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Audi R8

アウディ R8とは

2代目は基本設計の一部を「ランボルギーニ ウラカン」と共有する。
2代目は基本設計の一部を「ランボルギーニ ウラカン」と共有する。

「アウディ R8」は、同社初の市販ミッドシップスーパースポーツとして2006年に登場した。車名は、ル・マン24時間レースで勝利を重ねたレーシングカー「Audi R8」に由来する。

今回取り上げる2代目は、2015年のジュネーブモーターショーで発表された。基本設計の一部を「ランボルギーニ ウラカン」と共有する一方、四輪駆動システムや足まわり、内外装などにはアウディ独自の思想が反映された。

2代目R8では、初代に設定されていた4.2リッターV8を廃止し、パワーユニットを5.2リッターV10自然吸気エンジンに一本化。発売当初は最高出力540PSと610PSの仕様が用意され、いずれも7速Sトロニック(DCT)とquattro(AWD)を組み合わせた。

その後は、アウディの市販車として初めて後輪駆動を採用した「R8 V10 RWS」も登場。市場によっては、四輪駆動と後輪駆動が選択できた。さらに2019年のマイナーチェンジでは出力を570PSと620PSにアップ。

生産は2024年3月に終了し、17年間にわたるR8の歴史に幕を下ろしている。

アウディ R8の外観・内装

アウディ R8の外観は、低くワイドな車体とミッドシップらしいプロポーションが特徴である。内装では、運転に必要な情報と操作系をドライバーの正面に集約し、高性能車でありながら日常的な使いやすさにも配慮している。

外観:レースカーを想起させるワイド&ロー

2代目R8はキャビンを車体前方に配置し、張り出したホイールアーチと長いリヤセクションを組み合わせている。ル・マンを走ったレーシングカー「Audi R18 e-tron quattro」を想起させるプロポーションを形成し、全長と全高、ホイールベースは初代とほぼ同等だが、全幅は40mm拡大され、よりワイドで安定感のあるスタイルとなった。

フロントでは、立体的なシングルフレームグリルをより低く幅広い形状へ変更し、エンブレムをグリル内からボンネット上へ移設。フルLEDヘッドライトを標準装備し、仕様によってはハイビームの照射距離を延ばすレーザースポットも備える。

内装:レースカー型コクピット

インテリアでは、運転席をアーチ状のラインで囲む「モノポスト」と呼ばれるコクピットを採用する。シングルシーターのレーシングカーを思わせる構成で、浮いているように見えるインストルメントパネルの下には、タービンをモチーフとした空調操作部が配置されている。低い位置に設置したシートには、アルカンターラやファインナッパレザーなど、複数の素材と配色が用意された。

ステアリングホイールには、エンジンのスタート/ストップボタンやアウディドライブセレクトのスイッチを集約。ドライバーがステアリングから手を離したり、前方から大きく視線を外したりすることなく、主要な機能を操作できる。

メーターパネルには、12.3インチTFTディスプレイを用いた「アウディ バーチャルコックピット」を装備。R8専用の「パフォーマンスビュー」では、中央にタコメーターを大きく表示し、その周囲に油温、タイヤ空気圧、Gフォース、ラップタイムなど、スポーツ走行に必要な情報を表示できる。

アウディ R8のサイズ

アウディ R8は全幅が2mに近い一方で、全長は一般的な大型セダンより短い。低い全高と2650mmのショートホイールベースにより、スーパースポーツらしいプロポーションを形成している。

ボディサイズ:全幅1940mmのワイドボディ

後期型クーペの日本仕様は、全長4430mm、全幅1940mm、全高1240mm、ホイールベース2650mmである。全長は比較的コンパクトだが、全幅は日本の一般的な機械式駐車場の制限を超える場合が多い。最低地上高の低さに加え、前後で異なるサイズの20インチタイヤを装着するため、狭い道路や立体駐車場、急勾配の出入り口では注意が必要である。購入前には、自宅駐車場の幅だけでなく、ドアを開けるための余裕も確認したい。

