バイクのタイヤはいつが寿命? 走行距離が短くても交換が必要なケースもある!

バイクのタイヤを交換する目安は、走行距離「10000〜20000km」、製造年月から「3〜5年」だといわれたりする。だが、実際は、バイクの走り方や保管環境など、さまざまな要因により変わってくる。そのため、一概に何キロで変えるとか、何年で交換とはいえないのだ。
では、バイク用タイヤは、一体、どんな時に交換すべきなのか? キーになるのは、日常的な点検により、常に現在のタイヤの状態を知ること。基本的なチェック方法を紹介しよう。

REPORT●平塚直樹
PHOTO●写真AC、平塚直樹
*写真はすべてイメージです

スリップサインが出たら摩耗が限界!

前後2輪だけで走るバイクのタイヤは、安全で安定した走行をするために重要なパーツ。それだけに、前述の通り、常に現在のタイヤの状態を知ることがもっとも大切だ。

では、チェック方法にはどういったものがあるのか? まずは、トレッド(タイヤ表面)の摩耗が限界に達していないか「スリップサイン」を見ることだ。

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スリップサインとは、タイヤの溝に設けられた隆起部分

スリップサインとは、タイヤの溝に設けられた隆起部分のことで、残り溝の深さを示す目安だ。タイヤがすり減ると溝がなくなり、グリップ力など本来の性能が発揮できなくなるのはご存じの通り。そして、もしタイヤ表面にスリップサインが現れたら、残りの溝の深さが0.8㎜(道路運送車両法に定められているバイク用タイヤの最低の溝深さ)に達したことを示す。そうなったら、そのタイヤの摩耗は限界になっているのだ。

スリップサインが、タイヤのどの位置にあるのかは、サイドウォール(タイヤ側面)にあるマークを見れば分かる。マークは「▲」印を使うことが一般的で、タイヤサイズによっても異なるが、4〜6か所に配置されていることが多い。なお、これもタイヤサイズによっては、「▲」マークの代わりに文字の「TWI」が刻印されているケースもある。

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スリップサインの位置はサイドウォール(タイヤ側面)にある「▲」マークで分かる

なお、スリップサインは、前後タイヤのどこか1か所でも現れたら、そのまま走行するのは危険なので、新品タイヤに交換したい。

また、交換時期についても、スリップサインが出てから交換ではなく、表面に現れる前に交換する方がいい。「もう少し走ると出てくるな」といったタイミングで交換する方が、限界に達する前だから安全なのだ。

先に述べたように、バイクにとってタイヤは安全に走るために非常に重要なパーツ。くれぐれも、早め早めの交換を心掛けたい。

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スリップサインがタイヤ表面に出る前に交換したい

溝があっても寿命になっている場合

タイヤにスリップサインが出ておらず、溝も十分にある場合でも、交換する必要がある状態もある。それは、まず、タイヤの経年劣化などにより、トレッドやサイドウォールにひび割れなどがある場合だ。

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ひび割れなどがあるタイヤも交換すべき

タイヤは、これもご存じの通り、ゴム製品。製造して年月が経つと、ゴムが硬くなり、ひび割れなども起こる。こうした状態で走行をすると、走行中にバーストすることもあるから非常に危険だ。

また、もし、ひび割れなどがなくても、例えば、10年間タイヤを変えていないというのも御法度。これも、同様にゴムが硬くなっているため、グリップ力が低下している可能性が高い。特に、こうした状態で雨天時など滑りやすい路面を走ると、転倒のリスクがかなり高くなるので危険だ。

ほかにも、比較的新しいタイヤで溝があっても、トレッド面やサイドウォールにタイヤ内部構造のコードに達している外傷があったりするのも危ない。

そういった場合も、新品タイヤに交換した方がいいが、もしよくわからない場合は、そのまま使ってもいいのかどうか、タイヤに詳しいバイクショップやタイヤ販売店に相談することをおすすめする。

日常点検でタイヤの状態を事前に確認

このように、タイヤにスリップサインが出てないかとか、ひび割れや傷がないのかなどを知るためには、日頃からタイヤの状態をチェックする日常点検が大切だ。

できれば、毎回走る前にチェックする方がいい。また、タイヤの空気圧が適正値になっているかも、こまめにチェックしたい。適正なタイヤ空気圧で走行しないと、トレッドの特定場所に偏摩耗が発生する異常摩耗になることがあるからだ。

タイヤの空気圧は、規定値より低すぎても、高すぎても危険だ。空気圧が低い場合はトレッドのショルダー部の摩耗が早く進行するし、高いとトレッドセンター部の摩耗進行が早くなり、いずれも異常摩耗を起こしやすくなる。

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タイヤの空気圧は、規定値より低すぎても、高すぎても危険

しかも、タイヤの空気圧は、その日の天候や気温などによって変化する。そのため、これも可能なら、走行前に毎回チェックし、その日の状況にマッチした適正空気圧にした方がいい。

なお、愛車のタイヤ空気圧適正値は、取り扱い説明書を見るか、チェーンケースなどに貼られているシールにも書いてあるので、そこを見れば分かる。バイクのタイプや排気量などによって適正空気圧は違うので、必ず事前にチェックしておきたい。

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タイヤ空気圧の適正値は、チェーンケースなどに貼られているシールにも書いてある

バイクの保管方法にも注意したい

あとは、バイクの保管方法にも注意したい。できれば、ガレージなどに屋内保管をする方が、雨風や直射日光を避けられるため、タイヤだけでなく、バイクの塗装なども長持ちさせやすい。

だが、もし、屋外にしか駐車できない場合は、バイクカバーを掛けておくことをおすすめする。特に、タイヤは、太陽光に含まれる紫外線や熱の影響を受けやすい。そのため、紫外線を長い期間浴びたり、高温になったアスファルトの上にずっと置いておくと、ゴムの劣化が進んでしまい、前述したひび割れなどを起こしやすくなる。

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屋外にしか駐車できない場合は、バイクカバーを掛けるのはおすすめ

もちろん、バイクカバーも、ずっと屋外で使っていると劣化する。もし、劣化して破けたまま使っていると、結果的にバイク自体やタイヤを守ることにならないため、こちらも、定期的な交換が必要だ。

繰り返しになるが、前後2輪だけで走るバイクのタイヤは、安全で安定した走行をするためにとても重要。それだけに、常に現在のタイヤの状態を知ることがもっとも大切だといえる。ここで紹介したいくつかのチェックポイントを、定期的に実行し、安全・安心なバイクライフを送ることをおすすめする。

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…