ホンダ・レブル500、ロングランで感じた予想以上のツラさ。|1000kmガチ試乗2/3

ホンダ・レブル500……79万9000円
ノーマルはノーマルで大いにアリだし、他のモデルでは替えが利かない貴重な存在だと思う。とはいえレブル500でロングランに出かけ、尻と腰にかなりの痛みを感じ僕は、シートとリアショックを改善したツーリングバージョンの登場を期待することになった。

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)

ホンダ・レブル500……79万9000円

堂々たるルックスと扱いやすくてスポーティなハンドリングを両立するため、レブルシリーズはフロントフォークの傾斜角とフレームのキャスター角が異なる、スランテッドアングルを採用。30/28度という数値は全モデルに共通。

体力が衰えても楽しめそうな資質

 レブル500で撮影を兼ねたロングツーリングに出かけて、最初にありがたいと思ったのは抜群の扱いやすさである。もっとも身長182cmの僕は巨大なアドベンチャーツアラーに乗っても、扱いづらいと感じることはめったにないのだが、足つき性がとてつもなく良好で、走行写真撮影時のUターンが気軽にでき、ストップ&ゴーがまったく苦にならないレブル500に乗っていると、この特性なら体力が低下して老人と言われる年齢になっても、充実したバイクライフが送れそうな気がして来る。

 もちろんそういう視点なら、弟分のレブル250を含めた軽二輪クラス、あるいは125cc以下の原付二種クラスという選択肢もあるだろう。でも今回の試乗でレブル500をじっくり堪能した僕は、他車では替えが利かない貴重な存在、という印象をこのバイクに抱いたのだ。

質実剛健なエンジン+軽くて超低い車体

 僕がレブル500を貴重と考える理由は、どんな場面でも過不足を感じることなく、安心してスポーツライディングが楽しめること。あら、改めて文字にすると、そんなモデルは他にもたくさんありそうだが、質実剛健な特性のエンジン+軽くて超低い車体のバイクは、実は世の中にはほとんど存在しない。レブル500を基準にするなら、兄貴分の1100は車体が重く、弟分の250はエンジンに物足りなさを感じる場面があるし、ジャンルと価格帯で唯一のライバルになりそうなカワサキ・バルカンSは、車重がレブル500より約40kgも重い229kg。そして一般的なロードバイクに目を向けると、エンジン特性や車重の軽さでは魅力的なモデルが数多く存在するものの、シート高はほとんどがレブル500の50mm以上で、車両によっては100mm以上。こういった事実を考えると、やっぱりレブル500は貴重な存在なのだ。

 なおエンジンに関して補足をしておくと、多くのライダーがクルーザーに求める鼓動感、スポーツバイクの特徴と言うべき高回転域の伸びという視点で見るなら、レブル500が搭載するパラレルツインは最高とは言い難い。低回転域では2気筒ならではのパルスが伝わって来るけれど、それを味わいながらマッタリ巡航したくなる雰囲気ではないし、中高回転域では程よい伸びを感じるものの、シャープや爽快と言うレベルではない。

 でも僕はそれでいい、と言うか、それがいいと思った。濃厚な低速トルクや中高回転域の鋭い吹け上がりは、場合によってはストレスになることがあるのだから。もちろんこの件に関する考え方は各人各様なのだが、いい意味でそこそこなレブル500のエンジン特性は、ロングツーリングに向いていると僕は感じたのである。

徐々に蓄積された尻と腰の痛み

 過去に何度も同様の表現を使った気がするけれど、ロングツーリングでレブル500に対する印象が変わったのは、走行開始から約7時間が経過した、午後1時あたりからだった。いや、厳密に言うなら微妙な違和感は前日から存在したのだ。タンデムシートにシートバッグを装着しようとしたら、どうにも落ち着きが悪く、固定方法を工夫するとカッコが悪くなってしまったので、この日の僕はリュックを背負って出かけた(撮影時はカメラマンの車に積載)。もっとも積載性の悪さは、クルーザーの世界では珍しくないのだけれど、レブル500のキャラクターを考えると、何となく惜しい気がしていたのだ。

 とはいえ本当に惜しいのは、乗り心地だった。この件についても、クルーザーの世界ではある種の妥協を感じることが少なくないし、長兄の1100と末弟の250の乗り心地だって決して良好ではないのだが、レブル500のリアサスの作動感はリジッドを思わせるほどに悪く、シートのウレタンがあまり厚くないこともあって、大き目の凹凸を通過すると衝撃がドンッ‼と身体に入り、尻と腰に痛みが蓄積していく。と言っても午前中の僕にとって、そういった衝撃は許容範囲だったのだが、心身が疲れて来た午後は耐え難くなり、できることなら、ここから4輪に積載して帰りたい……と思ってしまった。

