これってハーレー? いいえモンキーです。キジマ製モンダビに ハーレーオーナーの愛が凝縮!【第17回モンキーミーティングin多摩】

先日開催され550台以上のモンキーたちが参加したモンキーミーティングin多摩。会場には色とりどりにカスタムされたモンキーたちが大集結。今回はその中からピックアップしたマシンを紹介しよう。

REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
カウルの模様は手書きによるペイント。

50cc時代のホンダ・モンキーには多種多様なカスタムパーツが発売されてきた。なかでも外装キットはイメージを大きく変えてくれるため、各社から発売されたもの。それらのうち1979年に発売されたモンキー・ダビッドソンを覚えているだろうか。乗りもの館(や)が手がけたハーレーダビッドソンFLHの外装をイメージしたボディパーツだ。

以前はフィッシュテールマフラーも装備していた。

モンキー・ダビッドソン、略してモンダビは各種カウル単体でも買えたが、すべてを装着したコンプリート車両でも販売された。コンプリート車の価格は34万円以上となり、なかなか売れなかったようだがカウル類だけなら12万円前後だったため、それなりの数が売れたようだ。とはいえ、今から46年も前のボディパーツだから生き残っているケースは非常に稀だ。

ボックス類とメッキガードをフル装備。

2025年のモンキーミーティングin多摩で久しぶりにモンダビを見つけることができた。オーナーの田山雅樹さんにお話を伺うと、このモンダビは乗りもの館製ではなく2011年にパーツメーカーのキジマが復刻販売したものだった。ほぼ乗りもの館のカウル類を再現していたが、お値段もそれなりに高価。だが、乗りもの館時代を知る人には喉から手が出るほど欲しかったはずだ。

ハザードスイッチやウインカーブザーを追加している。

では田山さんもそうなのかといえば、まるで話が違った。実はハーレーオーナーでもある田山さんは、ハーレーオーナーズグループのマイレージプログラムで「走りの殿堂」入りを果たした人。「走りの殿堂」とは10万マイル、つまり16万キロを走行した人にだけ与えられる名誉なのだ。ハーレーディーラーでは「走りの殿堂」入りを果たした人に記念品が贈与されるのだが、田山さんにはスペシャルなプレゼントが贈られた。それがこのモンダビなのだ。

SP武川製強化ダンパーと田中商会製フォークブーツを装着。

長いこと都内のハーレーディーラーに展示されていた個体だそうで、ディーラーの店長が自らキジマのパーツを用いて組み上げたもの。ディーラーのマスコット的存在だったものをプレゼントしてもらえたのだ。なんとも嬉しいプレゼントだったろうが、これだけのカウルやガードが装着されると重量も相当にアップする。ノーマルの50ccでは物足りなくなりそうなものだ。

エンジンはノーマルのままでエアクリーナーをパワーフィルターに変更した。

ところが田山さんはボアアップすることなく50ccのまま楽しんでいる。この日も茨城県から東京サマーランドまで自走して来られたというから驚くばかり。ハーレーで16万キロも走ってしまう人だからロングツーリングには慣れているのだろうが、50ccでとなると話は別。それでも50ccには50ccでしか味わえない世界がある。それを楽しむのもハーレーにはない魅力なのだろう。

スポーツチェンジペダルに変更している。

ただ、重量増は足回りへの不満が大きいという。ノーマルのままではあまりに貧弱だったため、前後ともサスペンションを強化することになった。フロントにはSP武川製の強化ダンパーを装着、リヤショックもSP武川製の265mm仕様を選んでいる。これでツーリングにも耐えられる足回りになったそうだ。

キャプトンマフラーはステーを加工して左右対称にしている。

田山さんが自ら行ったカスタムとしては灯火類の変更とキジマ製フィッシュテールマフラーが腐食したため、キャプトンマフラーに変更したこと。テールランプを3連化して安全性を高めたが、マフラー変更はステーを加工するなど工夫が必要だった。ハーレーを楽しみつつモンダビでも長距離を走って楽しむ。まるで排気量も走り味も異なるからこそ、いずれも楽しめるのだろう。

キーワードで検索する

著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…