内燃機関搭載のアウディ史上、最良のCd値0.23を達成
アウディ ジャパンは2026年6月25日、プレミアムアッパーミディアムセグメントの新型「A6」を発売した。先代と同様、セダンとアバント(ステーションワゴン)の2つのボディタイプを設定する。本国では発表があったが、オフロードテイストを持たせたオールロードクワトロの日本導入予定は「ない」。


1968年のアウディ100に起源を持つA6は新型で9世代目にあたる。1982年に登場した3代目アウディ100は当時の量産セダンとしては世界最高レベルのCd値(空気抵抗係数)0.30を達成。以来、優れた空力性能は100の意思を受け継ぐA6の伝統となり、新型にも受け継がれている。
ステーションワゴンとしてのアバントがラインアップに加わったのも3代目アウディ100でのことだった。また、100系にquattro(クワトロ)の名称で四輪駆動車が設定されたのも3代目でのこと。1994年、4代目の途中で車名が100からA6へと改まった。1997年の5代目(A6としては2代目)ではセダンのルーフラインが丸みを帯び、クーペライクなシルエットになった。
新型A6は歴代のA6が採用してきた技術とイメージを受け継ぎつつ進化させて登場した。空力性能の高さはハイライトのひとつで、セダンのCd値は0.23(アバントは0.25)。この数字はアウディのエンジン搭載モデルとしては最良である(アウディ最良は電気自動車A6スポーツバックe-tronの0.21)。
空力性能を特段ウリにしていないモデルでも多く採用例は見られるが、A6のバンパー両サイド部にはエアカーテンが備わっており、フロントタイヤまわりの整流効果を発揮する。また、フロントグリルにはシャッターが備わり、熱交換器への冷却風が必要ない状況では空気の流入を防いで空気抵抗低減を図る。床下は徹底的にカバー。わずかに跳ね上がったセダンのトランクリッドは、ウエイク(後流)を抑えるのに最適な形状にしたという。
ライティングテクノロジーは近年デビューしたアウディ各車の大きな特徴のひとつとなっているが、新型A6も例外ではない。リヤは2つのメインランプの下にワイド感を強調する一体型のライトストリップが配されている。そして、両サイドには別体のリヤランプ。このデザインは日本ではQ3で先に登場しているが、欧州ではA6が先で、A6から始まった新たなスタイルだ。6月に世界初公開された新型Q7(新型の日本導入は未発表)もA6と同様の分割したリヤランプとライトストリップの組み合わせを採用しており、一巡するまで採用が続くことだろう。

インテリアはアウディの最新デザインフィロソフィを体現している。すなわち、カーブしたスクリーンが主役。「バーチャルコックピット」と呼ぶ運転席前のメーターは11.9インチ。センターの「MMIタッチディスプレイ」は14.5インチ。新型A6は助手席用の「MMIパッセンジャーディスプレイ」(10.9インチ)を全車標準装備する。

エンジンのスタート/ストップボタンはセンターコンソールの右前に設置され、その後方にR/N/D/Sを前後に動かして選択するシフトセレクターがある。Pは独立したスイッチ。ハザードスイッチはセンターコンソールの前方中央だ。新型Q3は右レバーにシフトセレクターの役割を持たせたが、新型A6はオーソドックスな操作系を受け継いでいる。

縦置きに搭載するパワートレーンはセダンとアバントで共通。エンジンはガソリンとディーゼルが1種類ずつで、ガソリン、ディーゼルともに2.0L直列4気筒ターボ。ガソリンエンジンは最高出力200kW(272PS)、最大トルク400Nmを発生。ディーゼルエンジンは最高出力150kW(204PS)、最大トルク400Nmを発生する。どちらも7速Sトロニック(DCT)の組み合わせ。駆動方式は全車クワトロである。

パワートレーンには2025年に発売されたA5と同様、「MHEV plus(エムヘブ・プラス)」と呼ぶ48Vマイルドハイブリッドシステムが統合されている。MHEV plusはパワートレーンジェネレーター(PTG)と呼ぶモータージェネレーターユニットをトランスミッションの後端に付加した構造。ギヤトレーンでトランスミッションの出力軸とつながっており、ドッグクラッチで完全に動力伝達系から切り離すことが可能。減速時に最大25kW(力行時は最大18kW)で回生したエネルギーは、トランクルーム下のリチウムイオン電池(LFP)に蓄える。
MHEV plusはこのほか、エンジン始動用のベルトスターターオルタネーター(BAS)と電動コンプレッサー、48Vの電圧を12Vに変換するDC/DCコンバーターで構成される。