室内スペース:2人乗りながら荷物も積載可能

乗車定員は2名で、キャビンは運転席と助手席を中心としたタイトな構成である。ただし、シート位置やステアリングの調整範囲が確保されており、純粋な競技車両のような窮屈さはない。クーペ、スパイダー共にフロントには112Lのラゲッジスペースが設けられている。クーペではシート後方にも226Lの収納スペースがあり、ゴルフバッグを積載できる。大きなスーツケースなどには向かないが、小型バッグや日用品を前後に分けて載せられるため、短期間の旅行や日常使用にも対応できる。

アウディ R8の走行性能・燃費性能

ミッドに搭載された5.2リッターV10自然吸気エンジンは620PSを発生。
ミッドに搭載された5.2リッターV10自然吸気エンジンは620PSを発生。

アウディ R8の走行性能を支えるのが、高回転型V10自然吸気エンジンと軽量・高剛性ボディである。一方、燃費性能は一般的な乗用車と比べれば低く、ハイオクガソリンの消費量も維持費として考慮したい。

走行性能:最高出力620PSの自然吸気V10

後期型「アウディ R8 V10 performance quattro」に搭載されるV10エンジンは、最高出力620PS、最大トルク580Nmを発生。クーペの0-100km/h加速は3.1秒、最高速度は331km/hに達する。スパイダーはそれぞれ3.2秒、329km/hと発表されている。

駆動方式は電子制御油圧多板クラッチを用いた四輪駆動「quattro」で、状況に応じて前後輪へ駆動力を配分する。アルミニウムとCFRPを組み合わせたアウディスペースフレーム(ASF)構造、アルミ製ダブルウイッシュボーン式サスペンションなども採用され、前後重量配分は42:58とされた。

燃費性能:欧州公表値は約7.6km/L

後期型アウディ R8の欧州における複合燃費は13.3~12.9L/100kmと発表されており、リッターあたり約7.5~7.8kmと換算される(試験方式や仕様が日本とは異なるため参考値)。低負荷走行時に片側5気筒を休止する「シリンダーオンデマンド」や、アクセルオフ時にエンジンと駆動系を切り離すコースティング機能を備える。ただし、市街地走行や高回転域を多用する運転では、燃費が公表値を下回るだろう。

アウディ R8の購入価格・維持費

後期型の新車価格は3000万円を超えた(写真はR8 Coupé V10 performance 5.2 FSI quattro S tronic)。
後期型の新車価格は3000万円を超えた(写真はR8 Coupé V10 performance 5.2 FSI quattro S tronic)。

アウディ R8は車両本体だけでなく、燃料、税金、タイヤ、保険、点検整備にも相応の費用がかかる。中古車の場合、購入価格とは別に消耗品の交換履歴や将来の整備費用を確認する必要がある。

購入価格:後期モデルの新車は3000万円オーバー

アウディ R8の車両本体価格は、R8 Coupé V10 performance 5.2 FSI quattro S tronicが3185万円、同スパイダーが3337万円に設定されていた(2022年10月時点)。前期型の場合、発表当時は540PSのR8 Coupé V10 5.2 FSI quattroが2456万円、同スパイダーが2618万円。610PSのR8 Coupé V10 plus 5.2 FSI quattroは2906万円の価格設定だった。

維持費:タイヤやブレーキの費用に注意

5.2リッターの排気量のため、自動車税は年額9万円近い。これに重量税や自賠責保険、任意保険、車検・点検費用、燃料代などが加わる。タイヤサイズは前245/30R20、後305/30R20で、高性能タイヤを4本交換すると工賃を含め50万~80万円程度になると見込まれる。カーボンセラミックブレーキ装着車では、ローターやパッドの交換費用も高額である。年間の維持費は走行距離や保険条件によって大きく異なるが、突発的な整備に備えた予算も確保しておきたい。(以下は最低限の項目のみをまとめた目安。)

