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箱根越え
2日目の朝、秦野の宿を出発したのは10時半。東海道を北にはずれて泊まったので、まずは県道71号でまっすぐ南へ、西湘二宮で国道1号に戻り、西をめざした。
小田原へ向かう途中、トリップメーターが100.0kmに到達した。
前日の走行終了時88.1km地点では残7まで減っていたフューエルメーターの目盛りが、そこから10km以上も進んだこの地点では、なぜか1目盛り戻って残8に回復している。が、そこから102km地点まで進むと、ふたたび1目盛り減って残7に。見やすくよくできたフューエルメーターだが、残量表示にはまあまあフラつきがあるようだ。
国道1号は小田原を過ぎて箱根の上りにさしかかる。平地から芦ノ湖へ向かって国道1号が高度をあげるにつれ、ガンガン気温が下がってゆく。快晴だった空には、いちめんに灰色の雲がわき、小雨までぱらつきはじめてやたら肌寒い。
芦ノ湖へ向かうほどに気温はますます下がり、国道1号最高地点、標高854mを通過するあたりでは歯の根が合わない寒さになった。厚い雲がどんより空を覆い、強風が吹き、路上には冷たい霧まで這い出してきた。
湖畔のコンビニの駐車場でエナジーバーをかじって昼飯をすませた。国道1号で箱根山の西南麓を三島市へ走り降りる。空をおおう黒雲が切れ、少しずつ頭上に戻ってくる青空を眺めながら走る爽快なダウンヒルだ。
小さな快適クルーザー
125クラスのスクーターで100km超えのツーリングというと、なんとなく苦行っぽく聞こえるかもしれないが、ことPCXに関しては、そんな感じはまったくない。東京・日本橋から箱根を越えて走ってきても、まだまだ余裕でラクチンだ。
PCXの頭でっかちのスタイリングも、じつは快適ポイントのひとつ。ライダーは巨大なフェアリングに守られているようなものだから、胸から下にはほとんど走行風が当たらず、そのぶん疲れも少ない。
快適装備と親切設計は、東海道なら、たいてい箱根を超えたあたりからジワジワきいてくる。PCXは、いうまでもなく街乗り向きの手軽なコミューターだが、そのいっぽうで、ロングツーリングを走る旅バイクとしても優秀だ。
駿河湾岸を静岡市へ
三島からの国道1号で駿河湾岸を西へ。沼津を抜け、ところどころでけっこうヘヴィな渋滞につかまりながらも、静岡市街を目指して走り続ける。
日没直後、静岡市清水区のホテルに転がり込んだ。近所のコンビニで買った晩飯の弁当をかきこみ、シャワーを浴びてすぐに眠ってしまった。