「ベストレブルはこの”500″かもしれない」|レブル500・1000kmガチ試乗1/3

ホンダ・レブル500……799,700円
大人気の兄貴分や弟分とは異なり、日本市場ではいまひとつ人気が獲得できないレブル500。とはいえ、昔から中間排気量好きの僕は、自分にとってのベストレブルは500かもしれない……と、感じているのだった。

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)

ホンダ・レブル500……799,700円

昨今ではすっかり見慣れた感があるけれど、2017年の登場時にはロー&ロングにしてナローなスタイルが衝撃的だったレブル250/500。もっとも250と500が車体の基本設計を共有していることのほうが、個人的には驚きだった。

日本市場から姿を消す前に?

デビュー当初はオーソドックスなハロゲンバルブ式だったヘッドライトが、4灯LED式に変更されたのは2020年型から。同時に前後ウインカーとテールランプもデザイン変更とLED化が行われた。

 少し前に当サイトにアップしたインプレに記したように、今春からシリーズの長兄として発売が始まったレブル1100は、ものすごくいいところを突いたバイクである。ただし個人的には、自分にとってのベストレブルは500かもしれない……と、思わないでもなかった。長兄の1100より車体が軽くて小さく(装備重量/軸間距離は、1100:223kg/1520mm、500:190kg/1490mm)、末弟の250のほぼ倍となる43psのパワーを発揮する500は、これまでにH-Dスポーツスター883やトライアンフ・デイトナ675など、微妙な中間排気量車を愛用して来た僕にとって、しっくり来る特性のような気がしたのだ。

180度クランクの並列2気筒エンジンは、CBR500シリーズ用がベース。すでに日本市場向けとして排気量を縮小したCBR400シリーズが存在したものの、ホンダはあえてレブル400を作らず、海外仕様と同じ500のままで販売に踏み切ったのだ。

 そんなわけで、今回のガチ1000kmではレブル500を取り上げるのだが、個人的な趣向に加えてもうひとつ、僕には今の時点でこのバイクに乗っておきたい理由があった。近年の250cccクラスでダントツトップのセールスを記録している末弟の250、コロナ禍の影響があるとはいえ、デビューから半年が経過しても大量のバックオーダーを抱える長兄の1100に対して、500が日本で売れている気配はない(免許制度や排気量に対する考え方などが異なる欧米では、堅調なセールスを記録している模様)。となれば近い将来、レブル500は国内市場から姿を消すんじゃないだろうか。だからこそ新車が存在するうちに、僕はインプレを記しておきたいと思ったのである。

1100よりフレンドリーで軽快

 あ、やっぱりね。ホンダからレブル500の広報車を引き取り、10分ほど市街地を走った段階で、僕はそう感じた。兄貴分の1100と比べると、500は明らかにフレンドリーで軽快なのである。まずライポジが1100より一回り小さい印象だし、ハンドリングは1100より格段にヒラヒラ。もっとも1100だって、今どきの1リッター以上のクルーザーの中ではフレンドリーで軽快なほうなのだが、同条件でレブル1100と500を比較したら、長兄にそういう印象は抱きづらいだろう。いずれにしても、休日ツーリング専用ではなく、日常の足としても愛車を使うのが前提なら、500に軍配を上げる人は少なくないはずだ。

 まあでも、そういう使い方なら250のほうがいい、という見方もあると思う。それは確かにその通りで、装備重量が500より20kg軽い170kgで、クランクが発生するジャイロ効果が少ない250は、500以上にフレンドリーで軽快だ。とはいえ、ここぞという場面でのエンジンのパンチ、低回転域と高回転域の表情の変化、回したときの面白さなどを考えると、僕の中では並列2気筒の500のほうがやや優勢。もっともエンジンの好みは人それぞれだから、単気筒の250に好感を抱く人もいるに違いない。逆に言うなら、車体の基本設計の多くを共有するレブル500と250は、エンジンの好みで選べるバイクなのだが、400ccを境とする日本独自の免許制度がネックになって、現実的にはそうはなっていない。価格差がもう少し縮まったら事情は異なるのかもしれないが(250は59万9500円で、500は79万9700円。ちなみに1100の110万円/121万円)、近年のミドルの基準で考えてレブル500が高いわけではない。