メカニズム面では、オプションでアダプティブエアサスペンションを設定したのがポイント。やはりオプションのオールホイールステアリング(後輪操舵)を選択すると、最小回転半径は5.4mにまで縮小し、全長5000mm、ホイールベース2925mmの立派な体格を持つA6の取り回しを助ける。試乗車は両オプションとも装備されていた。
静粛性の高さのみならず、アップダウンに富んだ郊外路での走りの気持ち良さは特筆もの
試乗の出発ポイントはラグジュアリーホテルのエントランスだったが、新型アウディA6のなんとサマになっていることか。「絵になる」という表現がぴったりくる眺めだった。全長4835mm、ホイールベース2895mmへの拡大によりひとクラス上の車格感を得たA5との食い合い(「A5で充分じゃないか」という声)を心配する向きもあるが、実物を目にした印象で言うと、よりフォーマルな印象のA6に対し、A5はカジュアルな印象が強い。A6はダークスーツが似合い、A5は淡い色調のリネンのジャケットが似合う。筆者はそう感じた。

静粛性の高さもA6のほうがワンランク上だ。A5はフロントとフロントサイドにのみアコースティックガラス(遮音フィルムを挟んだガラス)を採用しているが、A6はリヤサイドウインドウにもアコースティックガラスを採用している。アコースティックガラスは主に高速走行時の風切り音の遮断に効く装備ではあるが、A6はロードノイズの遮音もワンランク上の印象。車内はまるで、居心地のいいラウンジの静けさだ。

定常走行時はエンジンの存在を感じさせないほどに遮音が行き届いている。強い加速を求めて回転が高まった際はエンジン音が耳に届くが、遠くのほうで音がしているな、程度の印象。心地のいい静けさはA6の大きな魅力のひとつだ。

オールホイールステアリングは操舵角や車速に応じ、およそ60km/hまでは逆相(前輪と反対の向き)に切れ(最大5度)、それ以上の速度域では同相(前輪と同じ向き)に切れる(最大2度)。同相制御は高速道路のレーンチェンジ時などで安定感をもたらす効果を発揮するが、残念ながら試乗時間の都合で確認はできていない。逆相制御については駐車場での取り回し等で確認したが、小回りが効く実感が得られるいっぽうで制御が介入しているいやらしさはまったくなく、見事にしつけられている。

オプションでアダプティブエアサスペンションを選択すると、アウディドライブセレクト アシスタントが自動的に付帯。通常はバランスド、ダイナミック、コンフォート、エフィシェンシーの各モードを手動で選択する必要があるが、「アシスタント」機能を選択すると走行状況や学習したドライバーの好みに基づき、車両が最適なモードを自動で選択してくれる。また、コンフォート、バランスド、エフィシェンシーでは車高を20mm上昇させることが可能になるいっぽう、ダイナミックを選択すると車高は10mm下がる。

前述のとおり試乗時間の関係でこの機能も充分に体感できたとは言い切れないが、アウディA6、あくまでもドライバーが主役の設計となっていることを感じさせる技術がふんだんに盛り込まれているのを確認できた。ただ静かで心地がいいだけでなく、アップダウンに富んだ郊外の道路を気持ち良く走らせることができたのは収穫。新型アウディA6はフォーマルなシーンだけが似合うクルマではなく、操る楽しさが味わえるドライバーズカーである。

| グレード | アウディA6 TFSI quattro 200kW | ||
| 全長 | 5000mm | ||
| 全幅 | 1875mm | ||
| 全高 | 1465mm | ||
| ホイールベース | 2925mm | ||
| トレッド(前/後) | 1625/1610mm | ||
| 乗車定員(名) | 5 | ||
| 最小回転半径 | 6.0m | ||
| 車両重量 | 1980kg | ||
| トランク容量(VDA値) | 452L | ||
| エンジン種類 | 2.0L直列4気筒DOHCターボ | ||
| 総排気量 | 1984cc | ||
| ボア×ストローク | 82.5×92.8mm | ||
| 圧縮比 | 10.5 | ||
| エンジン最高出力 | 200kW(272PS)/5000-6500rpm | ||
| エンジン最大トルク | 400Nm(40.8kgm)/1600-4500rpm | ||
| モーター最高出力/最大トルク | 最大18kW(24PS)/230Nm | ||
| 燃料(タンク容量) | プレミアムガソリン(61L) | ||
| トランスミッション | 7速DCT | ||
| 駆動方式 | 4WD | ||
| 燃費(WLTCモード) | 15.2km/L | ||
| サスペンション | 前:5リンク式マルチリンク 後:5リンク式マルチリンク | ||
| タイヤサイズ | 225/55R18 | ||
| 価格 | 885万円 | ||





