街では不必要な高性能っぷり!+60mmの前後サスペンションが素晴らしい。|トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO

今やツアラーの主力カテゴリーとなったアドベンチャー系モデル。そのイメージリーダーとして無くてはならぬ存在が、トライアンフで言えばタイガー900 RALLY になる。それはまさに本格派オフロード・アドベンチャーマシンなのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●徳永 茂(TOKUNAGA Shigeru)
取材協力●トライアンフ モーターサイクル ジャパン

※2020年7月24日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
上級グレードのPROなのでコンパクトなLED式フォグランプも標準装備されている。走行時ロービームでは右側(写真左側)のヘッドランプが片目点灯。ハイビームで両目点灯になる。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
フロント21インチ・スポークホイールの採用が最大の特徴。黄金に輝く倒立式フロントフォークは、φ45mmのSHOWA製。リーディングアクスル方式はGTと同じである。フローティングマウントされたダブルディスクブレーキローターはφ320mm、ブレンボの対向4ピストン・モノブロック油圧キャリパーがラジアルマウントされている。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
パイプ径はそれほど太くはないが、なかなか逞しい骨格を披露するホワイトのスチールパイプフレーム。エンジンガードやスキッドプレートが標準装備され、いかにもヘビーデューティなイメージだ。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
3into1の右出しアップマフラーはステンレス製。楕円断面形状の採用で横に出っ張らない様、細身にデザインされている。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
リヤサスペンションはボトムリンク式モノショックタイプ。白スプリングのショックユニットはSHOWA製でプリロードと伸び側ダンピング調節ができる。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
黒いスイングアームは鋳造アルミ合金製の両持ちタイプ。タイヤはブリヂストン製バトラックス・アドベンチャーを履く。リヤのスポークホイールサイズは17×4.25インチ、タイヤは150/70R17 のチューブレス。リヤブレーキはφ255mmのディスクローターに、ブレンボ製シングルピストンのピンスライド式油圧キャリパーを備える。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
フロントフォーク頂点のつまみを回すことで、右が圧側、左が伸び側のダンピング調節ができる。ブラックアウトされたパイプバーハンドルはテーパードタイプだ。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
タフなイメージを醸す堅牢なナックルガードを装備。左手(指)で操作する各スイッチは全8種。文字やアイコンが内部照明で浮かび上がるバックライト付き。上級モデルならではの贅沢な演出である。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
ハンドル右側スイッチもバックライト付き。大きな赤いシーソースイッチはエンジンキルスイッチ&始動用のセルスタータースイッチ。下はディスプレーにメニュー画面を呼び出すホームボタン。上方で僅かに見える赤いスイッチはハザード用だ。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
7インチサイズのTFTフルカラーディスプレイ。大きなデジタル数字がスピードメーター。タコメーターは羽を広げる様な左右対象デザインの表示方法がユニーク。前後タイヤの空気圧他、多彩な情報が表示される。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
前後セパレートクッションを採用したダブルシート。スペースとクッション容量があり座り心地は快適。写真の前シートは低い位置にセットされている。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
前後共にシートヒーターが標準装備されているため、それぞれに電線が繋がっている。装着は前シートを先にセットし、後席で固定される方式だ。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
スマホを大切に保管できる収納ボックスが装備されている。上下をスポンジで保護され、USB端子で充電もできる。ワンプッシュ蓋が開く仕組みも使い勝手が良い。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
フロントシートは低い方にセット。前後で少しの段差ができる。左脇には後席用のキーロック、DIN規格の12V(5A)アクセサリー電源ソケット、後方には後席用シートヒータースイッチが並ぶ。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
クリアレンズで点滅時はオレンジ色に輝くウインカーと、赤いテール&ストップランプは皆LED式が採用されている。リヤフレームにボルトオンされたグラブバーも堅牢な作りだ。
トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
それなりにゆったりと十分に大きなサイズ感を覚える。全体のバランスとしてスクリーンがコンパクトに見えるが、プロテクション機能はしっかり作り込まれていた。

主要諸元

エンジン形式:水冷並列3気筒DOHC12バルブ
排気量:888cc
ボア・ストローク:78×61.9mm
圧縮比:11.27:1
最高出力:95.2PS(70kW)/8,750rpm
最大トルク:87Nm/7,250rpm
吸気システム:マルチポイントシーケンシャル電子燃料噴射
エグゾーストシステム:ステンレス製3 into 1ヘッダーシステム、サイドマウントステンレス製サイレンサー
駆動方式:Oリングチェーン
クラッチ:湿式多板
トランスミッション:6速
一次減速比:1,652(76/46)
二次減速比:3.125(50/16)
ギヤ比
 1速:2,615(34/13)
 2速:1,857(39/21)
 3速:1,500(36/24)
 4速:1,286(27/21)
 5速:1,107(31/28)
 6速:0,967(29/30)
フレーム:チューブラースチールフレーム、サブフレームにボルト付け
スイングアーム:両持ち式、鋳造アルミニウム合金
ホイール(前/後):スポーク、チューブレス、21x2.15インチ/スポーク、チューブレス、17x4.25インチ
タイヤ(前/後):90/90-21 /150/70R17
サスペンション(前/後):
  Showa製φ45mm径倒立フォーク、プリロード&リバウンド&コンプレッション手動調整機能、
 /Showa製リアサスペンションユニット、プリロード&リバウンド手動調整機能、
トラベル量(前/後):240 mm/230 mm
ブレーキ(前/後):
 φ320mmツインフローティングディスク、Brembo製Stylema 4ピストンモノブロックキャリパー、ラジアルフロントマスターシリンダー、マルチモードABS、コーナリングABS
 φ255mmシングルディスク、Brembo製シングルピストンスライディングキャリパー、 マルチモードABS、コーナリングABS

全幅:935mm
全高:1,452~1,502mm (除くミラー)
シート高:850〜870mm
ホイールベース:1,551mm
キャスター:24.4 º
トレール:115,9mm
車両重量(乾燥):222kg (201kg)
燃料タンク容量:20L

試乗後の一言!

トライアンフ・タイガー900 RALLY PRO
この優れた機能や性能、日本では一体どこで使えるんだ!と冷静に思う反面、どこか憧れてしまう自分がいる。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…