区分項目年間費用(円)備考
税金・保険自動車税8万70005204cc
重量税1万6400重量2.0tまで2年間で3万2800円
自賠責88252年分1万7650円
任意保険—車両保険に加入するか等の条件によって大きく異なる
メンテナンスオイル4万銘柄等により変動。年1回交換と想定
タイヤ10万4年で交換と想定
消耗品随時ブレーキパッド/フルード、バッテリー等の交換・整備費用
日常費用燃料7万年間3000km走行、燃費約7km/L、ガソリン¥170/Lで計算
駐車場—条件によって異なる
合計約30万〜注)税金・自賠責保険料以外はすべて概算

アウディ R8 モデル解説

2代目アウディ R8の日本仕様は、前期型の「R8 V10」と「R8 V10 plus」、2019年の改良後に導入された「R8 V10 performance quattro」に大別できる。それぞれの特徴を解説する。

アウディ R8 V10 5.2 FSI quattro

2代目アウディ R8の標準モデルとして、2016年7月に発売された。ミドに搭載する5.2リッターV10自然吸気エンジンは、最高出力540PS、最大トルク540Nmを発生。7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)「Sトロニック」と、前後の駆動力を状況に応じて変化させるquattroを組み合わせる。0-100km/h加速は3.5秒、最高速度は320km/hである。

2017年には、電動ソフトトップを備えた「R8 Spyder V10 5.2 FSI quattro」が追加された。ソフトトップは約20秒で開閉でき、50km/h以下であれば走行中でも操作可能である。折り畳んだときにトップが収まるコンパートメントのカバーはカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)製で、2つのカウルにはそれぞれ3つずつベンチレーションスリットが設けられている。

発売2016年(スパイダーは2017年)
全長/全幅/全高/ホイールベース4425/1940/1240 /2650mm
パワートレインV型10気筒 自然吸気
総排気量5204cc
最高出力、最大トルク397kW(540PS)/7800rpm、 540Nm/6500rpm
トランスミッション、駆動方式7速Sトロニック、4WD
車両重量1690kg (スパイダーは1770kg)
0→100km/h加速3.5秒
最高速度320km/h

アウディ R8 V10 plus 5.2 FSI quattro

前期型の高性能モデルとして、ベースモデルと同時に登場した。5.2リッターV10自然吸気エンジンを最高出力610PS、最大トルク560Nmへ強化し、0-100km/h加速3.2秒、最高速度330km/hを実現している。日本発売時の価格は2906万円だった。

出力を高めただけでなく、セラミックブレーキ、グロスカーボン仕様の固定式リヤウイング、レーザーハイビーム、軽量化と高剛性を実現する数多くのカーボン製エクステリアアタッチメントなどを標準装備。ノーマルのR8よりも軽量化と空力性能の強化を実現した。

発売2016年
全長/全幅/全高/ホイールベース4425/1940/1240 /2650mm
パワートレインV型10気筒 自然吸気
総排気量5204cc
最高出力、最大トルク449kW(610PS)/8250rpm、560Nm/6500rpm
トランスミッション、駆動方式7速Sトロニック、4WD
車両重量1670kg
0→100km/h加速3.2秒
最高速度330km/h

アウディ R8 V10 performance quattro

2019年のマイナーチェンジに伴い、アウディ R8 V10 plusの実質的な後継として登場した後期型の高性能モデルでクーペとスパイダーが設定された。5.2リッターV10自然吸気エンジンは、チタン製部品を用いたバルブトレインなどの改良により最高出力620PS、最大トルク580Nmを発生。クーペの0-100km/h加速は3.1秒、最高速度は331km/hに達する。

外観では、シングルフレームグリルをより低くワイドな形状へ変更。グリル上部に設けられた3本のスリット、大型化されたエアインレット、楕円形エキゾーストパイプなどにより、前期型以上にモータースポーツとのつながりを強調している。

発売2019年
全長/全幅/全高/ホイールベース4430/1940/1240 /2650mm
パワートレインV型10気筒 自然吸気
総排気量5204cc
最高出力、最大トルク456kW(620PS)/8000rpm、580Nm/6600rpm
トランスミッション、駆動方式7速Sトロニック、4WD
車両重量1670kg (スパイダーは1760kg)
0→100km/h加速3.1秒
最高速度331km/h