兄貴分と弟分の250のいいとこ取り

 続いては峠道の話。まずは大前提をしておくと、ボバーテイストな見た目とは裏腹に、レブル3兄弟はコーナリングが楽しいスポーツバイクである。この件については1100のインプレでも記したのだが、500と250も長兄と同様に、必要にして十分な車体剛性や絶妙のライポジ、トレールの最適化を図るスランテッドアングル、意外に深いバンク角などのおかげで、既存のクルーザーとは一線を画するスポーツライディングが満喫できる。

 では500で峠道を走った僕がどんな印象を抱いたのかと言うと、誠にありがちな表現で恐縮だが、1100と250のいいとこ取り?だった。具体的な話をするなら、ブレーキングや倒し込みは1100より楽チンで、余裕を持ってコーナーに進入できるし、その一方でコーナーの立ち上がりでリアから伝わるトラクションは250より濃厚。また、タイトなヘアピンカーブが続く幅の狭い舗装林道では、1100は車体の大きさ、250はエンジンの非力さに不満を感じることがあったものの、500はそういった状況をソツなくこなせる。言ってみればレブル500には、オールラウンダーとしての資質が備わっているのだ。

ベテランにオススメしたいのだが……

 車両を借用して数日後、僕はすっかりレブル500が気に入っていた。でもその一方で、立ち位置には難しさを感じた。と言うのも、このバイクの質感は250と同等で、見るからに豪華な1100にはまったく及ばないのである。だから大型2輪免許を取得して日が浅いライダー、あるいは、周囲の評価を気にするライダーが、レブル500を選ぶ可能性はほとんどないだろう。ちなみに欧米におけるレブル500には、エントリーモデルという役割もあるようだが、前述した免許制度の問題を考えると、日本でそういうケースは稀だと思う。例えばレブル250を所有するライダーが、大型2輪免許を取得してステップアップを行う場合、今までの愛車と見た目がほとんど変わらない500を選ぶという状況は、なかなか考えづらい。

 じゃあどんなライダーにレブル500が向いているのかと言うと、ある程度以上の経験があって、周囲の評価がどうでもよくなって、ぼちぼち体力の低下が気になり始めたベテランではないかと思う。その枠に自分が入るかどうかはさておき、僕はそういうライダーにこそ、新車が無くなる前に、レブル500を体感して欲しいのだ。

 と思ったものの……。後に撮影を兼ねた約500kmのロングツーリングに出かけてみたところ、このバイクの乗り味は、体力が衰えて来たベテランには薦めづらいことが判明。その詳細は第2回目でお伝えする予定だ。

1970年代のマスプロアンテナのCMで使われた、“見えすぎちゃって困るの~”という言葉を思い出してしまうほど、レブルはダイヤモンドフレームとシートレールがよく見える。近年のバイクで、ここまで露出度の高い骨格は他にないんじゃないだろうか。

■主要諸元 

車名:レブル500
型式:2BL-PC60
全長×全幅×全高:2205mm×820mm×1090mm
軸間距離:1490mm
最低地上高:135mm
シート高:690mm
車両重量:190kg
キャスター/トレール:28°/110mm
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列2気筒/DOHC 2バルブ
総排気量:248cc
内径×行程:67.0mm×66.8mm
圧縮比:10.7
最高出力:34kW(46PS)/8500rpm
最大トルク:43N・m(4.4kgf・m)/6500rpm
燃料消費率WMTCモード値・クラス3-2:27.0km/L(1名乗車時)
燃料消費率国交省届出値:40.2km/L(2名乗車時)
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:11L
始動方式:セルフスターター
点火方式:フルトランジスタ点火
潤滑方式:ウェットサンプ
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ
 1速:3.285
 2速:2.105
 3速:1.600
 4速:1.300
 5速:1.150
 6速:1.043
1・2次減速比:2.029・2.666
フレーム形式:ダイヤモンド
懸架方式前:テレスコピック正立式φ41mm
懸架方式後:スイングアーム・ツインショック
タイヤサイズ前後:130/90-16 150/80-16
ホイールサイズ前後:3.00×16 3.50×16
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク
乗車定員:2名

著者プロフィール

中村友彦 近影

中村友彦

1996~2003年にバイカーズステーション誌に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。1900年代初頭の旧車…