「Honda S+ Shift」の採用も視野に、走る楽しさを追求する新世代SUVへ
ホンダのコンパクトSUV『ヴェゼル』が、2028年にもフルモデルチェンジを迎える可能性がある。次期型で最大の注目点となるのは、エクステリアの刷新以上に、ホンダが2027年から投入を開始する次世代ハイブリッドシステム「Honda Hybrid」の採用だ。

ホンダは2026年10月9日、次世代ハイブリッドシステムの名称を「Honda Hybrid」に決定したと発表した。2027年からグローバルで順次展開し、2029年度までに15車種へ搭載する計画を明らかにしている。
次期ヴェゼルがこの新世代パワートレインを採用すれば、燃費性能だけでなく、加速レスポンスやコーナリング性能にも大きな進化が期待できる。

現行ヴェゼルは2021年4月に登場した2代目だ。クーペSUVを思わせる流麗なスタイリングと、センタータンクレイアウトによる優れた室内空間を特徴としている。
2024年4月にはマイナーチェンジを実施し、2025年10月にはスポーティーグレード「e:HEV RS」を追加。専用サスペンションやステアリングのチューニングによって、走行性能を高めてきた。
一方、2028年に次期型が登場すれば、現行型の発売から約7年での世代交代となる。モデルサイクルとしても不自然ではなく、ホンダの次世代ハイブリッド投入時期とも重なる。
今回APOLLOが制作した予想CGでは、現行ヴェゼルの伸びやかなシルエットを継承しながら、フロントマスクをよりシャープに進化させた。
ヘッドライトは薄型化し、フロントグリルを横方向に拡大。ボンネットからフロントフェンダーへつながるラインを整理することで、現行型よりワイド感のあるスタイリングを表現している。
ボディサイドはクーペSUVらしいルーフラインを維持しながら、フェンダーの張り出しを強調。SUVとしての力強さと都会的な印象を両立させた。
ボディサイズは、全長4355mm前後、ホイールベース2640mm程度になると予想する。
現行型の全長4340mm、ホイールベース2610mmと比較すると、全長の拡大を15mm程度に抑えながら、ホイールベースを約30mm延長する計算だ。
これにより、都市部での扱いやすさを維持しつつ、後席の居住性や乗り心地の向上を狙う可能性がある。
ただし、現行ヴェゼルが採用するセンタータンクレイアウトを、次世代プラットフォームでも継続するかは不透明だ。室内空間の確保と電動化技術の両立が、次期型のパッケージングにおける重要な課題となるだろう。
そして、最大の注目点がパワートレインである。
ホンダが開発を進める次世代ハイブリッドでは、小型車向けに新開発の1.5L直噴アトキンソンサイクルエンジンを採用する。
従来の1.5Lエンジンに対し、燃焼効率を高めるとともに、高効率で運転できる領域を拡大。電動ドライブユニットの効率向上や制御技術の進化も組み合わせ、燃費性能と走行性能の両立を目指している。
ホンダは次世代の小型・中型ハイブリッドシステムについて、10%以上の燃費向上を目標として掲げている。
現行ヴェゼルのe:HEV X(FF)のWLTCモード燃費は26.0km/Lだ。
仮に次期ヴェゼルで同程度の燃費改善が実現すれば、28km/L台も計算上は視野に入る。ただし、車両重量やタイヤサイズ、空力性能などによって実際の燃費は変わるため、次期型の燃費性能を示す数値ではない。
さらに、次世代ハイブリッドでは新開発の電動AWDも注目される。
現行ヴェゼルはFFと4WDを設定しているが、次世代システムでは前後の駆動力を電気的に制御する新方式が開発されている。
ホンダによると、新開発の電動AWDは、従来の機械式AWDに対して最大駆動力を高めるとともに、加減速や旋回時のタイヤの接地荷重変化に応じて駆動力配分を最適化する。
これにより、雪道など滑りやすい路面での安定性に加え、コーナリング時の応答性や車両姿勢の制御にも効果が期待される。
次期ヴェゼルに採用されれば、従来の実用性重視のコンパクトSUVという性格に、より積極的な走行性能が加わる可能性がある。
もうひとつの注目技術が「Honda S+ Shift」だ。
2025年発売の『プレリュード』で初採用されたこの技術は、ハイブリッドシステムのエンジンとモーターを協調制御し、有段変速機のような加速フィールを生み出すものだ。
実際の変速機構を切り替えるのではなく、エンジン回転数と駆動力を緻密に制御することで、アクセル操作に対するダイレクトな反応を実現する。
パドル操作による仮想的な変速にも対応し、ドライバーが積極的に走りを楽しめる点が特徴だ。
ホンダはHonda S+ Shiftを次世代ハイブリッド搭載車へ順次展開する方針を示している。
次期ヴェゼルへの搭載も考えられるが、全グレードに採用されるとは限らない。現行型に設定されたe:HEV RSのようなスポーティーグレードを中心に展開する可能性もある。
インテリアについても、次世代プラットフォームへの移行に合わせた刷新が予想される。
大型センターディスプレイやデジタルメーターの進化に加え、コネクテッド機能や運転支援システムの高度化も期待される。
一方、価格については、新世代パワートレインや電動AWDの採用によって上昇する可能性がある。
現行ヴェゼルの価格は275万8800円から396万8800円。次期型が先進技術を幅広く採用する場合、上級グレードでは400万円を超える価格設定も考えられる。
2028年の登場が予想される次期ヴェゼル。新開発1.5Lハイブリッド、電動AWD、Honda S+ Shiftが組み合わされれば、燃費性能と走行性能を両立する新世代SUVへ進化することになる。
現行型が築いた扱いやすさと実用性を維持しながら、ホンダが掲げる「操る喜び」をどこまで高められるかが、次期型の大きな焦点となりそうだ。