 そしてこの時点で、僕は以前から抱いていた、“街中ではかなりの台数が走っているのに、どうしてツーリング先ではあんまりレブル250を見かけないのだろう”という疑問が解けた気がした。車重が軽い250の乗り心地は、500より多少はマシだった気がするけれど、シャシーの基本設計を共有している以上、おそらく250も、長距離では同様の印象を抱くんじゃないだろうか。いずれにしてもロングランに使うことで、第1回目の最後に述べた体力が衰えて来たベテランにオススメしたい、そして今回の冒頭に記した、老人と言われる年齢になっても充実したバイクライフが送れそうという気持ちは、僕の中で急速にしぼんでいくことになったのである。

ツーリングバージョンに対する期待

 さて、そんなわけで僕の中では微妙な位置づけとなったレブル500だが、だからと言ってこのバイクが嫌いにはなれなかった。その理由を考えてみると……。

 日本では弟分の250でバイクデビューやリターンを飾ったライダーが大勢いるし、欧米では500が同様の役割を果たしているのである。そういった事実を考えれば、レブル500/250の特性は現状で正解なのだろう。また、ホンダはレブルと同系エンジンを搭載する快適な車両として、400・500XやCBR400・500R、CRF250L・ラリー、CB250Rなどを準備しているのだから、そもそもレブルの乗り心地に文句を言うのは野暮なことかもしれない。逆にレブルは乗り心地を犠牲にしたからこそ、抜群の扱いやすさを獲得できた、と言えなくもないわけだし。

 でも僕は現状のレブル500/250に対して、やっぱりもったいないと思うのである。足つき性とルックスを重視して設計されたシートとリアショックを改善すれば、具体的には、シートの厚みを増してリアショックの全長を伸ばせば、乗り心地は確実に良好になるのだから。

 もちろんそういう改善を行ったら、シートが最低でも20~30mm前後は高くなり、現状の扱いやすさの何割かは失われるだろう。でもレブル500/250オーナーとその予備軍の中には、扱いやすさが多少犠牲になったとしても、快適性を求める人がいるはずだ。だから僕は、ノーマルはノーマルのままでいいので、乗り心地を改善したツーリングバージョン、あるいは、厚めのシートとロングリアショックをセットにしたアクセサリーパーツの“ツーリングキット”を、ホンダに作って欲しいと思っている。そういう仕様が登場したら、レブル500/250は今以上の人気を獲得できるんじゃないだろうか。

※近日中に掲載予定の第3回目では、筆者独自の視点で各部の解説を行う予定です。

純正指定タイヤはダンロップD404。F:130/90-16、R:150/80-16というサイズは、ハーレー・ダビッソンXL1200XSフォーティエイトやインディアン・スカウトシリーズと同じだ。

■主要諸元

合わせて読みたい
「ベストレブルはこの”500″かもしれない」|レブル500・1000kmガチ試乗1/3
車名:レブル500 
型式:2BL-PC60 
全長×全幅×全高:2205mm×820mm×1090mm 
軸間距離:1490mm 
最低地上高:135mm 
シート高:690mm 
車両重量:190kg 
キャスター/トレール:28°/110mm 
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列2気筒/DOHC 2バルブ 
総排気量:248cc 内径×行程:67.0mm×66.8mm 
圧縮比:10.7 
最高出力:34kW(46PS)/8500rpm 
最大トルク:43N・m(4.4kgf・m)/6500rpm 
燃料消費率WMTCモード値・クラス3-2:27.0km/L(1名乗車時) 
燃料消費率国交省届出値:40.2km/L(2名乗車時) 
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン 
燃料タンク容量:11L 
始動方式:セルフスターター 
点火方式:フルトランジスタ点火 
潤滑方式:ウェットサンプ 
燃料供給方式:フューエルインジェクション 
トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン 
クラッチ形式:湿式多板 
ギヤ・レシオ 
 1速:3.285
 2速:2.105 
 3速:1.600 
 4速:1.300
 5速:1.150
 6速:1.043 
1・2次減速比:2.029・2.666 
フレーム形式:ダイヤモンド 
懸架方式前:テレスコピック正立式φ41mm 
懸架方式後:スイングアーム・ツインショック 
タイヤサイズ前後:130/90-16 150/80-16 
ホイールサイズ前後:3.00×16 3.50×16 
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク 
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク 
乗車定員:2名

著者プロフィール

中村友彦 近影

中村友彦

1996~2003年にバイカーズステーション誌に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。1900年代初頭の旧車…