ランブレッタV200Specialは、オシャレなのにビシバシ走れるイタリアンスクーターだ。

イタリアのスクーター『Lambretta(ランブレッタ)』が復活しています。かつてはベスパと人気を二分し、モッズ文化のシンボルでもあった名門ブランドです。筆者は1979年公開の名作映画『さらば青春の光』で主人公が乗っていたことでその名を知っていましたが、乗るのは今回が初めて。軽二輪登録の『V200』で、ランブレッタ初試乗しました!

REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2020年4月14日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
ランブレッタV200Special
ファッションもモッズでキメたい。そんな気にさせるオシャレスクーターです。

Lambretta V200 Special……460,000円

ランブレッタV200Special

『ランブレッタ』のネーミングは、鋼管メーカーのイノチェンティ社が1947年に設立し、ミラノの“ランブラーテ”という地に工場があったことに由来します。50年代に人気を博し、ベスパと双璧を成すブランドになりますが、71年に工場閉鎖。90年代まで、インドのSIL社がライセンスを買い取り生産を続けていました。

ランブレッタV200Special

 イノチェンティ社とオーストリアのKSRグループが共同で『ランブレッタ』ブランドを再興し、2018年から量産をスタート。現在ラインナップされているのは『V50 Special』『V125 Special』『V200 Special』の3機種で、今回はもっとも大きい空冷エンジンを積む“200”に乗ります。

 ちなみに昨秋のミラノショーでは、新設計の水冷325ccエンジンを搭載するコンセプトモデル「G325 Special」も発表されていますから、今後もラインナップの拡充が期待できます。

ランブレッタV200Special

 筆者がランブレッタを知ったのは、20歳くらいの頃。ファッションに敏感な友人に、映画『さらば青春の光』(1979年、イギリス公開)のビデオを借りたことがキッカケでした。そこで「モッズ」と「ロッカーズ」というカルチャーがあることを知り、たくさんのミラーで装飾されたランブレッタが印象深く記憶に刻まれています。

 リーゼントでレザージャケットに革パンなのが「ロッカーズ」ですが、「モッズ」はタイトなスーツに“モッズコート”と呼ばれる軍用パーカ「M-51」を着て、ランブレッタやベスパに乗ります。愛車がスクーターなのは、スーツが汚れるのを嫌ってのことです。

ランブレッタV200Special

 3年前のミラノショーで「ランブレッタ復活」と聞き、まず想い浮かべたのが、さらば青春の光であったりモッズカルチャーでした。お洒落なデザインはKTMやハスクバーナも手がけるKISKA Design(キスカデザイン)によるもの。角形ヘッドライトや長い車体後部は、往年のランブレッタから受け継ぐデザインで、スチール製モノコックボディもまた伝統です。プレス成形のスチール鋼板とパイプフレームを組み合わせた構造とし、車体は50、125、200で共通としています。

ランブレッタV200Special

 足まわりは前後12インチで、フロントフェンダーがボディに固定されている「Fix」、そしてフロントサスにフェンダーが装備される「Flex」の2タイプから選べます。今回乗ったのは「Flex」です。
 灯火類はすべてLEDを採用。フロントにABSを備えるなど、クラシックなスタイルの中に先進的な装備も盛り込まれています。

ランブレッタV200Special
ランブレッタV200Special

 視線の高いゆったりとした乗車姿勢で、フラットな足もとも自由度があります。シートはクッション厚が薄めですが、コシがあって座り心地は良好。770mmのシート高で、身長175cmの筆者が両足を下ろすとカカトが浮きます。シートが高いのではなく、座面が広く幅があるからで、座ったときにはそれがゆとりを感じさせます。

ランブレッタV200Special

 座面が真っ平らなため、信号待ちで停止するときは無意識なうちにお尻を前にズラし、地面に足がしっかり届くことも報告しておきましょう。片足立ちなら写真の通り、カカトまでベッタリです。

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著者プロフィール

青木タカオ 近影

青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返…