも広い室内空間を備え、高級SUV以上の快適装備と各部の電動装備を備えていながら、広いオープンデッキを使える点がタンドラの特徴であり魅力と言えるだろう。
ただし、実際に乗るとなると問題点も多い。タンドラは日本の保安基準に適合するように手が加えられているものの、細部は手つかずのままとなっている部分も数多くある。
衝突被害軽減ブレーキの基本性能や歩行者保護性能は北米基準のままとなっており、標識が異なることからロードサインアシストも使用できない。スピードメーターの単位はキロメートルに変更されている一方で、温度表示は日本では馴染みが薄い華氏表示のままとなる。
コネクティッド機能や車載ナビも搭載はされているが日本国内では機能せず、“Apple CarPlay”と“Android Auto”を使う場合のみ日本語表示のナビが利用可能だ。さらに塗装の仕上げなども海外市場向けの品質基準となる。
なにより、その圧倒的なボディサイズが大きなハードルだ。運転のしづらさはもちろん、車庫証明の取得におけるスペース確保や、出先で駐車できる場所も限られるうえ、工場設備の都合から整備対応可能なディーラーも限定される。そのほか、部品交換に際しては取り寄せにも時間がかかる。
高い価格に加えて、タンドラを日本で扱うにはいくつもの制限が伴う。少なくとも日本では、タンドラは、以上の問題点に納得できる人だけが手にできる完全な嗜好品となる贅沢なピックアップトラックだと言ってよいだろう。
車両本体価格
トヨタ タンドラ 1794 Edition:1200万円
トヨタ ハイラックス Z“Adventure”:550万円
