バイク旅でドリップコーヒーを淹れたい!【資金は4000円、道具はamazonで(一番安いヤツを)調達】

チェアリングという遊び方が少しずつ知られるようになった。折り畳み椅子を持って外出し、気に入った場所でくつろぐというものだ。デイキャンプよりもライトにアウトドアを楽しめるのが魅力であり、ツーリングと組み合わせることも可能。そんなチェアリング、もしくは屋外でのテレワークをより充実したものにしてくれるのがドリップコーヒーだ。アウトドア初心者がamazonを駆使して、低予算でドリップコーヒーを楽しんでみました。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

最低限お湯を沸かせるだけのアイテムを揃えればOKだ

「外でコーヒーを飲んでみたいんですよ」と、モーターファンバイクスの山田編集長。彼は自宅近くの河原でテレワークをすることが多く、そこでコーヒーを楽しみたいという。バイク乗りにとってコーヒーと言えば〝缶〟が定番であり、手がかじかんだときにはそれで暖を取ることも。また、昨今はコーヒー専用の水筒が普及しており、これをオフィスやアウトドアで使う人も珍しくなくなった。でも、山田編集長が言う〝コーヒー〟とはドリップによる淹れたてのものを指す。

私はとりあえず、お湯を沸かすための熱源としては焚き火やガソリンバーナー、カセットコンロなどがあり、さらに4輪の12V電源で使える電気ケトルもあることを伝え、その中で最も扱いやすくてコンパクトなガスバーナーがいいのではとアドバイス。すると彼は、ガスバーナーはOD(アウトドア)缶とCB(カセットボンベ)缶の2種類に大別できることを調べたうえで、彼は次のものをamazonで購入した。

「これで不足はないかな? いらないものを買っちゃってないかな?」

アウトドア初心者の彼は不安そうに道具を広げた。
いずれもamazonで最安値のものばかりで、送料込みで4000円(マグカップ、水、コーヒー豆代を除く)くらいで揃えたという。
なかなかの買い物上手のようであるが、安かろう悪かろうなんてことも考えられるし、初心者ゆえの買い忘れ、買い間違いがあるかもしれない。


それでは一つ一つ見てみよう。

総費用は4,000円弱! 注目はバーナーを含むクッカーセットだ

Lovesoleというブランドのクッカーセットで、大小のクッカーの中にこれら全てが収まるのがポイント。おたまや木ベラ、フォーク、スプーン、ナイフ、スポンジまで揃い至れりつくせりだが、今回のコーヒードリップでは出番はなさそう。購入時価格は2,399円。
山田編集長は、左のクッカーに収納できることを優先してOD缶を選択。プリムスのIP-110は最も容量が小さく、これを358円で購入した。
ノーブランドの手動コーヒーミルは809円で購入。内刃、外刃ともセラミック素材で、粗挽きから細挽きまで調整可能だ。ボディ部分は樹脂製、メタル調の塗装がされていて見た目と手触りのチープな印象は否めない。
カリタの1杯専用ドリッパーは160円。樹脂製でちょっとかさばりそうだが、派手めの色がお気に入り。このほかに同じくカリタのコーヒーフィルター100枚入り(165円)と、コーヒーメジャー(101円)も入手。

山田編集長の河原までの主な移動手段はヤマハJOGアプリオ。そのコンビニフックに掛けられるトートバッグに全ての用品が収まることが、今回のアイテム選びの条件だったという。注目はクッカーセットで、シングルバーナーや木べら、折り畳み式のスプーンやフォーク、ナイフなどを含んでのお値段は何と2,399円(購入時)! クッカーは中にOD缶が収納できる定番サイズで、持ち手は溶接ではなくリベットで固定されている。こういったところでコストを抑えているようだ。

筆者はSOTOの定番レギュレーターストーブを愛用する

私が普段使用している調理用アイテム。バーナーはCB缶用の定番であるSOTOのST-310。これにアルミ製の遮熱テーブルを組み合わせる。ケトルはキャプテンスタッグ製で定価2,640円。クッカーとしても使えるので非常に便利だ。
ST-310は外気温が低いときにも火力が安定するマイクロレギュレーターを搭載。定価は6,380円だ。写真はオプションのアシストグリップ(660円)と点火アシストレバー(528円)を追加した状態。なお、CB缶のカバーはセリアにて購入。

格安セットに付属するバーナー、問題なく使うことができた

OD缶のキャップを外し、バーナーを取り付ける。奥までしっかりとねじ込むこと。
このバーナーには低価格品でありながら点火ユニットが付いていた。ライターなどを用意する必要なし。
用意したカップ(=できあがり量)よりもやや多めの水をクッカーに注ぐ。
バーナーに点火し、その上にクッカーを載せる。倒れないように注意しよう。
メジャーでコーヒー豆を計量してミルへ。今回はダテーラというブラジル産の豆を用意。200gで1200円。
ハンドルをひたすら回して豆を挽く。全行程の中で最も重労働と言えるだろう。
ドリッパーにフィルターを密着させ、その中に挽いたコーヒー豆を移す。
バーナーで沸かしたお湯をゆっくりと注ぐ。やけどにはくれぐれも注意を。
辺りに漂うコーヒーの香り。やはり缶やペットボトルのそれとは格が違う。
完成。お湯さえ沸かせればアウトドアで上等な1杯が楽しめるのだ。

ツーリング先でも楽しめるチェアリング&ドリップコーヒー

いかがだろうか。低価格品で揃えた割にはトラブルもハプニングも起きず、ただ美味しいコーヒーを飲めてしまったことに、正直ガッカリ感した方も多いとはおもうのだが……。
あえての不安要素を挙げるならば、シングルバーナーは五徳が小さいのでクッカーが安定しにくいというネガはあるくらい。ただし炎はスポット的ながら火力の安定性は高く、500ccほどの水を4~5分で沸騰させてくれた(外気温や風向きにも大きく左右されるのであくまでも目安)。耐久性については未知数ながら、今の所はガタも腐食もなく、当面は使えそうだ。

今回用意したアイテムは小さめのシートバッグやバックパックにも楽に収まるので、ツーリング先でコーヒーを楽しむのにも最適だ。なお、火気の使用が可能かどうかも含めて、火の取り扱いには十分注意してほしい。

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…