【作業難易度は激ムズです】シート周りが実は違います。航続距離、約1.5倍を実現する大胆カスタマイズ。

スーパーカブでツーリングする人なら、優れた燃費性能に感心した経験は数知れないだろう。けれど、ガソリンスタンドが閉まってしまう夜だとさぁ大変。給油回数が少ないカブだから、気がついたらリザーブだったなんてことも多いはず。夜の長距離ツーリングを可能にするための決定的なカスタムを紹介しよう。

REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
さて問題です。何が違うのか間違い探しのように当ててみよう。ヒントはシート周りです。

ホンダ・スーパーカブの燃費はノーマルの50ccなら1リッター当たり60kmを超えることもザラ。例えばキャブ時代のAA01ならカタログで同130kmとされているが、これは時速30kmで延々と走った場合のこと。実際の路上でそんな運転は難しいから、実燃費は当然のように落ちる。交通の流れに合わせて走っていれば、大体は1リッター当たり50km前後になるだろう。ここで紹介するAA01型スーパーカブの燃料タンクは4リッターだから、省燃費運転をせず普通に走ると200kmほどの航続距離になる。普通の人なら200km走る前に給油するだろう。ただ、このAA01オーナーである廣實靖文さんの場合、日の出とともに太平洋側の海岸を出発して、日没までに日本海側の千里浜へゴールしなければならないSSTRというラリーに参加していた。どうしても夜間走行しなければならず、かといってルート上に深夜でも開いているガソリンスタンドが必ずあるとは言い難い。不安材料を減らすため給油回数を減らすことはできないだろうかと、Cub工房(https://cubkoubou.com)を頼ることにした。

なんと、燃料タンクがかさ上げされている!

目をサラのようにして最初の写真をご覧になればお気づきかもしれない。給油回数を減らすためにCub工房で行ったカスタムとは、なんと燃料タンクを大きくすることだったのだ! Cub工房では増量タンクを販売しているが、商品はJA44とJA45用。つまりシート下のボディ内に燃料タンクが別体で収納されているカブ用で、AA01などの古いモデルには対応していない。オーナーの廣實さんはCub工房に頼み込んで、AA01でも同じように燃料タンクを増量できないか相談された。その結果がこの写真で、純正の燃料タンクをかさ上げすることで6.2リッター容量にまで拡大しているのだ。だから1リッター当たり50kmくらいの走り方をしても航続距離は300kmを楽勝で超えることが可能となった。もちろん代償はある。燃料タンクが高くなるということはシート高も上がるということ。つまり足付き性が悪化するのだ。試しにまたがらせていただいたところ、身長163cmの短足体形な筆者だと両足のつま先しか着地しなかった。ちなみに別の記事で足付き性を試しているが、現行型スーパーカブ110でも両足はベッタリ着地させることができる。どれだけシート高が上がったのか、ご想像いただけよう。

前後ともホイールはアルミリムに変更している。
夜間走行用にLEDライトを増設。
リヤショックはYSS製の350mm。
ノーマルエンジンにナンカイ製マフラーを装着。

燃料タンクを増量した以外にも実用性やSSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー:日の出とともに自身で定めた日本列島の東海岸からスタートし、日没までに日本海の千里浜にゴールするというツーリングイベント。)に向けたカスタムが施されている。給油回数を減らすのと同時に夜間走行時に不足する光量を補うため、LEDライトを増設しているのだ。このLEDライトはヘッドライトをハイビームにすると点灯する仕組みで、ロービーム時には消灯しているから対向車の迷惑にならない優れもの。また長距離走行で不安になるパンクを減らしたい思いから、前後ホイールのリムをアルミ製に変更した。黒い塗装となっているため、精悍なルックスまで演出してくれる。さらにリヤショックをyss製にするのと同時にフロントフォークはC90用にしつつ、フロントのブレーキドラムを純正流用で大径ドラムにしている。エンジンはノーマルながらスプロケットの歯数を変更しつつ、マフラーをナンカイ製に変更。あえて50ccにこだわったオーナーだが、今後はエンジンにも手を入れる予定とか。スーパーカブのカスタムは奥深いけれど、こうしたカスタム例は珍しいしカブオーナーの参考にもなるのではないだろうか。

著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…