動物と衝突した際は物損事故として警察へ届け出を

動物との衝突事故が発生した際は、後続車への二次被害を防ぐためにハザードランプの点灯や三角表示板の設置を行い、警察へ物損事故として連絡を入れる。

秋のドライブ中にタヌキやシカなどの野生動物と衝突した場合、事故の処理を進める上で必ずおこなうべき手続きが道路交通法に基づいた警察への届け出である。

野生動物やペットとの衝突は、法律上「物損事故」として扱われる。事故の規模に関わらず、道路上で車両と動物が接触した事象は交通事故に該当するため、警察への報告義務が発生する。警察への連絡を怠った場合、道路交通法違反に問われる可能性があるほか、事故の事実を証明する事故証明書が発行されない事態が生じる。

事故が発生した直後の手順としては、まず二次被害を防止するための安全確保が求められる。ハザードランプを点灯させ、車両を路肩や非常駐車帯などの安全な場所へ移動させる。続いて発煙筒や三角表示板を車両の後方に設置し、後続車に対して異常を知らせる措置をとる。その上で速やかに110番通報をおこない、事故が発生した位置や道路名、衝突した動物の種類、自車の損傷状態などを警察官へ伝える。

負傷した動物が道路上に倒れている場合や死亡している場合は、自力で移動させようとせず、関係機関へ連絡を入れる。傷ついた野生動物は興奮状態にあり、不用意に近づくことで噛みつきや角による攻撃を受け、負傷するリスクが存在する。また、動物の死骸が道路上に残されたままになると、後続車両が踏みつけるなどの二次事故を引き起こす原因となる。道路の管理部署につながる道路緊急ダイヤル(#9910)や、管轄の保健所、地方自治体へ連絡をおこない、専門の作業員による回収や処理を依頼することが適切な対応となる。

車両保険の適用には補償内容の確認と警察の事故証明書が必要

車両保険を利用して車の修繕を行う場合、加入している保険が一般条件か限定型かによって補償の可否が分かれるため、事前に契約内容を確認する必要がある。

動物との衝突によって車体に凹みや破損が生じた場合、その修繕費用の支払いに自動車保険の車両保険が適用できるかどうかは、加入している保険契約の補償条件によって異なる。

車両保険には主に「一般条件」と「車対車+限定A」などの限定的な補償プランが存在する。野生動物との接触事故は、相手が車両ではないため自損事故や単独事故と同じ区分として分類される。そのため、一般条件の車両保険に加入している場合であれば修繕費用が補償対象に含まれる。一方で、相手方の車両が特定できる事故のみを対象とした限定型の車両保険では、動物との衝突事故が補償の対象外となる契約が一般的である。

保険を利用して修理をおこなう際には、保険等級への影響についても考慮が必要となる。動物との衝突事故で車両保険を申請した場合、翌年度の等級が3等級下がり、あわせて事故有係数適用期間が加算される。その結果、翌年以降の保険料が増額することになる。そのため、車の修繕見積もり金額と、等級低下にともなう将来的な保険料の上昇額を比較検討し、保険を適用すべきか自己負担で修理をおこなうべきかを判断することが求められる。

また、車両保険を請求する手続きにおいては、警察が発行する交通事故証明書が必要不可欠となる。警察への届け出がおこなわれていない場合、事故の発生日時や場所、原因を客観的に証明することが困難となり、保険金の支払いが拒絶される原因となる。

自車の保険契約における補償範囲をあらかじめ把握しておくとともに、事故発生時には必ず警察へ届け出て事故証明書を取得できる状態を整えることが重要だ。

衝突を未然に防ぐためには標識の確認と夜間のライト切り替えが有効

山間部などを走行する際は動物警戒標識に注意し、夜間はハイビームを活用して遠方の視認性を高めることで、衝突事故のリスクを低減できる。

野生動物との衝突事故を未然に回避するためには、走行中の道路環境に対する警戒と、適切な車両操作の実施が有効となる。

山間部や森林の周辺道路においては、「動物が飛び出すおそれあり」を示す黄色いひし形の標識である動物警戒標識が設置されている区間が多い。この標識が存在するエリアは、日常的にタヌキ、シカ、イノシシなどの野生動物が道路を横断するポイントであることを意味している。標識を確認した際は、指定速度を遵守することはもちろん、不測の飛び出しに備えて制動距離を短く保てるよう、あらかじめ速度を落として走行することが求められる。

また、野生動物の活動は日没から夜間、および早朝の時間帯に活発化する特徴がある。夜間の山道を走行する際は、対向車や前走車が存在しない状況において、ヘッドライトをハイビーム(走行用前照灯)に切り替える操作が推奨される。ハイビームを使用することで、ロービームよりも遠方の照射範囲が広がり、道路脇や路上にいる動物の姿を早い段階で認識することが可能となる。野生動物の目はライトの光を反射して光るため、早期発見の手がかりとなる。

走行中に道路上で動物を発見した場合、あわてて急ハンドルを切る操作は避けるべきである。急なステアリング操作は、車両の横転やガードレールへの衝突、あるいは対向車線への飛び出しといった二次事故を引き起こす要因となりかねない。衝突を避ける際は、ハンドル操作に頼るのではなく、直線状態を保ちながら段階的かつ確実なブレーキ操作によって車速を落とす対応が基本となる。

日頃から動物の出没しやすい環境に対する予測をおこない、ライトの切り替えと速度調整を徹底することが事故防止につながる。