【効果はアリ?ナシ?】装着は超簡単!な、タイヤバルブ用放電ナットを試してみた。|インジェクターチューニング

バイクやクルマには定期的に怪しげな製品が登場する。効果を数値化できないものの、人によって装着すると変化が感じられるというオカルト的な商品たち。これまでオカルトグッズやパーツを全否定してきたが、静電気を放電して性能を向上させるインジェクターチューニングなるものを試してみることにした。
タイヤバルブ用放電ナットという商品だ。

効果を数値にできないものの、一定の効果があると話題になる商品が定期的に登場する。その度に「眉唾モノだよね」と内心思いながら避けてきた。この手のいわゆるオカルトグッズを信じておらず、それに自分でお金を出すのは……と思っていたからだ。そんな筆者のことを知ってか知らずか、編集部の山田から「増田さん、これあげるから試してみて」と頼まれた。それが、今回の商品「タイヤバルブ用放電ナット」だ。製造販売しているのはNGC-JAPANという会社で、バイクのマフラーやエキパイを製作しているほか、今回の商品と同種のインジェクターボルトなどを扱っているようだ。

タイヤナット用放電ナットとは?

ワッシャーにギザギザを溶接してあるようだ。
ワッシャーの厚みは1.5ミリほど。

この商品はエアバルブに適合するサイズとなっていて、バルブに締め込むだけで効果が得られるという。どのような効果があるのか公式WEBサイトによれば「タイヤの転がりが良くなる」「直進性が良くなる」「レーンチェンジがしやすくなる」「接地感がわかりやすくなる」「走行音が静かになる」とのこと。一体なぜ、そのような効果が得られるのか説明はないものの、どうやらギザギザ部分が放電して静電気を除去するのだと解釈した。ただ、昭和の時代には4輪に装着するゴムヒモがあり、車体の静電気を地面とアースすることで放電していた。こちらはドアノブを触った時にバチッと静電気が発生しなくなるためのもので、走行性能に影響があるとは聞いたことがないし効果も感じられなかった。ふ〜む、いかがなものだろう……。

古い125ccミッション車で試してみた

ホンダCB125で試してみる。

猜疑心だらけだが、試してみてから結果を報告しなければなるまい。そこで筆者が所有する1971年製と古いホンダCB125で試してみることにする。アイドリングこそ若干不調ながら普通に走って普通に止まることができるコンディションだ。2気筒なのでそれなりに振動はあるし、ハンドリングも古さを感じるし、ブレーキもガツンとは効かない。どれだけ効果があるか試すには絶好の素材だろう。ただ、タイヤは新品に交換してから1000km走っていない状態。製作会社によればすり減ったタイヤだと効果が現れやすいと説明されていた。さて、どうなることやら。

タイヤのエアバルブを確認。
バルブからキャップを外す。
ギザギザをリム側に向けてねじ込む。
根元までねじ込んだら完了。

装着工程は写真の通りで至極カンタン、誰でも作業可能だろう。念のため装着する前にも20分ほど走り回り、装着してから同じコースを走ってみることにした。その結果は、「う〜ん、わからん」というもの。正直なところ、ハンドリングに変化はなくエンジンの音や振動、出力特性も同じ(当たり前か)。ブレーキングにしても同様で、それならと押し引きしてみても変化を感じ取ることはできなかった。これでいいのだろうか、編集部の山田に何と言えばいいのやらと途方に途方に暮れてしまった。

小径タイヤで試してみよう

次に1967年製とさらに古いラビットで試してみる。

WEBサイトをよくよく読めば「小径タイヤだと効果を感じやすい」と書かれている。それならとばかり、10インチの鉄スクーターであるラビットで再チャレンジしてみることにした。こちらは新品タイヤに交換してから3000kmほど走り込んでいるから、すり減っているほどではないが効果があるかもしれない。

ラビットのエアバルブ。
キャップを外してバルブにねじ込む。
根元までねじ込んでキャップをしたら完了。

作業工程はCB125と全く同じで、誰でも作業できることにも変わりはない。このラビットはS301の最終型でトルコンによる無段変速、いわゆるATモデルだ。速くはないけれど流れに乗るくらいには走るし、ブレーキもリヤ主体に使えばそこそこ止まれる。50数年も前のスクーターだと意識して乗れば問題ないけれど、現代の感覚で乗ると怖い思いをすることになるだろう。さて、その結果だが、これが困ってしまった。微妙に違うのだ。まず走行中に感じる振動というか、タイヤと路面が接している面積が変わったかのように感じる。つまり乗り心地が良くなったと走り出してすぐに気がついた。「いやいや、そんなことあるはずがない。ちょっと走り込んでみよう」と足を伸ばしてみたのだが、確かに乗り心地がマイルドになっている。エンジンの音や性能、ブレーキの効き具合などに変化は感じられないものの、走行抵抗が減っているように感じられるのだ。ラビットS301は当時としては乗り心地が良いモデルだが、荒れた路面ではドッシンバッタンとショックを拾う。だから長距離を走ると気疲れするのだが、心なしか路面からのショックが低減されているようなのだ。

小径タイヤだと効果がある(かも?)

CB125のタイヤは前後18インチ。
ラビットS301のタイヤは前後10インチ。

これはどうしたことだろう。これまでオカルトグッズを全否定してきた筆者だが、確かに何かしらの効果を感じてしまった。WEBサイトに記載されている「小径タイヤだと効果を感じやすい」というのも、あながち誇張ではないのだろう。初めに試したCB125は前後18インチタイヤで、おおらかなハンドリング。かたやラビットは前後10インチで路面からの入力に正直な乗り心地。

径の大きさによるものか、それとも錯覚か?

CB125では何も感じなかったがラビットだと作用しているように思えた。あくまで体感レベルの話で変化を数値化できないから主観でしかないのだが、ともあれ、装着後にデメリットもあまり感じないので、当面はこのまま着けておいてもいいかな。というのが今回の結論だ。

なお、某amaz●nでのレビューもチラ見してみたが、効果あり!な肯定派は半数以上で、筆者のような効果あるかも&いまいちわからない派は3割弱。残りは否定的な意見は2割以下という評価で、実際に2台で試した筆者としても、まぁそんな感じの評価に割れるかもね。と思いました!

2台ともお疲れ様。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…