どこが変わった? ホンダ新型CBR 250 RRを解説

2022年11月8日から開催されたEICMA 2022(ミラノショー)に出展されたモデルの一部が国内でお披露目されたのは既報の通りだが、その中でクォータースーパースポーツの最右翼モデルとして君臨するCBR 250 RRの新型もお披露目された。写真は試作車のため量産車とは一部仕様が異なる場合がある事、そして詳細解説は一切ないという状況下で撮影のみが許されたのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●小峰 秀世(KOMINE Hideyo)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

ホンダ・CBR 250 RR…….価格未定

ホンダ・CBR 250 RR
ホンダ・CBR 250 RR
ホンダ・CBR 250 RR
ホンダ・CBR 250 RR
ホンダ・CBR 250 RR
ホンダ・CBR 250 RR
ホンダ・CBR 250 RR
ホンダ・CBR 250 RR

内外に大きな進化と魅力向上が込められている。

 現在公表されているのは「進化は、終わらない。」と題した30秒足らずのティザームービーがホンダの公式Webサイトで見られる程度。
 ご覧の通り、全体的な外観フォルムに大きな違いは無いように見える。しかし、実車を目前にし細部まで良~く見てみると、フルカウルの外板パーツは前から後ろまで全てが一新されている。スクリーンやアッパーカウルを始め、フロントフェンダーも異なる。タンクこそ共通と思えるが、アンダーカウルやシートカウルも一新された別物であった。
 グレーに塗装されダイヤモンドタイプのスチールパイプフレーム、ホワイトの7本スポークタイプ・キャストホイールも含めてメリハリのあるツートーンのカラーリングは、よりシャープなライン構成と共に、これまで以上に精悍かつ大人びた印象を放っている。
 しかも驚かされたのは、基本骨格こそ変わりないが、フレームも細部が設計変更されているように思えた。熟成は既に行われていた可能性もあるが、スイングアームピボット部の剛性バランスの適正化やライディングポジションの熟成。さらに各溶接部分にみられる処理の美しさなど、商品力の向上が徹底された模様である。

 撮影車両に装着されていた前後タイヤはダンロップ製のSPORTMAX GPR-300。これに関しては従来通り。目つきの鋭いLED式ヘッドランプやスピードメーターも共通に見えるただしその液晶表示内容のデザインには、微妙に手が加えられている。シフトタイミングをLEDの点灯と点滅で知らせる5連REVインジケーターも少し変更されたよう。もっともレブカウンターに示されたレッドゾーンは14,000rpmからと変わりない。
 ハンドルスイッチも右側は同じながら、左側は新しくなっており、モード切り換えスイッチが手前に来て、上にはハザードスイッチを新設。人指し指で扱う向こう側のスイッチはトラクションコントロール用になっていた。 その他ブレーキやサスペンションなどにドラスティックな変更は認められないが、フロントにはφ37mmの倒立タイプ。セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストンの日立アステモ(SHOWA)製が装着されていた。
 同クラスの最高峰モデルに君臨するに相応しい進化を果たすべく全てが見直され、商品力が高められている。そんな上質な印象が漂ってくるのである。

 さて、興味津々のエンジンはどうか。前述の通り、詳細は一切明かされていない。ここからはあくまで推測の域を出ない。末尾に掲載した主要諸元(参考)も基本的に現行モデルのデータをそのまま記しているが、変更される可能性が大きいと思われる項目については無記入(-)とした。
 搭載エンジンが右サイドカムチェーン方式のDOHC 4バルブである事に変わりはないが、恐らく筆頭ライバルのカワサキ・Ninja ZX-25Rの出力諸元に肉薄、あるいは肩を並べてくるのではないだろうか。
 つまりクラス最高となる33Nm(45ps)の発揮が期待できそう。インジェクションやイグニッションを制御するECUの書き換えだけでもパワーアップの余地は残されていたとは思うが、今回は外観の変更と共に、燃焼室の刷新など、大きな進化と商品力向上が込められているだろう。
 吸排気を見直し、燃焼効率を追求する。そこにはシリンダーヘッド(燃焼室)の設計変更などで圧縮比が高められているかもしれない。そこまで手を加えるなら、バルブやピストンも熟成された可能性が高いと思われる。
 絶対的パワーアップと出力特性の変更に伴い、トランスミッションのギヤ比が見直される可能性もある。また商品としての魅力を向上すべく、クィックシフターが標準装備されることも期待できそう。
 公表データ皆無の中での推論に過ぎないが、今回の新型は、マイナーチェンジと呼ぶには相応しくないほど、かなり大幅な変更を遂げているようである。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…