気軽に走れる、ハーレーダビッドソンの975ccモデル、テイストハーレーダビッドソンNIGHTSTER試乗

ハーレーダビッドソン期待の新星、“ナイトスター”の店頭デリバリーが始まる。販売開始を記念して5月14〜29日迄、全国の正規ディーラーで公道試乗のチャンスも用意された「NIGHTSTER デビューフェア」が開催される。スポーツスター伝統のスタイリングと新エンジンの融合具合は如何に? 今回はフェアに先駆けた報道試乗会に参加した。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO● 安井 宏充(YASUI Hiromitsu)/ 近田 茂(CHIKATA Shigeru)
取材協力●HARLEY-DAVIDSON JAPAN

ハーレーダビッドソン・NIGHTSTER…….1,888,700円〜

ガンシップグレー…….1,919,500円

ビビッドブラック…….1,888,700円
レッドラインレッド…….1,919,500円

 Revolution Maxエンジン搭載の第3弾として投入された“ナイトスター”は、伝統的スポーツスターの血統を受け継ぐ最新モデルとしてデビューした期待の新星である。
 4月15日に東急プラザ渋谷で開催された発表会の模様は既報の通り。ロー&ロングフォルムの中にひときは大きく目立つVツインエンジンを搭載。そのスタイルは、いかにもアメリカンバイクを象徴するハーレーダビッドソンらしい雰囲気にあふれている。
 既報解説と重複するが、その大きな特徴はDOHCヘッドを持つショートストロークタイプの水冷Vツインエンジンを搭載。これまで同ブランドを象徴していた45度Vではなく、前後シリンダーがおりなすVバンク角は60度。幾多の進化熟成を重ねつつも、保守路線を貫いてきたハーレーダビッドソンだが、ドラスティックな革新を携えて大きな飛躍を目指す、新時代到来を告げるモデルである。

 スチール製パイプフレームもクレードル構造は持たず、いわゆるダイモンドタイプ。エンジンをリジッドマウントする事で高剛性化と合理的軽量設計の両立が図られている。しかもナイトスターならではの工夫として特筆できるのは、11.7L容量の燃料タンクがシート下にレイアウトされている。タンクはダミーで、その多くはエアクリーナースペースに活用され、中低速トルクを重視した出力特性の発揮に貢献。
 重量物を車体の低い位置に納める事で、低重心化が図らている点も見逃せない。前輪には19インチ、後輪には16インチホイールを採用。φ41mmのSHOWA製フロントフォークは、アルミ製のステアリングブラケットで支持され、キャスターが30度と寝かされているのも印象深い。
 ちなみに現在5つに分類されている同社のフルラインナップ中、ナイトスターはスポーツスターSと共にSPORT カテゴリーに属す。同ブランドの中では比較的リーズナブルな価格設定で投入された他、カスタムを楽しむ為の純正部品やアクササリーも製品と同時に開発されて、充実の品揃えを誇っている。

ふと旅に出かけて見たくなる、自由気ままな乗り味。

 新世代スポーツスターとして投入されたナイトスター。全体的に低く長いフォルムを始め、エンジンの存在感がハンパ無いスタイリングは、いかにもハーレーダビッドソンらしい雰囲気が醸しだされている。
 後方へストレートに伸ばされたマフラーやリヤフェンダーステーの直線的デザインも間違いなくスポーツスターがイメージでき、伝統的なアイデンティティを継承するシルエットはなかなか上手く仕上げられている。
 早速低いシングルシートに腰を落とすと、両足は楽々と地面を捉えることができ、221kgの車重を支えるのも苦にならない。サイドスタンドを跳ねて、車体を引き起こす時もスーッと軽い印象。股がったまま車両を前後に押し引きする扱いも楽。低重心化設計が徹底された恩恵は確かに体感できるものだった。
 
 ハンドルは左右にバーエンドミラーが装着されており、そのぶん車幅はワイド。筆者の体格では、もう少し手前に引かれているとより良いと思えたものの、ライディングポジションは決して大き過ぎない。ステップに足を乗せると膝下はほぼ垂直に降ろす感じとなり、ごく自然と寛げる。筆者が知るアメリカントラディショナル・スポーツの、すなわちスポーツスターらしい乗り味がそこにある。
 エンジンを始動するとツインカムの60度Vツインは、スルッと軽やか。排気音もマイルド。アイドリングが1,300rpm前後で安定する様は、かつて日本メーカーがハーレーに倣ってVツインエンジン搭載車を多くリリースした時代がふと思い出された。クランクマスも比較的軽めに設定されたショートストロークエンジンの回転フィーリングと噴き上がり感はスムーズ。それ故にハーレーには成り切れていないが、でも出来の良い当時の国産車の記憶が蘇ったのである。
 もちろんレボリューションマックス975Tエンジンは、新時代のパワーユニットとして、最先端の制御デバイスも採用されており、パワーモードの変更やトラクションコントロール。エンジンブレーキ時の後輪スキッド防止等、安全安心デバイスの充実ぶりも見逃せない。
 しかしいざ走り始めると、そんな最新機能はどうでも良い気分。あれやこれやの細かい事には心底無頓着になれてしまうのが不思議である。

 話は脱線するが、ネガな要素をひとつ指摘しておくと、右足を下ろした時に、後ろバンクのシリンダーヘッドが内腿にあたる。また間近を通過するエキゾーストパイプからの熱気上昇がさらに強烈。走行中はさほど気にならないのだが、渋滞等で停車するとジーンズでは我慢できない程の熱さに、低温火傷の心配をする始末。頻繁な発進停止やノロノロ運転をする使い方をしなければ問題は感じられなかったが、ヒートガードを考慮したパンツの着用が必要と思えた。

 さてナイトスターの操縦性と乗り味は、予想以上に素直で快適なものだった。細めな19インチサイズの前輪が採用され、先ずは直進性がしっかりしている。例えば北海道の様な郊外の道路を走り続ける時の落ち着きはらった安定感は秀逸。気持ちもゆったり。視野も広く自然と美しい景色が目に飛び込んでくる事だろう。
 弾ける程のパンチ力では排気量の大きなスポーツスターSのポテンシャルには及ばないが、どんな場面でもスットルをひと開けするだけで、十分に力強くダッシュできる。そのパフォーマンスに不足は感じられないのである。ちなみにローギヤでエンジンを5,000rpm回した時の速度は56km/h。6速トップ100km/hクルージング時のエンジン回転数は3,200rpmだった。
 排気量的にスポーツスターSより小さいにも関わらず、ギヤ比は少し高めに設定されており、穏やかにそして静かにクルージングできる特性も実に心地よい。まさに自由時間を謳歌するツーリング用途にもピッタリ。
 コーナリングも操舵と共に自然な感覚で旋回力が増し舵の動きもスムーズで癖が無い。バンク角も十分と思え、全体的な扱い易さが魅力的である。
 今回は都内市街地での試乗が主だったが、バックパックにササッと見繕った手荷物を詰め込んで、どこかへ気ままに遠出してみたい気分にかられてしまう。試乗に与えられた2時間は、まさにアッと言う間に過ぎてしまった。
 アメリカンスポーツテイストが楽しめる、解放感にあふれる爽快感と、ライダーのハートが自由な気分につつまれる乗り味がとても気持ち良いのである。

足つき性チェック(身長168cm / 体重52kg)

膝にも余裕を持って、両足はベッタリと地面を捉えることができる。シート高は705mm。これだけ足つき性が良いと、重量級バイクでも安心して取り扱う事ができる。

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…