日本での販売終了に際しては、クーぺボディをベースとする「R8 Coupé Japan final edition」が2023年に発表された。アイビスホワイトマットのボディ、マットブロンズ仕上げの20インチホイール、赤いブレーキキャリパー、ブラックとアラバスターホワイトを組み合わせた専用内装などを採用。日本限定8台で、車両本体価格は3508万円に設定された。

アウディ R8の新車・中古車価格

12.3インチTFTディスプレイを用いた「アウディ バーチャルコックピット」。
12.3インチTFTディスプレイを用いた「アウディ バーチャルコックピット」。

2代目アウディ R8の生産は終了しており、現在は中古車として購入することになる。参考として、日本での代表的な仕様の新車価格をまとめた。

 モデル発売時新車価格中古車価格
前期型R8 V10 5.2 FSI quattro (Spyder)2456万円 (2618万円)約1300万~ 3000万円
R8 V10 plus 5.2 FSI quattro2906万円
後期型R8 Coupé V10 performance quattro (Spyder)3001万円 (3146万円)
R8 Coupé Japan final edition3508万円

2026年9月時点で、中古車情報サイトに掲載されている2代目アウディ R8の価格は、おおむね1300万~3000万円。ただし流通台数は少なく、年式、走行距離、クーペ/スパイダー、前期型/後期型、ボディカラー、オプションなどによって価格差が大きい。

安価な車両でも、タイヤやブレーキ、クラッチを含む駆動系、サスペンションなどに整備が必要な場合は購入後の費用が膨らむ可能性がある。価格だけでなく、正規ディーラーでの整備履歴や消耗品の状態、事故・修復歴も確認したい。

アウディ R8について多い質問

以下では、アウディ R8について多い質問・疑問に回答する。

アウディ R8のライバルは?

同時期のライバルには「ランボルギーニ ウラカン」「ポルシェ911 ターボ/ターボ S」「マクラーレン 570S」2代目「ホンダ NSX」などが挙げられる。なかでもウラカンは、基本アーキテクチャや5.2リッターV10エンジンをR8と共有する。ウラカンと比較して、R8は控えめで端正なデザインや優れた視界、quattroによる安定性を備え、日常でも使いやすい点が特徴と言える。

クーペとスパイダーの違いは?

クーペは固定式ルーフを備え、軽量かつ高剛性なボディによる正確なハンドリングを重視したモデルである。一方、スパイダーは電動ソフトトップを採用し、オープン走行とV10エンジンのサウンドをより直接的に楽しめる。

後期型のV10 performance quattroは、どちらも最高出力620PSの5.2リッターV10自然吸気エンジン、7速Sトロニック、quattroを搭載する。0-100km/h加速はクーペが3.1秒に対してスパイダーは3.2秒、最高速度は331km/hと329km/hと発表された。走行性能を優先するならクーペ、オープンエアとエンジンサウンドを重視するならスパイダーが適している。

アウディ R8の生産は終了した?

アウディ R8の生産は2024年3月に終了した。最後に生産されたのは「ベガスイエロー」に塗装された個体で、現在はアウディ・ミュージアムに収蔵されている。初代の生産開始から17年間で、2世代合計4万5949台が製造された。現時点では、R8の名を継ぐ直接的な後継モデルは発表されていない。

アウディ R8の購入方法

アウディ R8はすでに生産を終えている。中古車は、アウディ正規ディーラーの認定車両に加え、輸入スポーツカーを扱う専門店や一般の中古車販売店でも探すことができる。購入時は、整備記録簿、保証内容、事故・修復歴、タイヤの製造年と状態、ブレーキの摩耗状態、オイル漏れの有無などを確認したい。カーボンセラミックブレーキやマグネティックライドサスペンションといった高額な部品を装着している個体では専門知識を持つ販売店を選び、納車前点検の内容と購入後の整備体制まで確認することが重要である。

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