【速報インプレ】原付2種というよりも、原付1.5種。それがヤマハJOG125のサイズ感です。

2年前の2020年11月から台湾で販売されているヤマハ・JOG(ジョグ)125が、ついに日本でも今月28日にリリースされる! 1983年(昭和58年)に「スタイリッシュ・スプリンター」というキャッチコピーとともに誕生したジョグシリーズ。125ccはJOG史上最大排気量であり、735mmという低シート高もセールスポイントだ。一足先にクローズドスペースで試乗することができたので、ファーストインプレッションをお届けしよう。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ヤマハJOG125……255,200円(2022年11月28日発売)

車体色は、写真のマットダルパープリッシュブルーメタリック2のほか、ブラックメタリックX、ダルレッドメタリックD、ホワイトメタリック1の計4種類をラインナップする。車重は95kgと非常に軽い。シート高は735mmで、現行の国産原付2種スクーターの中では最も低い。
2018年よりホンダのタクトがベースとなった現行JOG(写真はデラックス)。49ccの水冷SOHC2バルブ単気筒はアイドリングストップを採用。車体寸法は1675×670×1040mmで、車重は78kg(デラックスは79kg)。シート高は705mm(デラックスは720mm)を公称する。価格は16万7400円(デラックスは18万360円)。

エンジンはアクシスZと共通の空冷ブルーコアだ

「小っさ!」というのが偽らざる第一印象だ。思わずナンバープレートの色を確認してしまったほどで、当然ながら原付2種であることを証明するピンク色だった。車体寸法を調べてみると、このJOG125はアクシスZ(124cc)とJOG(49cc)のほぼ中間であり、サイズ感としては「原付1.5種」といったら分かりやすいだろうか。

これだけコンパクトであると、当然ながら取り回しも軽く、狭いスペースでの向き変えも原付1種並みに楽チンだ。そして、シート高が735mmと非常に低いことから、足着き性も抜群にいいうえに視点も地面に近い。これは小柄なライダーにとって大きな安心材料となるだろう。

エンジンは、アクシスZと共通の124cc空冷SOHC2バルブ単気筒“ブルーコア”で、スマートモータージェネレーター採用により、始動時のメカノイズは非常に小さい。最高出力は8.3psで、これは同じヤマハのシグナス グリファス(124cc水冷SOHC4バルブ、12ps)より約3割も低く、発進加速もそれなりだが、交通の流れに乗るには十分以上であろう感じた。これはシグナス グリファス比で約30kg、24%も軽量な車体のおかげだろう。

シート高を低くするためにウレタンを薄くしたからか、エンジンの微振動がお尻から伝わりやすいと感じたが、気になったのはその程度。スロットルレスポンスもスムーズで扱いやすく、初めて原二スクーターに触れるような人でもすぐに乗りこなせるだろう。

ハンドリングは、JOGというネーミングから受けるイメージそのままの軽快さで、ヘルメットの中で思わずニヤリとしてしまった。1980年代のスクーターレースシーンを席巻したJOGの名を受け継ぐだけに、そこはヤマハも注力したのだろう。

前後10インチのタイヤはアクシスZよりも1サイズ細く、車体の軽さも手伝って、倒し込みや切り返しは原付1種並みに軽快だ。さらに舵角が付いてからは、ホイールベースの短さもあって、浅いバンク角でもしっかりと向きを変えてくれる。前後サスの動きは価格なりだが、街中の移動がメインなら特に不満は感じないはずだ。

ブレーキは、リヤだけでなくフロントにもドラムを採用する。令和に発売された原付2種スクーターのブレーキが前後ドラム!? などと少々驚いたが、左レバーは前後連動のUBSということもあって、法定速度の60km/h以下であれば絶対制動力、コントロール性とも特に不満や不安を感じなかった。

足着きに不安を覚える小柄なライダーをはじめ、自宅や勤務先の駐輪スペースが狭くて取り回しに苦労している人、できるだけ安い125ccスクーターが欲しかった人などにとって、JOG125は間違いなく福音となるだろう。

ライディングポジション&足着き性(175cm/68kg)

シート高は735mmで、現行の国産原付2種スクーターの中では最も低い。ゆえに足着き性は優秀だ。ライディングポジションは非常にコンパクトで、Uターンのようにハンドルを大きく切るシーンではやや窮屈に感じるが、混雑した市街地走行ではむしろこのコンパクトさが有利になるだろう。

ディテール解説

前後ともドラムブレーキを採用。ホイールはスチール製で、標準装着タイヤはチェンシン。
指針式の速度計と燃料計、アナログの積算計のみというシンプルなメーターパネルを採用。
600mlのペットボトルが収納できるフロントボックス、可倒式コンビニフックなどを装備。
シート下の容量は約21.3ℓで、ヘルメットは逆さにして収納。ヘルメットホルダーもあり。
灯火類は全てフィラメント球となっている。ヘッドライトのハロゲン球はHS1で、35.0W/35.0Wを採用。
テールランプの造型はYZF-R1を彷彿させる。リヤウインカーはホワイトレンズ+オレンジバルブだ。

JOG125 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 8BJ-SEJ5J/E33VE
全長/全幅/全高 1,740mm/675mm/1,090mm
シート高 735mm
軸間距離 1,205mm
最低地上高 110mm
車両重量 95kg
燃料消費率 国土交通省届出値 
定地燃費値 57.7km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値 51.9km/L(クラス1)1名乗車時
原動機種類 空冷・4ストローク・SOHC・2バルブ
気筒数配列 単気筒
総排気量 124cm3
内径×行程 52.4mm×57.9mm
圧縮比 10.2:1
最高出力 6.1kW(8.3ps)/7,000rpm
最大トルク 9.8N・m(1.00kgf・m)/5,000rpm
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 0.84L
燃料タンク容量 4.0L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V、4.0Ah(10HR)/YTX5L-BS
1次減速比/2次減速比 1.000/7.500 (50/16×36/15)
クラッチ形式 乾式、遠心、シュー
変速装置/変速方式 Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比 2.281~0.717:無段変速
フレーム形式 アンダーボーン
キャスター/トレール 27°00′/81mm
タイヤサイズ(前/後) 90/90-10 50J(チューブレス)/90/90-10 50J(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 機械式リーディングトレーリングドラムブレーキ/機械式リーディングトレーリングドラムブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ ハロゲンバルブ(12V、35/35W×1)
乗車定員 2名

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…