レスポンスと風量を高次元で両立

GT3037の系譜を継ぐGT4955

1974年、国内初となる市販ターボキットを世に送り出したHKS。以来、ターボチューンのパイオニアとして、時代ごとのエンジンや競技シーン、ユーザーのニーズに応える過給器を開発してきた。GT2530やGT3037、T51Rといった名機は、今なお多くのチューナーやユーザーに語り継がれる存在だ。

現在のラインアップは、フローティングメタル軸受けを採用するGTIIIシリーズと、新世代のギャレット製ボールベアリングターボを中心に構成されている。100ps級から1000psオーバーまで、幅広い出力域をカバーするのが特徴だ。ボールベアリングかフローティングメタルか、あるいはどのメーカーのセンターカートリッジを採用するかといった部分にも固執せず、狙う性能や用途に応じて最適な構成を選ぶのがHKSの考え方だ。

その強みを支えているのが、エンジンベンチや豊富な開発車両、さらにはECU制御まで含めた総合的な開発環境だ。コンプレッサーホイールやタービンホイールだけでなく、ハウジングの形状やスクロール容量まで社内で検討。シミュレーションから鋳造型の製作、実車での検証まで、一貫した開発体制を構築している。

「HKSの強みは、エンジンや吸排気、ECU制御まで含めて開発できることです。車種や目標出力に最適なパッケージを選び、安心して性能を引き出せる製品に仕上げています」と、開発部の鶴さんは語る。

電子制御が高度化した現代のスポーツモデルでは、タービン単体の性能だけでなく、サクションやエキゾーストマニホールド、燃料系、ECUまで含めたトータルバランスが重要になる。これらを一体的に開発できることが、HKSの大きな強みとなっている。

タービン本体にも、さまざまな工夫が盛り込まれている。そのひとつが、コンプレッサー側に設けられたポーテッドシュラウドだ。過給時に発生するサージングを抑え、大風量域での安定性を高める機構で、モデルによっては開口量の変更も可能。求める特性に合わせたセッティングにも対応している。

現行ラインアップの頂点に位置するのが、GT75115_BBだ。大排気量化したRB26や2JZなどを想定したHKS最大級のボールベアリングターボで、1000psオーバーから1200ps級までをターゲットとしている。実際にRB28仕様のエンジンベンチでは約1280psを記録しており、ドラッグレースやタイムアタックといったハイエンドな用途にも対応する。

また、コンプレッサーハウジングのブラック仕上げも、単なるドレスアップではない。特殊コーティングによって耐食性を高め、経年による白化を抑制。長期間にわたってエンジンルームの質感を維持できるよう、細部まで配慮されている。

そんなGTシリーズに新たに加わるのが「GT4955」だ。開発コンセプトは、かつて500ps級タービンの代名詞として人気を集めたGT3037の現代版。GTIII-RSでは物足りないものの、既存の大容量ボールベアリングターボほど高出力側に振る必要はない。GT4955は、そうした領域をカバーするモデルとして開発が進められている。

GTIII-RS
GT4955

ハウジングサイズはGTIII-RSと同等ながら、コンプレッサーホイールを大径化。GTIII-RSがハーフブレードを採用するのに対し、GT4955では先端が尖ったフルブレードを採用している。外径も8.8mm拡大することで、必要な風量を確保した。

ホイールには削り出し製法を採用し、ブレードを薄く軽量に仕上げることで慣性重量を低減。軸受けには実績豊富なフローティングメタル式を採用し、優れたレスポンスと大風量の両立を狙っている。

GTIII-RS
GT4955

エキゾースト側も、外径はGTIII-RSと同等ながら、ブレード形状を変更。よりストレートに近い形状とすることで排気ガスを効率よく排出し、レスポンスを確保しながら高回転域までパワーを伸ばせる仕様とした。

対応出力は300ps台から最大600ps級を想定。1JZをはじめ、排気量を拡大したSRやEJ系エンジンとの相性も良く、RB26ではツインターボ仕様とすることで最高700psを狙えるキャパシティを持つ。

まずは汎用仕様とGR86用スポーツタービンキットについて、2026年内の発売を目標に開発が進められている。レスポンスを重視するならGTIII-RS、さらに高い出力を狙うならGT4955という、新たな選択肢が加わることになる。

GTIII-FX

さらにHKSでは、車種別スポーツタービンの開発も進めている。ZC33S型スイフトスポーツでは、発売から8〜9年が経過したGTIII-FXの上位版となるステージ2モデルを開発中だ。純正交換形状を維持しながら、コンプレッサーホイール径を従来比で2mm拡大。高効率サクションとのセット展開も予定している。

制御データ入りのフラッシュエディターも用意され、純正インジェクターのままで200psオーバー、燃料系を強化すれば230〜240ps級の出力を見込んでいる。

GRヤリス/GRカローラに搭載されるG16E-GTS型エンジン用についても、HKS初となる純正置き換えターボを開発中だ。コンプレッサー外径を純正比で7mm拡大したハイフロー仕様とし、目標出力は380ps。純正の負圧式アクチュエーターやノッキング制御まで検証し、パワーエディターRによる制御も含めた総合パッケージとして仕上げられる予定だ。

GT3037が担っていた500ps級という出力領域を、現代の技術で改めて狙うGT4955。その一方で、車種専用タービンの開発も進めるなど、HKSのターボチューンは次の世代へと進み始めている。

●取材協力:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235

「ポン付けで700馬力を実現」HKSが開発を進める次世代RB26用ツインターボキットをスクープ!

HKSがRB26DETT向けの新型スポーツタービン「GT4955スポーツタービンキット」を開発中だ。GTIII-RSと同サイズのハウジングを採用しながら、新設計コンプレッサー&タービンブレードによってボルトオンで700ps近い出力を狙えるという意欲作。さらに、新設計エクステンションキットも同時開発されるなど、RB26ユーザー注目の新製品が続々と登場する。

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