SNSでバズったガンナーに100cc版が登場!|フェニックスエンジニアリング・ガンナー100

バズーカバイクのガンナーに97ccモデルが登場! ガンナー100|フェニックスエンジニアリング

フェニックスエンジニアリング・ガンナー100……294,800円(2021年末発売予定)
タイの新興メーカー、フェニックスエンジニアリングが1台ずつ手作業で生産しているレジャーバイクがガンナーだ。日本人チューナーが監修しており、2021年1月にまず50cc版が上陸。そして9月から予約がスタートしたのが待望の100cc版だ。ロットごとに細かく改良が行われており、50の初期よりも格段に乗りやすくなっているという。100の国内入荷第1号車をさっそく試乗してみた。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●moto shop クロニクル(https://chronicle521.com/)

フェニックスエンジニアリング・ガンナー100……294,800円(2021年末発売予定)

車体色は50と共通で、レッド、イエロー、ホワイト、ブラック、ブルー、グリーンの6種類を展開。なお、50は価格が改定されて261,800円に。
試乗したのは国内入荷第1号車で、排気量を示す「100」のロゴはあくまでも仮とのこと。

排気量アップで大柄なシャシーとのマッチングが向上

……周囲からの視線がハンパない。信号待ちで歩行者がガン見してくるのは序の口で、立ち寄ったラーメン屋では女性店員から「変わったバイクに乗ってきたわねぇ」と声を掛けられるし、ロケ中も老若男女問わず引っ切りなしに質問された。バイクに興味ないであろう人たちですら思わず注目してしまう。ガンナーのスタイリングはそれほどまでに特異なのだ。
バズーカを彷彿させる極太のメインチューブ内には燃料タンクが収まり、その前端と後端にヘッドライトとテールランプをレイアウト。そのあまりにも特徴的な外観により、SNSを中心に大いに話題となったのがフェニックスエンジニアリングのガンナー50だ。発売当初から排気量アップを望む声がネットを通じて多く寄せられ、それに応える形で誕生したのが今回試乗したガンナー100である。
前後12インチホイールやディスクブレーキなど、車体は基本的に50と共通。だが、筆者が今春に試乗した初期ロットの50から大幅に改良が進み、格段に乗りやすくなっているという。こうした小回りの良さは小規模メーカーならではだろう。
まずは動力性能から。空冷SOHC単気筒エンジンの詳細なスペックはタイ本国でもまだN.A.となっているが、排気量は97ccで、キャブレターの口径は50のφ16mmに対して100はφ20mmを使用。さらにドライブスプロケットが2T増やされているという。始動はセル&キック併用式で、どちらでもすぐに目覚めてくれる。排気音やメカノイズはホンダの横型エンジンに限りなく近く、決してうるさすぎないのが好印象だ。
スタートダッシュはけっこう元気がいい。それも1速ですぐに吹けきるというローギアードによるものではなく、エンジン自体に明らかに力があり、50との違いは歴然だ。キャブレターは強制開閉式だが、低回転域でスロットルをガバッと開けても無理なく回転が上昇する。公称車重が80kgと非常に軽いこともあって、体感的な速さはホンダのモンキー125に引けを取らない。
筆者は今春、ガンナー50の最初期ロットに試乗している。中高回転域を多用せざるを得ない50に対し、100は低中回転域でも交通の流れに乗れるので、心理的な安心感は大きい。加えて、その常用する回転域では心地良い振動と牧歌的な排気音が楽しめる。ガンナーの見た目との相性という点では100の方がより合っていると感じた。

リヤサスペンションの改良で運動性が大幅にアップ

ガンナーは50と100で共通のシャシーを使っており、これがもともと125ccクラス並みに大柄だ。50の最初期ロットを試乗した際に最も気になったのはリヤサスで、ほとんど動かなかったのだ。それをメーカーも認識していたらしく、すぐに改良。リヤショック自体はそのままに、スイングアーム側の取り付け位置を変更している。
その効果はまたがった瞬間に分かった。乗車1Gで前後のサスがバランス良く沈むのだ。走り出しての印象も良好で、ギャップ通過時の衝撃もほどよく緩和してくれる。ダンピング性能は車両価格相応であり、またフレームの過剛性の印象は相変わらずだが、レジャーバイクとして街中を移動するなら十分な性能と言っていいだろう。
ハンドリングは、この特異なスタイリングから想像できないほど扱いやすい方向でまとめられている。長いホイールベースと太めのタイヤにより挙動が穏やかで、Uターンのような微速域から一般道での最高速度60km/hまで何ら不満なく向きを変える。唯一の不満と言えばバンク角の少なさで、特に左側はサイドスタンドの取り付けステーが接地してしまう。リヤサスの動きがスムーズになったことで、動的なバンク角が減ったのも影響しているだろう。
ブレーキは前後ともディスクを採用する。キャリパーは前後とも片押し式2ピストンで、リヤは右足の踏力に対してやや利きすぎてしまう印象あり。とはいえ慣れの範疇であり、さらにペダルの高さを微調整するなどすれば改善できるだろう。
入荷ロット毎に予約で完売という人気ぶりのガンナーシリーズ。30~60代の幅広い層に売れており、ほとんどの人がカスタムを楽しんでいる様子だという。自分でイジれるバイクが少なくなってきた昨今、そういう意味でも稀少な存在と言えるだろう。

ロケ中、老若男女を問わずいろいろな人に声を掛けられた。バイクに興味のないであろう人たちからこれだけの反応が、しかもその全てが好意的だったのは初めてといっていい。

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…